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流体機械設計による近未来に役立つエンジニアリング

流体機械設計をベースとして近未来に役立つエンジニアリングを行う株式会社ターボブレードの社長 林 正基の毎日の活動

羽根の枚数についてはどう考えればよいのかの考察

2010年07月31日 | 流体機械設計

昨日見て頂いた遠心型ブロワ羽根では、羽根の枚数を多くしたほうが羽根に気体が沿って流れ効率が良くなり、圧力も上がることとなるでしょう。

しかし同じ遠心型でも液体を扱うポンプの場合は、羽根枚数が8枚以上になると少々摩擦損失が増えて必ずしも高効率・高圧化にはつながらないこともあります。

それでは斜流型ではどうでしょうか。斜流のブロワでは遠心型と同じように羽根枚数が多いほど有利になると思いますが、あまり多すぎても性能改善は頭打ちになるでしょう。

しかし斜流のポンプでは、遠心型ポンプより更に羽根枚数が減っており、だいたい5枚以下が最適と思われます。

それでは軸流ファンではどうでしょうか。軸流ファンや軸流ブロワでは特に比速度の低いものでは羽根枚数が非常に多いことがジェットエンジンの軸流コンプレッサーから推測可能だと思います。

そして比速度が非常に大きい、つまり風量が多いけれども圧力が低くてOKな例えば換気扇ようファンやパソコン冷却用軸流ファンなどでは羽根枚数がかなり少なくなります。

とくに換気扇ファンのようにケーシングが半解放型のような場合は大抵3枚ぐらいまでの羽根枚数が使われています。

しかし大比速度の軸流ファンでも次の図のようなパソコン冷却用軸流ファンなどでは羽根の軸方向厚みが薄い場合は羽根枚数を増やして仕事量を上げるために多数枚のものもあります。

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また軸流ファンでは羽根枚数はそれを製作する型の制限つまり軸方向に抜ける型で軸流ファンを造る場合には型が抜けるように羽根が重ならないような枚数の制限があったりします。

以上のことより羽根の枚数は使うターボ機械の型式によって大きく違いますし、その性能においても使われる用途の仕様に最適な羽根を設計していけば羽根が多くなったり少なくなったりしますので、一概にどちらが良いなどとは決められないものと推測可能です。

基本的には同じ風量・圧力を少ない羽根枚数で達成しようとすれば、一枚当たりの仕事量が増えてしまい転向角などの増加が騒音を増やす場合も考えられますし、逆に一枚当たりの仕事を弦長の長い羽根が処理するようにすれば騒音が減る場合も考えられるわけで、その羽根設計者の判断と優秀さに起因する要素が騒音値と効率値と考えられます。

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