萩原真一郎さんの歌をまた思い出して、よんでいた。
彼の歌はなんて幼稚なんだろう、なんて儚げで、純粋なんだろう。
余りに若過ぎて、余りに純粋過ぎた歌人。こんな歌人にはまだ僕はあったことがない。
詠もうとすると、少し小っ恥ずかしくなるような、そんな歌の数々でも、簡単に歌っているようでも、余りに多くの人生の模様がその歌の一節には広がっていると感じられる。
僕はそれを己の青春時代の感興と共に重ね合わせて、涙が溢れる。
それは今の時代に、僕を心から奮起させる。歌を通じて作家と出会う。それはまた僕ら自身であるような作家と。
どうして、彼はあのような歌を残してすぐに、あのような決断をしたのか。
彼と同じように、自転車と短歌とロックンロールを愛する若者として、僕も常に自分と対峙して己を超克できるように生きたいもので、その生きる術や結末がどうであろうとも、必ず、こうした歌は後世に残るものだと思いながら、僕も彼の跡を踏むでもなく、純粋に素直に生きていこうと思うのであった。