衝動タービンと反動タービンの仕組みについて説明します。
1.衝動タービン
衝動タービンは、速度を持って流れてくる流体がその速度の力を回転する羽根のブレードにぶつけ、それにより羽根が衝撃力を受けて回転をします。
流れが羽根にぶつかると言っても平べったい板にもろにぶつかるわけではなく、羽根への流体の入口では流れの方向に入口角度を合わせてうまく流体を羽根面に引き入れます。
うまく引き込まれた流体はその速度エネルギーで羽根を押し少しずつエネルギーを羽根に与え、流体は段々と飛んできた方向の勢いを失っていきますが、羽根の回転する速度と最適な状態になると流体は羽根から流出する時には流れるための最低限の絶対速度になり、タービン最高効率状態を作り出します。
これは例えればボールが投げられてきた場合に、ボールの速度の半分ほどの速度で受け止める手のひらを回転させながら手前に引いてやれば、最後にはボールの勢いが完全になくなり地面にぽろりと落ちるように出来るのと全く同じ原理です。その時はボールの飛んでくるエネルギーは完全に手に吸収されています。
つまり衝動タービンとは流れてくる流体の速度エネルギーをうまく吸収する羽根であり、よって羽根にある沢山のブレードのすべてに同時に流体が流入する必要がなく、羽根は速度のエネルギーの方向転向を行うだけなので、羽根ブレードへの流体の部分挿入でも問題なく高効率で運転可能なのです。
2.反動タービン
反動タービンにおいても衝動タービンと同じように速度を持った流体の流れをその羽根ブレードの入口で速度の方向に合わせうまく引き入れ、そして流れの方向を転向させることは全く同じです。
しかし衝動タービンと異なることは反動タービンのブレード入口の速度を持った流体は同時に羽根の間を通りながら減らされる圧力も持っており、羽根ブレードの間の空間は圧力を流速に代えるいうなればノズルの役目も持っているため、流体は羽根入口相対速度よりも出口相対速度が加速されています。
羽根出口に向かって加速された流れはロケットの噴射と同じように羽根に前に進む力つまり反動力を与えるため、反動タービンという呼び方になります。
羽根ブレード入口で流体が圧力を持つということは、羽根ブレード全周から同時に圧力を持った流体が流れ込む必要があるため、反動タービンは全周流入が必須となります。
流体が羽根の間を抜ける場合に入口で持っている圧力を出口に向かって減じながらそれを速度の増加にする利点は、入口から出口に向かって速度が増加するノズルのような流れは損失が少なくなり、羽根のエネルギー取得効率が高くなることです。
よって羽根の間では減速流れとなる衝動タービンに比べ反動タービンは少し効率が高くなります。といっても設計が良ければ、その差はそれほど大きいものではありません。
以上の衝動タービンと反動タービンの違いから、少し効率が高くなる反動タービンを全部に使えば良さそうに思いますが、衝動タービンも頻繁に使われる理由は、羽根に入る流量が少量になると羽根への全周流入が難しくなることがあり、それで部分挿入ですむ衝動タービンが使われます。
また別の理由として、衝動タービンは羽根への流入速度の半分ほどの周速で回転させると最も効率が高くなるのに対して、反動タービンは羽根への流入速度と同じぐらいか少し小さい周速度で羽根を回転させるのが最も効率が高くなるため、羽根への流入速度が非常に大きい蒸気やガスのタービンでは反動タービン羽根では高速回転になり過ぎることがあり、特に高圧を回転動力に処理するタービンでは衝動タービンにより適切な回転数として設計する場合があります。