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イタリア中世城塞都市に潜む孤独な暗殺者、『ラスト・ターゲット』

2011年07月16日 | 心に沁みる映画
 ダンディーな大人の魅力で人気のジョージ・クルーニーが演じるのは、裏社会に生きる孤独な暗殺者。この映画、そんな男の人生最後の日々を綴った本格的サスペンスドラマである。

 原作は、英国人作家マーティン・ブースの『暗闇の蝶』、脚本は『ブライトン・ロック』で監督デビューしたローワン・ジョフィ。監督は2007年、『コントロール』でカンヌ映画祭特別賞を受賞した世界的なフォトグラファー、アントン・コービンである。だからであろうか、自然や風景の美しさが繊細に切り取られた映像が素晴らしい。

 物語は、スウェーデンの針葉樹林の雪原で狙撃されるシーンから始まるが、主人公がどういう人物で、何をしようとしているかなど説明は一切ない。暗殺者を演じるジョージ・クルーニーもいつもの笑顔を見せることなく、寡黙な演技だ。格好いい。背中に彫られた蝶のタトーが孤独な暗殺者に相応しく、印象深い。男は、ローマで組織と接触した後、イタリアの中世の山岳都市に身を顰める。もう決して若いとは言えない暗殺者の孤独と不安が画面に張り詰め、緊張感を漂わせる。そんな中、知り合った娼婦クララと次第に心を寄せ合う男と女の触れ合いが心に沁みる。こうして、物語はクライマックスへ・・・。

映画のラストは、ひらひらと木の幹に沿うように空に舞い上がる白い蝶のシーン、これをカメラがゆっくり追う・・憎い演出だ。

 この映画のもう一つの魅力は、舞台となったイタリア中世の城塞都市、『カステル・デル・モンテ』の荘厳な美しさにある。私は一昨年、フィレンツェからアッシジ、シェナなどの中世都市を旅してきたが、素晴らしかった。この映画に登場する中世都市の佇まいは、それを見るだけでも価値がある。(山下)




中世城塞都市『カステル・デル・モンテ』



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