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タパニの音楽徒然

音楽があるなら!

【4年ぶりの更新】

2025年07月08日 | 日記
長らく開店休業状態であった本ブログ、4年ぶりの更新です。
朝比奈隆のベートーヴェンについて書いていくつもりでしたが、2020年からの社会状況の変化、そして私自身の仕事や生活スタイルなどについて色々と考えるところがあり、やむなくこのブログを放置しておりました。
その間も一定数の方に閲覧していただいており、再開を希望する声もいただきながらも応えられないことを申し訳なく思う気持ちもありましたが、ようやく再開いたします。

実は昨年の秋に20年以上にわたる東京での生活に区切りをつけ、生まれ育った関西に帰ってきました。
生活の変化に伴って音楽の楽しみ方も変わってくるものと思っておりましたが、それ以前にこの数年の日本の音楽界には様々なことがありました。

飯守泰次郎の急逝、外山雄三の逝去、小澤征爾の逝去、井上道義の引退、そして秋山和慶の急逝…。
ブログ放置期間にもコンサートには足を運んでおりましたが、外来のオーケストラや指揮者にやはり大きな魅力を感じながらも、私は国内のオーケストラの充実ぶり、そして日本人指揮者の活躍にこそ注目しておりました。
私が最も楽しみにしていたコンサートは、飯守泰次郎、井上道義、上岡敏之らによるものでした。
それらはウィーン・フィルやベルリン・フィルの公演よりも私にとって遥かに重要なものだったのです。

飯守泰次郎については、私が聴き始めたのは2014年頃からで、ベートーヴェン、ワーグナー、ブルックナー、ブラームス、シューマンといったところを聴き続けていました。
注意して追っていたつもりではありましたが、コンサートの記録を見返すと、もっと聴いておくべきだったと思うものも沢山あります。
私が聴いた中ではやはりワーグナーが最も素晴らしく、間違いなく日本最高のワーグナー指揮者であったと言え、世界的に見てもクナッパーツブッシュやティーレマンと並べたくなるくらいの実力者であったと信じています。
それらを追体験したいのですが、彼のワーグナー録音はごく限られたものしか出ていないのが実に残念。オペラ全曲盤が一つもないのは大問題でしょう。彼が一時期芸術監督を務めていた新国立劇場には重要な映像が残っているようなので、なんとかソフト化していただけるよう願いたい。
ブルックナーも素晴らしかった。私が聴いたのは00・0・4・6・7・8・9番で、特に2023年の東京シティ・フィルとの4番・8番は強く印象に残っている。この2曲はCD化されているが未入手の為、いずれじっくりと大切に聴いてみたいと思う。
関西フィルとの00番・0番を聴けたのも嬉しかった。関西フィルとは全11曲のチクルスを完遂しており、これらの録音が残っているのならどうか発売してほしい。
また、シューマン全曲・ブラームス全曲を聴けたのも自分の宝となっている。王道的なスタイルであったが、風格がにじみ出ており、それが作品自体の魅力と強く結びついていた。
これまた録音が残っているのなら是非とも公開してほしいところです。
飯守泰次郎は、とにかく実力のわりに音盤が少なすぎる。
レコード会社の奮起に期待したい。

外山雄三については、私が実演に接したのはごく僅かです。
彼の最後の公演は、2023年の5月のパシフィックフィルハーモニア東京とのシューベルトで、プログラム前半の第5番は指揮者なしに変更、後半の「グレート」のみ外山が指揮したが、第4楽章の途中で指揮不能となり、スタッフが急ぎで退出させ、演奏はコンマスのリードにより途切れることなく最後まで行われました。
私はこの日、客席にいました。比較的ステージに近い席であったので、その生々しい光景をはっきりと目撃することとなりました。
第5番は仕方ないにしても「グレート」については最後まで指揮したかっただろうと思う。本人はさぞや悔しかったと思う。
老匠ならではの立派な造形を土台としながらも、むしろ若々しい瑞々しさが息づく見事な演奏であっただけに余計にその思いが残ります。
私は2020年の新日本フィルとの公演も聴いているのだが、自作の「交響曲」、そしてベートーヴェンの7番も独自の魅力を感じさせるものであった。
自作の交響曲についてはYoutubeで見ることが出来るが、やはり素晴らしい。

小澤征爾については、数年前からほとんど引退状態にあっただけに、訃報自体には驚きはなかったのだが、やはり寂しい。
私は特に良い聴き手ではなかったが、それでもかなりの数のディスクを持っているし、好きな演奏も少なくない。サイトウキネンオーケストラとの演奏についてはテレビでの放映をいつも楽しみにしていた。(もちろん松本で聴きたかったのが本音だが。)
私が実演に接したのはたった一度のみ。1993年のウィーン・フィルとの来日公演(大阪)であった。
その時にいただいたサイン色紙は今も手元にある。
最近は彼の演奏を少しずつ聴き直しているところで、この指揮者の魅力と本質を自分なりに改めて確認したいと思っている。

井上道義については、何と言ってもショスタコーヴィチが最高に素晴らしい。
私は2007年の日比谷でのショスタコチクルスが行われているのを知りながら当時一度も聴きに行かなかったのだが、その後の2016年の東京フィルとの「レニングラード」を聴いて、遅まきながらこの人の凄さにはっきりと気づいた。
それからは彼の日本中のコンサートを聴きに行った。
大阪フィルとの4番から始まった名演の数々はそのほとんどが録音されているとのことで、全15曲が発売される予定(一部は既出)であり、それらを聴ける日を心待ちにしている。(同一指揮者で複数のショスタコ全集というのは世界初の偉業でしょう。)
彼の演奏で全15曲の演奏に接することが出来たのは本当に幸いで、そのいずれにも超一流の強烈なインパクトがあったのは本当に驚くべきことでした。
「レコード会社の要請で、馴染みのない曲も振ってなんとか全集を完成させた」というような大方の指揮者とは全く違う。京響との最後のショスタコにわざわざ第2番を持ってくるような人なのです。全15曲、いや協奏曲なども含めてこの作曲家とこれほど一体になった指揮者は他にはいまい。
その意味で私はムラヴィンスキーをも超える世界一のショスタコ指揮者であったと断言したい。朝比奈隆のブルックナーと同じかそれ以上かもしれない。
私は12月のラストコンサートを残念ながら聴けていないのだが、「ボエーム」とブルックナーの8番を京都で聴き、大阪でのラストコンサート(ベートーヴェンの5・6番)を聴くことが出来た。
まだ活動できそうにも見える中での引退は実に残念で本当に惜しいが、身体のコンディションについてはご本人にしか分からない辛さがあるのだろう。

秋山和慶については、誰もが驚いただろう。
それほど大きな病気をしたことがないような印象の人であったし、昨年の大晦日まで元気にステージに立っていた。
それが今年の元日に自宅で転倒し、打ち所が悪かったようで、まさかの引退発表。そして数日後の訃報。
あまりに突然のことで、呆然とするしかなかった。
私が実演に接したのは限られていて4回くらいである。
第九、ブラ1などどれもストレートで、さらに深い掘り下げを求めたいと思ったりもしたが、統率力は抜群でレパートリーも広大。
そして、日本全国のオーケストラの成長に彼ほど尽力した指揮者はいないかもしれない。
今年で84歳ということで、さらに進化するのではと私は期待しており、これからはもっと聴くようにしたいと思っていたところの悲報。
残念というしかない。

残る長老格・大家は小林研一郎、尾高忠明、小泉和裕である。
これまで以上に積極的に聴くようにしたい。
尾高忠明は近年の充実ぶりが素晴らしく、特に大阪フィルとの演奏は注目だ。私はこの人の演奏でエルガーに開眼した。ブルックナーもなかなか良い。
小泉和裕についても目が離せない。数年前まで手兵であった名フィルとの公演を聴くために私は何度も名古屋まで足を運んだ。
小林研一郎は大晦日のベートーヴェン全曲を一度聴いたことがあるが、その体力には本当に感心する。

中堅ではなんといってもやはり上岡敏之。
しかし近年、聴けるのが僅かな機会しかないのが残念だ。
かつて音楽監督を務めた新日本フィルの今シーズンの定期公演には上岡の名前がなく、見つけられるのは8月のサマーミューザでの1公演のみ。
ほかに二期会の「さまよえるオランダ人」と来年2月には読響の公演で聴けるが後者はプログラムがちょっと微妙…。
共演歴がないオケもどうか彼に声をかけてほしい。(京響が来シーズンで初共演予定。)
他には絶対にいない個性派の中の個性派であるから聴く人の好悪を分けるだろうが、ハマった時の物凄さは往年の大巨匠にも比肩する。

広上淳一、大野和士、高関健については部分的には感心しつつも満足した経験はあまりない。
沼尻竜典はおそらく晩成型のような気がする。6月の神奈川フィル定期での「ラインの黄金」は予想以上の秀演で、今後少しずつ存在感を増していきそうで、密かに期待している。
佐渡裕は10年くらい前はうるさいだけの印象があったが、最近はどうなのだろう?
下野竜也はまだまだこれからの気がする。(広上もそうだが、彼は音楽が健康的すぎるのと、テンポ設定に緊迫感が不足する。)
ベルリン・フィル定期へのデビューを果たした山田和樹は、キャラというか雰囲気が私は少し苦手なのだが注目はしている。
しかし、それよりも原田慶太楼、川瀬賢太郎、坂入健司郎、出口大地、そして沖澤のどかに期待したい。
そしてもう一人、松本宗利音は未聴なのだが大いに気になっている。大フィルのポストにも就いたので注視しておこう。

さて、次回更新は明日(7月9日=朝比奈隆の誕生日)の予定で、ここからブログ本題に戻ります。
まずは今年に新発売となった朝比奈のブルックナーの7番(78年都響)のレビューを。
その後は朝比奈のベートーヴェンを再開しますが、せっかくなのでブラームスも含めて進めることにします。
更新の頻度についてはお約束は難しくて、場合によっては1週間以上の空白が生じることもあると思いますが、なんとか続けていくつもりです。
ちなみにこのブログはGooブログなのですが、なんと今年の11月で終了してしまうとのことで別の場所に移行せざるをえないことに。
移行先については決まり次第お知らせいたします。
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今年もよろしくお願い致します。

2020年01月05日 | 日記


年が明けて5日目になりますが、新年のご挨拶を申し上げます。
年末からはしばらく実家で過ごし、昨晩東京に戻ってまいりました。

このブログは一昨年に始めたものですが、ほんの数回の更新のあと完全に放置しておりました。
しかし昨年に入ってから再開し、朝比奈隆とギュンター・ヴァントのブルックナーについてひたすら書き続けてきました。
12月29日(朝比奈先生の命日)に完結させるという目標を定めていて、それは余裕のあるプランのはずだったのですが、思うように書き進められない日も多く、スケジュールはどんどんきつくなり、夏の終わり頃にはもはや完全に時間の余裕がなくなってしまいました。
それでも進めていくにつれて訪問して下さる方が増え、感想や激励の言葉をいただけたおかげもあり、なんとか書き切ることが出来ました。本当にありがとうございます。
そして何よりも素晴らしい演奏の数々を聴かせてくれた朝比奈隆、ギュンター・ヴァントの両巨匠と各オーケストラ、及びレコード会社や関係者の方々の尽力にも改めて感謝したいと思います。

今回のような試みは私としては初めてであったので、最初の方はどのように書けば良いのか分からないことも多く、苦戦する日が多くありました。(いや、今でも毎回苦戦しています。)
音楽を言葉にするのは本当に難しいですね。うまく書かれている方の文章を読むとすごいなぁと思います。
自分の書いた文章を読み返すと納得のいかないものも多くあり、自分に足りない部分を痛感することは多々あるのですが、一朝一夕に変われるはずもなく、その時の自分に出来る書き方で経験を積んでいくしかないのでしょう。
読書に時間を当てる必要も感じていますし、音楽以外の芸術に触れる時間も増やすべきでしょうね。

今年に書くテーマも一応考えてはおりますが、すぐには始められないと思います。
1月は仕事が始まるとかなり忙しくなる為、しばらくは充電期間とさせていただこうと思います。(この数か月は、コンサート以外では9割方ブルックナーばかり聴いていたので、他の音楽をゆっくり聴きたい気持ちもあります。ブルックナーについては朝比奈・ヴァント以外の指揮者についても書きたいと思っておりますが、これはかなり先になると思います。)

さて、2020年はどんな年になるでしょうか。
やはりオリンピック一色に?私は東京でオリンピックを行うことには反対(将来的にはともかく、今はそれどころではない)という気持ちですが、いざ始まればある程度は観戦することになるでしょう。
しかし、今の社会が大変危機的な状況にあることを常に忘れるわけにはいきません。芸術などの文化、スポーツや娯楽など、社会が健全でなければどれも存続が危うくなってしまいます。今の政治体制が一日も早く新しいものに置き換わるよう自分にも出来ることを考えていきたいと思っております。

それでは、今後ともよろしくお願い致します。
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ブログ再開。朝比奈隆とギュンター・ヴァントのブルックナー視聴記を始めます。

2019年02月27日 | 日記
昨年の7月に始めた当ブログ…たった数回の更新の後、見事に完全放置しておりました。(苦笑)
コンサートには通い続けておりましたが、その印象をすぐに文字にするのは私には簡単なことではなかったというのが放置の理由ですが、どうにか再開したいという思いもありました。

そこで、本日から再開することに致しました。
しかし、綴る内容はコンサートよりもCDなどの音盤の視聴記をメインとする予定です。
コンサートについては新しく始めるツイッターで簡単に述べることとし、そこで述べ足りない公演については本ブログでも触れるつもりです。


さて、音盤の視聴記ですが、原則的にはテーマを設けて進めていきます。
最初のテーマとするのは、ブルックナーの交響曲。
私の最も敬愛するマエストロである朝比奈隆、そして同時代に活躍したギュンター・ヴァント。
この2人の遺した録音や映像を収録年代順にひとつづつ聴いていきます。

2人とも膨大なディスク数となるので、気が遠くなりそうな企画ですが、私自身が以前からやりたいと思っていた内容であり、先日ようやくほぼ全ての演奏を揃えたところなので、満を持して(?)始めることとしました。
進め方ですが、2人の指揮者の録音や映像について朝比奈を8つ、ヴァントは7つの時代にわけ、それを交互にとりあげてゆく形式とします。
レビューのスケジュールプランは以下の通りです。(事情により一部変更する可能性もあります。)

①朝比奈隆 1968~1978(ジャンジャンの全集など)
②ヴァント 1971~1981(ケルン放響の全集など)
③朝比奈隆 1977~1979(新日本フィルや札響の発掘音源など)
④ヴァント 1979~1984(N響との録音など)
⑤朝比奈隆 1980~1989(東京カテドラルでの録音をきっかけとした全集・選集など)
⑥ヴァント 1985~1989(北ドイツ放響との録音)
⑦朝比奈隆 1991~1993(新日本フィルとの選集など)
⑧ヴァント 1990~1992(北ドイツ放響との録音など)
⑨朝比奈隆 1992~1995(キャニオンの全集)
⑩ヴァント 1993~1996(北ドイツ放響、ベルリン・ドイツ響との録音など)
⑪朝比奈隆 1993~1996(東響との選集など)
⑫ヴァント 1998~1999(ベルリン・フィル、ミュンヘン・フィルとの録音など)
⑬朝比奈隆 1997~1999(N響、都響との録音など)
⑭ヴァント 2000~2001(最晩年の記録)
⑮朝比奈隆 2000~2001(最晩年の記録)

原則として収録順で進めていきますが、便宜上、全集や選集はまとめてとりあげ、同時期の単発の録音とは前後する部分が出てくる予定です。
同一演奏で録音と映像が存在する場合は両方を視聴します。
(SACDなどの高音質メディアとの比較は、可能な範囲で行うつもりです。)
特に気に入った演奏については、なるべく楽章ごとに印象を述べていこうと思いますが、全体の雑感を述べるに留まる演奏も出てくるかと思います。

改めてディスク一覧を眺めたところ、これはやはり相当の時間を必要とします。しかし、なんとか年内には完結したいと思っております。
(私が今年に聴く音楽は、コンサート以外では90%以上がブルックナーになってしまうだろう計算になります。。。)

どうか気が向くときにふらっとご訪問いただければ幸甚でございます。
それでは宜しくお願い致します。
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朝比奈隆 生誕110年!

2018年07月09日 | 日記
朝比奈隆 生誕110年!

初めまして。
タパニと申します。
本日7月9日は朝比奈隆が生まれた記念すべき日。

突然ですが、クラシック音楽をテーマにしたブログをひっそりと始めさせていただきます。
ただし、準備不足のため本日は予告まで。

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