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冬点前・炉と丸小卓による棚物のお点前

2019-06-02 01:02:24 | Weblog
11月から翌年4月までは、冬のお点前と言う事で炉になりました。
 掛け軸には「東籠佳秋色(とうりしゅうしょくかなり)」の文字で紙面左上にカエデの枝、右下に庵の入口の門が描かれておりました。陶淵明の詩の中に「菊を採る東籠の下、悠然として南山を見る、山気日夕に佳く、飛鳥相与に還る」という句があり、詩に詠われている情景と心境を五字に圧縮したものと言われます。
 また茶花には、11月は実物が相応しく花器も籠では無く、陶器で秋色に相応しい素朴なものが良いとの事、お庭の弦草の赤い実が生けられ、花器のそばには色付いた柿の実が添えられておりました。

 

①棚は塗物の丸小卓で下に水指上棚に茶入れが用意されています。この時棚の位置は炉の手前左角と屏風 の中央、部屋の角とを結んだ線の2分の1を中央にして置きます。
 炉の手前左角は、炉縁の外側角を真、内側角を行、炉の角を草とした三点のいずれかをその時のお点前 に合わせて選択します。今日はごく普通の薄茶のお点前で行の位置を正面と定め全てのお点前を行いま す。

 

②茶碗を運びこみ棚を正面にして座り、茶碗を仮置きし、茶入れを下ろし、茶入れと茶碗が丸小卓を中心 に品の字に囲むように飾ります。仮置きの仕方は、運びこんで畳へは置かずに右手で茶碗中央を持ち左 手を茶碗左中央  に持ち替えその手で仮置きします。

 

③こぼしを運びこみ左体側に置きます。

 

④柄杓を構え右手で蓋置きを水指から取り出し、体を炉の行の位置が正面になる様に向きを変え、蓋置き を炉の右手前角、畳の目3つ右3つ上の位置へ置き、柄杓を水平に構えなおし、蓋置きの上にかぶせて
 柄は体の向きと平行に小指から滑らせて置きます。

 

⑤茶碗を左手で取って右手で行の角と膝の間へ置き、茶入れを茶碗と膝の間に置き、茶入れをふくさで清 める所から先は殆ど夏のお点前と同じ順序で進めます。

 

⑥夏のお点前と違うのは柄杓の扱いですが、柄杓を釜に掛置く時は釜の口の手前縁に柄杓を伏せて釜の口 の中に合が全て入る様に掛置きます。右手から柄を離す時は、合を伏せて人差し指と中指でしっかり挟 み、親指を回して人差し指と親指で柄をつまみ、静かに畳に柄の元を置きます。
 この時合は釜の口の手前縁に伏せてある訳ですが、柄の元は炉縁の行の位置の右辺延長線から外側に出 ないように置きます。

 

⑦全てのお点前が終わったら、こぼしを腰近くまで下げ、柄杓を構えて蓋置きを右手に持ち、棚を正面に 座りなおし、蓋置きをこぼしの後方に置き柄杓をこぼしに伏せ置きます。

 

⑧次に茶碗を仮置きし、茶入れを棚に飾り、柄杓を水平に構え、左手でとった蓋置きを柄杓を持つ右手の 親指と人差し指にくわえさせ、こぼしを右手で下げて水屋へ下がります。

 

⑨茶碗を水屋へ下げ、水注を持って道具畳に棚を前に座り、水指を左膝に少し隠れるように置き、水指を 畳へ下ろし、蓋をとり水を注ぎます。水指の蓋は塗蓋は2手で取る。水指は口蓋を右手で開け茶巾を口 元に宛てそれから左手で弦を持ち水を指すなどは、全て夏と同じです。

 

⑩水差しを水屋に下げ空手で茶道口で総礼して終わります。

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