World of delight

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Nのために/湊かなえ

2014-09-28 19:36:47 | 日記
ドラマの予告編を見てから、どうしようもなく原作を読みたくなった作品。タイトルからして好みど真ん中。キャストも良い線をいっている。読まずにはいられない。

以下ネタバレ。

気になるタイトル、『Nのために』の"N"とは誰にとっての誰なのか。そこを知りたいが為に読み進めるわけですが、これが明確に書かれていないんですよね。なるほど、この書き方、モヤモヤするが嫌いではない。

それでも私なりに解釈を落としていきたいと思うのですが。

安藤にとってのNは主に杉下、たまに西崎。そんなところでしょうか。安藤は杉下のことが好きだったんだと思いますよ、ゴンドラのやり取りを見たらそう思わずにはいられない。西崎のことも、やはり大事に思っていたんじゃないでしょうか。弁護士を雇ってあげたりね。それにしても安藤、一番蚊帳の外なのに一番罪深いことやってくれたよね。あの時チェーンがかかっていなければ。或いは結末が変わったかもしれないのに。

成瀬にとってのNは杉下、ただ一人。ただ成瀬は前半でぷっつり出番が終わってしまうんですよ。放火の犯人の件も解決されてないですし。勿体無い!もっと過去の話をうまく現代に繋げて、杉下との関わりを書いてほしかったな~。

西崎にとってのNは奈央子、と見せかけて杉下、だったら良かったのにな。あなた達は分かり合えたはずなのに。思いは通じ合っていたはずなのに。

杉下にとってのNは、安藤?最後の嘘も安藤のためについた。成瀬?学生時代、自分の代わりに放火してくれた王子様。いや違う、西崎なんじゃないか。そうだ、一番罪を共有しているのは西崎じゃないか。それこそが究極の愛だと彼女は言っていた。

でも最後の病気のシーンから考えると、やはりNは成瀬なのか、と思ったり思わなかったり。というか、なぜ病気になってしまうという結末が必要だったのか?それって物語と何か関係ある?

要は全ての人が色々な嘘をついていて、それは特定の誰かのためではなくて、色々な人のための嘘であったということなのかな。

でも私としては、『Nのために』の"N"は全ての人にとって1人で良かった。それが全部一方通行でも。

成瀬、安藤は杉下のために
杉下は西崎のために
西崎は奈央子のために
奈央子は野口のために
という噛み合わない一方通行のために嘘をついた、っていう結末で良かったんじゃないかな。それこそ純愛じゃないか。

杉下は成瀬なのか?安藤なのか?どっちなのか?って考えさせられながら、本当は西崎だった、それに気付けずに犯罪を犯してしまった西崎、というのが見てみたかった。

複雑にしすぎて見えにくくなった愛の嘘。もっとシンプルにまとめられたんじゃないかな~なんて、おこがましいでしょうか。

ドラマでは安藤が男なので私はミスリードに陥ることは全くなかったのですが、そんなミスリードがなぜ必要だったのかも疑問。

キャストについては、西崎が納得いかない。美少年…?笑 演技力でカバーしてくれるかしら。原作にはないキャラクターも色々出てくるみたいだけれど。願わくはもっとシンプルに。期待させて『夜行観覧車』みたいに終わってほしくないな。
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世界から猫が消えたなら/川村元気

2014-09-27 15:42:24 | 日記
「何かを得るためには、何かを失わなければならない。」
心に残る喪失感を吐き出さなければ前に進めない、と思ったら、私の想いを表せる場所はここしかないと思った。

ネタバレを含みます。

あざといタイトル、余命宣告、嫌いだなと思った。でも最後まであらすじを読んだら、1ページ目を開いたら、このまま読まないのは勿体無い気がした。私も結末を知りたい。だから仕方なく、買うことにした。

本を開くと、栞が入っていた。あの空白部分に入れる言葉を考えながら読んだ。だけど解説にあるみたいに、あの人の名前を書くのはつまらないと思った。

とてつもなく読みやすかった。3時間で読み終わってしまった。後半は泣いてばかりだった。どうしようもなく、涙が止まらなかった。

設定は案外ボロボロで。映画館で働く彼女が映画のない世界で生きるその後とか、時計屋さんのお父さんが時間のない世界で生きるその後とか、ほとんど描かれてなくて。

映画があっても鑑賞する自分がいないのなら、命を選ぶ。だけど、電話も、時間も、そして猫も、消されそうになった時、僕は気付く。"死ぬのは怖い。だけど、何かを奪って生きていくのはもっと辛い。"

レタスが死にそうな時、お母さんの手紙を読んだ時、お父さんとの確執が分かった時、それがどうしようもなく自分のことに思えた。状況も性別も何もかも違う僕に、私を見た。本当に大切なものに気付いているのに、ありがとうの一言も言えない私がそこにいた。

お父さんはお母さんの時計を直したかった。お母さんの時計が止まったままだったら、お母さんが本当に死んでしまうと思ったからだと思う。それがお父さんの愛情だった。

家族だから、言葉がなくても通じると思った。でも家族って言葉に縋った、私たちは個人だった。それを忘れて、理解してほしいと思っていた私は、なんておこがましいんだろう。

お母さんは僕のことを人が悲しい時に一緒に泣くことができて、人が嬉しい時に一緒に喜ぶことができると言った。どこまでも気を使って、気を使いすぎて、人の気持ちに寄り添おうとする、そんな僕が、私は好きだと思った。

キャベツは僕がいない世界でこれから生きるのは辛いと言った。僕はキャベツがいない世界を生きるなら自分が死んだ方がいいと思った。自分だけが生き残っても意味なくて、だけど大切な人を遺して死ぬのも嫌だと私は思った。

ラストシーンが良かった。綺麗にドラマみたいに終わるんじゃなくて、走って会いに行くその姿に勇気付けられた。私も走って会いに行きたいと思った。

もう一度、もう一度読んだらハッピーエンドになっているかもしれない。私は願った。
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