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復讐法廷/ドラマ

2015-02-07 23:07:07 | 日記
田村正和さん主演のドラマ。竹内結子さんが弁護士役ということで、内容も好みだったので拝見しました。

以下ネタバレ。

胸が痛くなる、刃物で刺されたみたいに、心が泣いてる。

本来なら、これは報われた判決なんでしょう。殺された娘の復讐をやり遂げて、執行猶予で終われたのだから。

宮部みゆきさん作の『スナーク狩り』のように、復讐しようとしてもどうしても出来ない、そんな物語が多いように感じます。

そんな話を見る度に、何度も思うんです。ああ、出来るなら、私が殺してやりたい。殺してやりたい。

でも、本作の終わりは、全く喜べなかった。喜ぶものじゃないと言うでしょう。だけど、すっきりするどころか、悲しくなった。泣きたくなった。どの終わり方でも、そうなのかもしれないけど。

復讐って何なんだろう。無罪なんかじゃなくて、ちゃんと岩崎が法廷で裁かれていたら、中原はあんなことせずに済んだんだろうか。有罪だとして、だけど死刑じゃなかったとしても?

結局、失ったものは取り戻せない。裁判で有罪になっても、死刑になっても、復讐しても。何にも何にも、変わんない。

だって死んじゃったんだもん。

だからもう、そんな最低野郎のために、手を汚すのはやめてほしい。警察がどうとか、法がどうとか、この国がおかしいんだとか、色々あると思う。理不尽だと思う。悔しい、怒りたい。

だけど、だけど。

もういっぱい傷付いたから、これ以上、傷付いてほしくないから。お願い、もうやめてほしい。復讐は、遂げても悲しいんだよ。そんなこと、分かりきってることだけど。

ところで、田村正和さんの突然の"のんちゃん"呼びに思わずどきっとしてしまいました。年をとっても重みがありますね、田村正和さんは。娘と似ていると言って、のんちゃんを見つめる姿は、どこか微笑ましくて、幸せそうだった。

執行猶予がついて釈放された中原が、したいこと。罰を受けなかった代わりに、彼が望むこと。"ドビュッシーの夢を聴くこと"の他に、"のんちゃんと一緒にごはんを食べに行くこと"が追加されればいいのにな。のんちゃんと、のんちゃんのフィアンセと、ペルーにいるお兄さんと、中原さんと。4人でこれからの未来を築くことは、難しいんだろうか。そんな簡単に、いかないんだろうか。

話は逸れますが、以前実際に起こったストーカー殺人で、このようなことがあったそうです。被害者はストーカーに殺されると警察に訴えていたが、相手にされなかった。被害者は両親に"今までありがとう、でも私はストーカーに殺されてしまう"といった文面の手紙を書いていた。その後被害者はストーカーに殺されてしまった。警察はそれを受け、記者会見を開いた。警察は、笑っていました。

笑っていたんです。

何がおかしいんだよ。笑ってんじゃねーぞ、このクソ野郎。

本作はドラマです。警察があんな無礼な態度をとっているのもフィクションです。だけど、そういう理不尽なことも実際に起こっていたってことです。

心が泣いている。こんな理不尽な世の中に。だけど中原さん、絶望しないでほしい。生きていてほしい。