税理士 田村直樹の 「建設業者の会計・税務・経営のポイント」  個人事業から会社へ、決算、調査、相続に安心で対応

税理士 田村直樹 が、建設業者の会計・税務・経営のポイントをやさしく、わかりやすく解説します。

決算をまたぐ工事

2024-05-13 11:25:37 | 日記
建設業において、決算をまたぐ工事の会計処理について説明します。

決算をまたぐ工事とは、決算月を超えてまだ完成していない工事のことを指します。

このような工事の会計処理にはいくつかのポイントがありますので、以下に詳しく説明します。

工事完成基準と工事進行基準:

建設業では、売上と経費の計上方法が2つあります。

工事完成基準: 工事が完成した時にまとめて計上する方法です。

一般的には、1年以内で完成する「住宅工事」や軽微な工事に関してはこの基準で会計処理が行われています。

工事進行基準: 工事の進捗状況や出来高に応じて計上する方法です。大規模工事や1年を超える工期の工事にはこの基準が適用されます。

決算をまたぐ工事の処理方法:

決算までに工事が完成しなかった場合、**「未成工事支出金」**として計上されます。

未成工事支出金は損益計算書上ではなく貸借対照表上の科目であり、売上や経費とは関係がありません。

例えば、材料費を支払った場合、以下のように計上します:

材料費50万円を現金で支払った場合:

借方: 現金

貸方: 未成工事支出金 (適用や補助科目で「材料費〇〇工事分」と記載)

工事が完成した場合:

借方: 材料費

貸方: 未成工事支出金 (適用や補助科目で「〇〇工事完成による振替」と表記)

注意点:

決算をまたぐ工事がある場合、以下の2点に注意が必要です:

完成工事基準を選択していながら出来高を売上計上する: 完成工事基準を選択している場合は、工事が完成するまで売上として計上できません。誤った申告は避けましょう。

未完成でありながら経費として計上する: 材料費や外注費を未完成工事として計上すると、利益の減少となり、税務署から指摘される可能性があります。

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