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『忍恋』全5巻あらすじ・ネタバレ感想!ラブコメだけど「死」がテーマ

鈴木ジュリエッタさんの『忍恋』全5巻のあらすじとネタバレ感想だよ!
現代忍者ラブコメだけど、最初から最後までテーマは「死」という結構重いもの。
「生きたい!」に変わるかどうかが見所♪

『忍恋』全5巻
『忍恋』全5巻 あらすじ・ネタバレ感想 tataraworks

■著者:鈴木ジュリエッタ
■カバーデザイン:
    杉田優美(G x complex)
■発行:株式会社白泉社



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『忍恋』シリーズ登場人物

『忍恋』全5巻あらすじ・ネタバレ感想




『忍恋』シリーズ登場人物 

飛田杏子(ひだ・あんこ)16歳
 4年前楓と出会い迎えを待っていた

華山院楓(かざんいん・かえで)
 若干18歳の華山院家の当主

鐵男(てつお)
 杏子と同い年の忍びの里の仲間
 杏子を好き
紗々女(ささめ)→ 御堂(みどう)紗々女
 幸せになる為、杏子を出し抜く

久賀皇紀(くが・こうき)
 久賀コーポレーションの御曹司
 楓とは犬猿の仲だが杏子に興味を示す

楓の執事・福村(ふくむら)
楓の護衛・兎守(うさぎもり)
楓の世話係・乱蔵(らんぞう)

赤松涼花(あかまつ・りょうか)
 杏子のクラスの学級委員
竜崎昇太(りゅうざき・しょうた)
 杏子のクラスメイト
黒海老昭和(くろえび・あきかず)
 全国数学大会優勝者だが素行不良

七雲(ななくも)
 杏子を誘拐する闇商人

芙由子の母 → 孫捜し
御堂芙由子(みどう・ふゆこ)
 10年前に亡くなる

先代の側忍の弟・疾風(はやて)
 百窓一員で華山院家を滅ぼしたい



『忍恋』1巻あらすじ・ネタバレ感想 

●あらすじ
甲賀・飛田の里---
杏子(12歳)は、同い年の鐵男や紗々女達と競い合いながら立派な忍を目指して修行にあけくれていた。
ある日、杏子が1人朝練をしていると長老屋敷を訪ねて外界から車がやって来る。
杏子は外の世界の人間を初めて見ることに興奮しつつ物陰から様子をうかがう。
すると車からとても綺麗な少年と…鬼が降りてきた…。


鬼は名家・華山院家の嫡子・楓。
近々当主になる為、優秀な忍を【当主専属側忍】にスカウトしに来たと言う。
専属側忍目指してはりきる杏子だが、楓とともにやって来た小姓の朝霧に「女の子は無理だ」と言われ傷つく。
だが、2人で話をしているうちに杏子と朝霧は心が通じ……たかと思ったが、朝霧こそ華山院楓だった。
杏子は騙されたことに激怒し側忍を断る。
楓は杏子にまた会いに来ると告げて去る。


それから4年---
紗々女は名家・御堂家の娘であることが判明し里を出て行き、鐵男は紗々女のパーティーに招待される。
杏子は楓に会いたい一心で、鐵男に勝手について行くのだが……。


●感想
華山院家の長男は20歳までに亡くなる運命を背負っている。
その為、楓はいつも死に向かって準備をしているような状態で、裕福だがどこかで人に見放されている寂しい少年だ。
そんな楓は、嘘つきで意地悪で平気で人をひねり潰すというなかなか良い性格。


杏子は、女の子ゆえ男の子と体力差が出たことで自信を失いつつあった。
<女子あるある>だ。
ちびっ子のうちは何をしても女子の方が男子より上だが、小学校の高学年になる頃には男子の方が力も走るのも女子を追い越す。
紗々女のようにそれをしたたかに受入れ、女磨きに転じる女子もいる。
杏子のように「何で私は女なんだ」と悔しくて体型の変化すら受入れ難い子もいる。


35ページで、女であることで男より引かねばならない理不尽に憤りながら自信がない杏子に朝霧(楓)はこう言う。
 望まぬ性別でも
 望まぬ体でも
 それが自分のものならば
 自分自身を否定はするな
 

杏子は、この一言を心の支えにし修行に励むことになる。
短命である運命を背負った楓だからこそ言えた一言かも。


忍者の漫画だけど、女に生まれた以上ぶちあたる壁が描かれていると思った。
ずっと里を出たがっていた紗々女は、他人を蹴落として幸せを手に入れようとするちょっと峰不二子っぽいタイプだ。
会社員だったら女子から総スカンだろう。
杏子はバリキャリ目指すけれど、結局男社会で出世ができないタイプ。
こういうこと会社の中でよくあるなぁ、と思いながら読んだ。



『忍恋』2巻あらすじ・ネタバレ感想 

●あらすじ
御堂家のパーティーで取り押さえられそうになった杏子だが、若干18歳で財界を牛耳る華山院家の当主・楓に救われる。
1年間、杏子は楓の側忍を務めることになるが、楓は不登校で留年しており現在高校2年生、偏食で生活も不規則で、聞けば聞くほど良いところがない。
悪魔的手法で君臨する楓を恨む者も多く、その中には杏子に興味を持つ久賀コーポレーションの御曹司・久賀皇紀もいた。
楓は自分の死後、杏子が生活に困らないよう学校に通わせ友達を作らせようとする。
そんな中、楓は当主としての責任を果たす為、御堂家の娘になりすました紗々女にプロポーズするのだが……。


●感想
華山院家の長子は20歳を待たずに死ぬ運命の為、それまでに結婚し子を儲けなければならず、楓は釣り合いの取れる御堂家の娘と結婚しようとする。
まんまと娘として御堂家に入り込んだ紗々女だったが、楓に杏子を側忍から外すよう頼むも拒否され激怒。
嫁としては、結婚する気があるなら他の女を遠ざけてよって思うのは当然だが、楓ときたら結婚するなら杏子の存在を受入れろって言うんだもの。
紗々女じゃなくても、杏子は自分のものだから手放したくないだの何の言われちゃーね、キレるわ。


表面上少々意地悪でも楓は杏子の将来まで考えて普通の女の子としての友達も作れるよう学校へ通わせる。
杏子は側忍としての仕事を全くさせてもらえない事が不満だが、杏子を気にかける楓の様子を見て護衛の兎守は杏子に側忍を辞めさせようとする。
勝手な真似をした兎守を楓はクビにしようとするが、杏子に嫌われそうになり兎守を無罪放免とする。


結局、楓にとって杏子が1番なんだよね。
誰かと結婚しなくちゃいけなくても、杏子には嫌われたくないんだよね。
そんなに好きなら家柄とか関係なく杏子でいいじゃん、と思うんだけど。
すぐ死んじゃうと思うと、悲しい思いをさせたくないと一線を引くしかないのね。


でも、線引きしきれない楓。
杏子が涼花と遊んでいると思ったら、スマホに男子と遊んでいる画像が届いた途端、後先考えずに杏子の元へ駆けつけるんだもの。
自分の命より杏子を優先するのに、素直じゃないなぁ。


165ページで楓が兎守にこんなことを言う。
 生まれた時から
 死ぬ準備を
 されてきた
 私にとって
 この人生は
 仮の宿
 近々お暇する
 他人の家の
 ようなものだ

自分の人生が仮の宿だなんてとてつもなく寂しい台詞だなと思った。



『忍恋』3巻あらすじ・ネタバレ感想 

●あらすじ
外出中に事故に遭った楓は大怪我をするが命は助かった。
楓がグルメフェスのケバブを食べたがったので買いに出掛けた杏子だったが、マスクをかぶった怪しい男に拉致されてしまう。
その場に居合わせた昇太の知らせでその事を知った楓は杏子を取り戻そうとする。
その頃、杏子は自分を拉致した闇商人の七雲と手を組み、楓にとって一番の敵をあぶりだそうとしていた。


●感想
杏子は楓を守る為、自ら七雲に拉致され楓にとって一番の敵を突き止めようとする。
その課程で、楓がいかに多くの人の恨みをかっているか知るのだが、「私は自分の目で見た楓を信じる」と全く動じない。
楓は歯向かう者に容赦しない。
特に杏子に手出ししたら……生き地獄。
ひいぃ、怖い怖い{{(@_@)}}


全国数学大会優勝者だが素行不良の先輩・黒海老昭和と出会った杏子は、黒海老が生徒会長候補だと知り行動を正すよう応援する。
黒海老はいつもどこかしら怪我をしているので、家庭で虐待されているのだろうな。
純粋に自分を応援してくれる杏子と出会ってまっとうに頑張ろうとする。
自分を信じてくれる人、支えてくれる人の存在はやっぱり大きい。


ただ、純粋すぎる杏子は恋愛に関しては赤ん坊並ゆえ、黒海老を更正させようと一生懸命になるほど楓の心が荒れることにはちっとも気づかない。
天然小悪魔杏子、恐るべし。


3巻では楓と杏子はデートする。
とっても可愛いのだけど、忍者の里の子の杏子はデートが何か知らなかった、ぷぷ。



『忍恋』4巻あらすじ・ネタバレ感想 

●あらすじ
黒海老を更正させ、生徒会長にしようと頑張る杏子に興味がないふりをしていた楓だったが、あまりに杏子が黒海老を信じていることにとうとうキレて生徒会長選に乱入。
あっさり生徒会長に当選してしまう。
生徒会長就任初日もお寝坊の楓を杏子は無理矢理たたき起こす。
これがきっかけで楓は家に帰らず、どこか他の場所で過ごすことになる。
そして、杏子と添い遂げることができない楓は、御堂家の娘のふりをしている紗々女を嫁として迎え入れる。


●感想
黒海老から電話で杏子をもらうと言われ、31ページから33ページでキレまくる楓。
 …3回だ  
 お前が杏子と気安く呼んだのは  
 これで3回だ  
 一体誰の許可を得て  
 私の杏子を呼び捨てにしている?  
楓の背後で電話のやり取りを聞いている兎守はガクブル状態{{(@_@)}}
黒海老が「杏子」と言うのを数えている楓に、凄まじく粘着質な執着を感じたわ。

 
 
 勘違いしてもらっては困るな  
 杏子がお前と向きあっているのは  
 私が命令したからだ 
 
 
 杏子が真剣に付き合っているのも  
 時間を使っているのも  
 真っ直ぐ見ているのも  
 私だけだ  

杏子の人生に付き合えないと言いつつも杏子を大好きな気持ちが止まらない楓。
当主として子孫を残し家を繁栄させる義務を果たす為、偽物だとは思いもせず紗々女との結婚を決める。
幸せになりたいの!と杏子の前で感情を爆発させる紗々女だが、どういう理由があろうと好きになれないキャラだな。


そして、鐵男、出てこなくなったと思いきや暗殺者になっていた。
鐵男もカッコイイし、杏子のことが子供の頃からずっと好きなのでもっと顔出ししてほしいキャラの1人なんだけど。
杏子に憎まれて終わらないでほしい。


実は疾風を名乗る忍が紗々女のことも鐵男のことも裏で手を引いている。
疾風がなぜ楓をそこまで恨むのか、4巻では不明のまま。
この作品、杏子以外はみんな結構性格が悪いと言うか…ダーティー…(~_~;)



『忍恋』5巻あらすじ・ネタバレ感想 

●あらすじ
屋根の上に鐵男の姿を確認した杏子は、鐵男が楓を襲撃するのを止めようとする。
楓と紗々女の祭儀は無事に終わる。
笑顔でもつれない楓に紗々女は腹立ち紛れに、杏子は里にいい人がいたと言う。
杏子は楓に扮し寝所で鐵男を待ち受けるが、鐵男の本当の狙いは杏子だった。
杏子を助けようと現れた楓の胸に鐵男が投げた短刀が突き刺さり……。


●感想
”死なんてつまらない”ということが伝わってきた。
自分の人生を諦めていた楓が、死ぬことが我慢ならなくなるほど人との関わりが大切に思えるようになったのは良かった。


楓にとって先代当主の父は、冷たくて傍若無人で、周囲の人間からも好かれてはいない寂しい人だった。
父が病にふせるようになると、周りの人間はまだ幼い次の当主・楓に媚びるようになり、父の存在は薄くなる一方だった。
その様子を見ていた楓は、愛を知らず寂しい人間である父を蔑みさえもしていた。


ある日、楓は父が側忍である疾風には笑顔で話す姿を見てしまう。
側忍だけが信用できる存在だった父は、寂しい人間でも愛を知らない人間でもないと分かって嬉しい一方、本当に寂しいのは自分ではないかとショックを受ける。
自分こそ親にも愛されてもいない…父のように信頼できる側忍がほしい…。
その思いが「杏子杏子杏子」と杏子に執着するようになった理由だった。
そして、杏子に対する執着が「生きたい!」という思いに変わる。


ラブコメでありながら最初から最後まで「死」がテーマであった『忍恋』。
重いテーマでありながら、笑いの中に泣きを入れてくるのは鈴木ジュリエッタさんの十八番と言える。
まんまとハマり29話は泣いた。
楓の「生きたい」思いが伝わってきた。


楓が生きることに前向きになったのは良かったけれど、他の登場人物の背景などが、正直全5巻では描ききれなかったと思う。
百窓とは一体何だったのか、華山院家との繋がりもよく分からない。
他の同級生キャラに関しては、杏子を思うあまり楓がお膳立てしたものではあるが、もう少し杏子と彼らのエピソードもほしい。
本物の御堂家の娘ならあっさり楓と結婚できるのだが、杏子の出自もこだわらず。
全5巻でまとめたのは勿体ない。
もっと読みたかったな。
『忍恋』全5巻 あらすじ・ネタバレ感想 tataraworks

☆…☆…☆…☆…☆…☆

ありがとうございました

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