タローの犬小屋DX

僕は、何を探しているんだろう?
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カラフル

2010-08-23 23:46:29 | 日々
久々に映画館で泣かされました。

カラフル
監督:原恵一 原作:森絵都

原作は読んでいたから、もちろんストーリーも結末も知っていた。それでも、それでもやはり涙がポロポロこぼれてしまった。泣かせどころドンピシャで泣いたのが癪ではあるけれど、久しぶりに泣いてスッキリした。いい映画を観た、と思う。

物語は、死んだはずの「ぼく」が、成功すればまた生まれ変わることができるという「再挑戦」に当選するところから始まる。再挑戦とは、自殺した少年・小林真の身体に入って、「小林真」として生きること。でも、小林真少年の生活には、学校でのいじめや母親の不倫、思いを寄せる女の子の援助交際など、様々なことがありーー。
僕が初めて原作を読んだ頃は、たぶん中学生か高校生だった。主人公・小林真と同年代で、思い通りにいかない毎日で、心と体のバランスがぐちゃぐちゃで、いつも心のどこかが痛かった。いじめられていた訳でも、家庭内に何かトラブルがあった訳でもない。それでも、僕は「カラフル」を読みながら、憧れていた。

明日から、別の人間にリセットできたらいいのに、と。

小林真である「ぼく」が、家族に抱いていたネガティブな思い。それがほどけていく過程は、じんわりと泣けてくる。見えていなかった本当の思いに気づいて、自分がどれほど大切に思われて、他者に必要とされているかを知る。人はいろいろな「自分」を抱えて生きていて、それが普通なんだということ。そうして、暗い色だったはずの世界は色鮮やかに輝き始める。
そんな簡単に物事は解決しないし、渦中にいる時は痛くて苦しい。光に向かっているのか、もっと深い闇に沈んでいるのか、それすら分からない。だけど、ほんの少し自分が変わることで、周りの景色も変わっていく。だから、歩き続けることをやめないでほしい。物語は、そんなメッセージを発している。自分にも他人にも明るい色ばかりを求めてしまいがちだけれど、そうじゃないんだ。

人は、一色じゃない。カラフルでいい。

それは思春期の少年だけでなく、
今の僕にも強く響く。



ってかね、プラプラがかわいくてたまらないの(笑)!

親愛なる

2010-08-11 23:46:58 | 言葉
ぼくは、相変わらずの調子でやっているよ。
きみは、新しい仕事には慣れましたか?

*****

少し日に灼けた便箋に
僕の文字は照れたように傾いで、滲んだ。
知らない街の住所は蜃気楼のようで、
並べた名前さえ不自然に浮いて見えた。

好きな色を思い出して選んだ封筒に、
ありふれた柄のつまらない80円切手。
それは幼い僕の照れ隠しなんだけど、
はたして君は気づくだろうか。

ポストの底に着く音は
ツクツクボウシの鳴き声に消えた。

手放した帰り道、
コンビニで買った、
知らない漫画。