前回の「長時間フライトの必需品」の話が好評だったので、また飛行機にまつわるお話を。
以前、欧州行きの飛行機に乗った時、元気なご高齢の女性と隣り合わせになったことがあります。
夫に先立たれて以来、一人でツアーに参加して旅行を楽しんでいるという彼女は、ストッキングで作ったバンドを、椅子のマガジン入れに引っ掛けて、フットレストに利用していました。
なるほど便利だなあと思いましたので、私も真似させてもらって、長時間フライトの準備品として携帯していたことがあります。
その方が、食事時間になると、何杯もお酒を注文して飲み干していて、ビックリさせられました。
「飲むとよく眠れるのよ」と、食事が終わるやいなや爆睡していました。
飛行機内でお酒を飲むと、普段よりも酔いやすいということを経験上ご存じの方は多いでしょう。
高度飛行中の機内は気圧が低いので、アルコールが血液内に移行しやすく、いっぽうで血液中の酸素濃度は低下しやすいので、心拍数が速くなり、酔いが早くまわるのです。
けれども、心拍数が速くなるということは、それだけ心臓に負担をかけることにもなります。
飲酒(ビール2缶やワイングラス2杯相当)をしてから、飛行機の機内気圧の環境で寝るという実験をしたところ、健常者でも動脈血中の酸素飽和度の低下と心拍数の増加が長時間(およそ200分間)認められたというドイツからの研究報告があります。
つまり、飛行機内で飲むお酒は、危険を伴うものであると認識したほうががよいということです。
心臓や肺の持病のある方は、病気を悪化させ、寝ている間に突然死なんていうこともありえます。
たとえ心臓疾患や肺疾患を正式に医師に診断されていなくても、ある程度年齢が高い方や、喫煙既往のある方などは、潜在的にそのような状態になっている可能性が高いので、フライト中にお酒を飲むのはやめておいたほうが無難でしょう。
せめてお酒は地上で楽しみましょう。