流体機械設計による近未来に役立つエンジニアリング

流体機械設計をベースとして近未来に役立つエンジニアリングを行う株式会社ターボブレードの社長 林 正基の毎日の活動

2ノズルペルトン水車の良い点の説明

2011年10月05日 | 再生可能エネルギー発電タービン

高落差、小水量での水力発電に使われる水力タービンのタイプであるペルトン水車のタイプに、噴射ノズルが2本ある2ノズルペルトン水車というものがありますが、今日はそれの良い点について説明してみたいと思います。

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ペルトン水車では上写真のような水噴射ジェットを受けるバケットのような羽根を持っていますが、その水噴射とは落差の圧力エネルギーを全てノズルで速度エネルギーに転換して生じるジェット流となります。

この水噴射ジェットが小水量と言えどもある程度太さを持ったジェット流となるので、それを受けるペルトンランナバケットはそのジェット太さの3倍ほどの幅が必要な形状となります。

そうするとひとつのバケットはかなり大きくなることが予想され、この水受けバケットが20枚以上でランナが構成されるので結局直径の大きなペルトンランナ動翼となったりします。

必要直径が大きいとそのジェット流を受けるピッチ円直径も大きくなり、ジェット流に対する適正速度でランナを回転させる場合にペルトンランナ回転数がかなり小さくしか出来ない場合が生じます。

回転数が低いと発電機も極数の多い重い高価な発電機となる場合が多く、タービンも大きくなるので設備費も高くなります。

よって回転数が遅くなる原因であるバケットひとつの大きさを小さく出来れば回転数を上げることが出来るので、その為にバケットの大きさを決める元のジェット流の直径を小さくすれば良いこととなり、その為にジェット流を造るノズルを2本として流量を二つに分けることで細いジェット流が2本出来、それをひとつの小型のペルトンランナに吹きかけ回転数の高速化とタービン部の小型化を図ります。

それの実例が自分が設計して「イカ型2ノズルペルトン水車」と呼んでいる次の写真の水力タービンです。

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2ノズルからのジェット流を干渉しないようにして効率の低下を防ぐために自分なりに工夫したノズル配置の結果そのケーシングがイカのように見えるので、自分で勝手にイカ型ケーシング2ノズルペルトン水車と呼んでいます。

この2ノズルにするタービンの小型化高価は絶大であり、ペルトン水車を採用する場合は大変にお勧めです。

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