九月の夜想曲 ~ブルームーン<九十九の涙に彩られた刻の雫>~

行間に綴られた言葉を、共に知る方へのメッセージ

『節目』

2023年02月04日 | 日記

 

☆☆☆

 

<始まりは、あの夜>

 

 『九月の夜想曲』の開演は2010年7月7日。

 

 同年6月6日にご案内を掲載し、開演までに

 いくつかのメロディを奏でました。

 

 多くの方に訪れていただくことを必要としない扉

 ですので、当初はひっそりと在りました。

 

 途中で道端に期間限定の看板を掲げ、

 必要な方はお入りいただけるように

 させていただいたこともありました。

 

 あれから十三年近く、途切れ途切れに続けて

 まいりました『九月の夜想曲』は、最初から

 幕引きについて考えておりました。

 

 それは、訪れてくださる方がいなくなれば・・・

 というものです。

 

 元々、代筆で始めたこの扉、語り部としての使命も

 持ちつつ、必要な方に少しでもレクイエムが聴こえ

 ましたら幸いです。

 

 近年、独り、この扉の前で旅人に一杯のお水を

 差し上げる仕事を続けておりましたが、不在の

 ことが多いこともあり、ようやく誰もこの道を

 通ることのない日を迎えました。

 

 むしろ、不在にもかかわらず、幾人も、ときには

 数十人の旅人が訪れてくださったことが申し訳ない

 思いではありました。

 

 ようやく節目を迎えたことを知り、今は皆さまに

 感謝の想いでいっぱいです。

 

 実は、本年九月に掲載予定のメロディを、

 下書き状態で登録しておりました。

 

 そのメロディを奏でる前に節目を迎えたのも、

 ご縁かと思います。

 

 お伝えする必要がないことを理解いたしました。

 

 

 扉は、そこを通る旅人のために存在します。

 

 旅人のいない扉は、そっと閉じるのが

 自然の摂理と理解しております。

 

 扉の撤去は、今のところ考えておりません。

 

 本来は、閉じたままの扉が佇むと、旅人の

 お邪魔になるだけかもしれません。

 

 それでも、ご縁があってこの扉に気づく旅人が、

 そこに何が在ったのかを知ることに何かしらの

 意味があるとすれば、暫しこのままにしておく

 のがよいかと考える次第です。

 

 現在の執筆者である私は、表の公式ブログで

 活動を続けております。

 

 ときに、『九月の夜想曲』と表の公式ブログで

 対となる物語も執筆し、それは、『九月の夜想曲』

 を知る方のみが見える風景でもありました。

 

 いつの頃かは失念しましたが、『九月の夜想曲』を

 必要とする方がいない世界がよいことをお伝えした

 ように思います。

 

 矛盾するようですが、“真実”はコインの表と裏の

 ように、相反することが一体であるものと理解

 しております。

 

 『九月の夜想曲』・・・この扉が再び開く日が

 来るかどうかは、私にもわかりません。

 

 一杯の水を必要とする旅人が、この先この道を

 通ることがあるのかどうかは予見できませんし、

 私自身がその存在に気づくかどうかもわかりません。

 

 それは、刻が決めることかと思います。

 

 独りよがりにすぎないのは承知で、ひとつの仕事を

 終え、そしてこれからも歩き続けなければならない

 現実を、今は静かに受け入れております。

 

 偉そうなことを申し上げる立場にはありませんので、

 ほんの戯言ですが、この扉に記された言葉は・・・

 

 「最後に必要なもの(こと)は、最初から与えられている。」

 

 そして、その扉の裏に小さく記された言葉は・・・

 

 「最期に必要なもの(こと)は、最初から知っている。」

 

 雑音の多い世の中ですが、耳を澄ますと聴こえる

 メロディがあります。

 

 それ故、この扉は『九月の夜想曲』。

 

 このメロディが聴こえた方は、いずれ、

 新たなメロディを奏でることでしょう。

 

 誰にも届かないメロディ。

 

 それでも誰かに届くメロディ。

 

 哀しみを知るあなたに、One Teaspoonの笑顔が

 添えられたら・・・

 

 そのためにマリオネットは、ピエロを演じて

 きたのだと思います。

 

 今も公園の片隅では、マリオネットと老犬が、

 静かに刻を紡いでいます。

 

 

                      九月のZ


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