流体機械設計による近未来に役立つエンジニアリング

流体機械設計をベースとして近未来に役立つエンジニアリングを行う株式会社ターボブレードの社長 林 正基の毎日の活動

宇宙船工学:ロケットエンジン先細末広ラバールノズルの流れ計算

2021年11月09日 | 宇宙航空産業機械

宇宙船工学として、ロケットエンジンにおける先細末広ラバールノズルでの流れ状態を計算する式をまとめました。

1次元定常断熱流れ:

Cp*T+(1/2)*u^2=Cp*T0   ここで、定圧比熱Cp、ガス温度T、ガス流速u、よどみ点温度T0、ガス圧力P、燃焼室圧力Pc

よどみ点圧力P0=P*(1+(1/2)*(k-1)*M^2)^(k/(k-1))  ここで、ガス圧力P、比熱比k、局所マッハ数M=u/(k*ガス定数R*T)

ノズル内流れ式は、Cp*T+(1/2)*u^2=Cp*Tc+(1/2)*uc^2=Cp*T0 ここで、燃焼室温度Tc、燃焼室速度uc

ノズル内任意位置流速 u=(2*Cp*Tc*(1-(T/Tc)+uc^2)

=(2*Cp*To*(1-(T/T0))   ここで、Cp=(k/(k-1))*RR=gR/molm 更にここで(一般ガス定数gR、ガスの分子量molm

=((2*k/(k-1))*(gR/molm)*Tc*(1-(T/Tc))+uc^2) =((2*k/(k-1))*(gR/molm)*T0*(1-(T/T0)))

=((2*k/(k-1))*(gR/molm)*Tc*(1-(P/Pc)^((k-1)/k))+uc^2) =((2*k/(k-1))*(gR/molm)*T0*(1-(P/P0)^((k-1)/k))

以上の式をノズル出口に適用すると排気速度ueは、ノズル出口圧力Peとして

ue==((2*k/(k-1))*(gR/molm)*Tc*(1-(Pe/Pc)^((k-1)/k))+uc^2) =((2*k/(k-1))*(gR/molm)*T0*(1-(Pe/P0)^((k-1)/k))

ノズル圧力比=Pe/P0となり、理想ロケットエンジンではucが小さいと仮定して

排気速度ue=((2*k/(k-1))*(gR/molm)*Tc*(1-(Pe/Pc)^((k-1)/k))と計算できる

この式より、排気速度は(Pe/Pc)が小さいほど大きくなり、よどみ点温度T0が高いほど大きくなり、ガス分子量が小さいほど大きくなる

出口Peが真空状態であれば最大uemax=((2*k/(k-1))*(gR/molm)*よどみ点温度T0) と計算できる。

無次元排気速度=ue/(gR*Tc/molm) と圧力比(P0/Pe)との関係が比熱比毎に求まる。また比熱比kが小さくなるほど排気速度が大きい。

ノズル局所断面積Aと局所マッハ数Mの関係:

スロート部断面面積Atとすると

A/At=(1/M)*(((1+((k-1)/2)*M^2)/((k+1)/2))^((k+1)/(k-1))) の関係となる。

ノズルの臨界圧力比Pcr、臨界温度Tcr、臨界密度ρcr

よどみ点密度ρ0 として

Pcr=P0*(2/(k+1))^(k/(k-1)))Tcr=T0*(2/(k+1))ρcr=ρ0*((2/(k+1))^(k/(k+1))) となる。

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