限界列島 

制度疲労の限界に近づく日本社会

●ダム決壊!行政の怠慢が福岡市を救った

2009年07月30日 | 時事
福岡市の中央を流れる那珂川。有名な博多の歓楽街、博多中洲を流れる川である。この川の上流に南畑ダムという中クラスのダムがある。このダムが先日の集中豪雨で、決壊の危機に瀕した事は全国的には殆んど知らされていない。決壊すれば、100万都市のダム決壊として日本の歴史に残る大惨事を引き起こしていたに違いないのだが。

皮肉にも、この大惨事を回避できたのは、行政の常日頃の怠慢と責任逃れのお役人仕事のお陰であった。県にも市にもこの状況を想定した防災基準が準備されていなかったのである。時間雨量100mmを越す、かって無い集中豪雨ではあったが、貯水量が一気に140%まで達したのである。福岡市民は誰もその事を知らされず、中州や天神を楽しく歩き回っていた。

このままでは、ダムからのオーバーフローは時間の問題であり、決壊もまじかに迫っていたのである。ダムを管理する福岡県は大惨事を防止する為、大量放水を決意し、福岡市に通達した。
が、福岡市は待ったをかけたのである。既に那珂川の下流域では危険水位を超え、市街地では浸水が始まっていた。これにダムの放水が加われば地下鉄や地下街が水没するのみならず、地上でも人命をも奪う大惨事が予想される状況だったからである。
それでもダムの水位は上昇を続け、ついに、県は覚悟を決め、12時30分から大量放水する事を決定し、福岡市に連絡した

県と市が慌てふためいているうちに、12時15分、ダム周辺の雨は突然弱まり、県は12時30分からの放水を見合わせたのである。県なり、市なりが、事前に放水基準や、避難基準等の防災基準を定めていたら、140%などという限界を待たず、もっと早い時期から放水し、福岡市は全市民に避難命令を発していたに違いない。
それだけでも大パニックを引き起こし、街は大混乱に陥り、逃げ惑う人々は地獄を見たに違いない。更に、県が放水を決意し福岡市に連絡したにも拘わらず、市民への緊急避難命令を怠って、発令しなかったのは幸いであった。市の不手際も結果的には市民を救った事になる。

たった15分の違いで、福岡市民は何事もなく、雨雲を恨めしげに眺めておれたのである。あと15分、雨が降り続いていたら、福岡市は、イタリアのポンペイのように世界遺産になっていたかもしれない。この危機的経験を、生かそうとする動きが何処にも見当たらないのが不思議である。
地方紙が事実を報道しただけで、既に忘れ去られようとしている。

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