小型水力発電を設置するケース例として、今日は河川の砂防ダムを利用する方式を説明してみたいと思います。
自治体が管理するような山深いところの河川には、洪水時の防災用の砂防ダムがたくさん設備されています。
そのような砂防ダムには、落差が10mぐらい取れる場合もあり、そのような地点では砂防ダム自体をあまり工事することなく水力発電設備を造ることも可能なのです。
事例の構想図を次に示します。
砂防えん堤には元々水抜き孔がいくつか開いていますので、それをうまく利用して水圧管をダム直下に引き、水車発電機を可動します。
水車を可動した水は、ダム下部のたまりに放水されますので、流れにほぼ影響を与えることなく小水力発電設備を設置することが可能です。
ただダム側面部は通常崖状態にあるため、そこに機器を据え付ける工事は手間がかかる可能性がありますので、なるべく小さい水圧管と小型の水力発電機を屋外型などで選定することで土木工事費を削減する工夫が必要です。
出来た電気は、ダム維持用電気に使われたり、系統に連携して売電し地方自治体の電気収入となったりする場合がほとんど思われますが、もし近くに農業や林業の設備があれば、それらに供給することがより付加価値を生む電気として良い使い方であると考えています。