高校は隣り町の海辺
帰り道は
高校の北側に広がる
お屋敷街を抜ける
明治の元勲が
多く住んだ町だ
東へと走る道は
とうさんの通勤路
隣り町の小学校に
勤めていたから
そして、微かな記憶
その道を走る
とうさんの行き帰り
高台の実家から
いつも見ていた記憶
チャリで走るとうさん
「おかあさん❗️おとうさんが❣️」
1キロ近くあった筈
ちょっと信じられないが
家のある高台は
なだらかに降って行く
遮るものがない
故郷の川に掛かる
土橋は、よく見えた
とうさんは、亡くなって
高校生のおまえが
その時は、走っていた
ぼんやりと物思い
ふと…がしゃんっ❗️
我に返る
止まっている乗用車
ブレーキを掛けてくれたけど
軽くぶつかり、倒れた
慌てて飛び出して来る
運転手さんが
「大丈夫❓」
おまえが、全面的に悪い
「大丈夫です
すいません…」
小声で、謝って
逃げるように
たまに、思い出す
信じでないけどね
妄想、作り話
飛び出したバイパス線は
駅伝の通る道
あの辺りは
小学生のおまえが
あの子を捨てた辺り
きっと、祟りだな
いや、違うな
あの子は
おまえとは違う
本当に優しい子だった
きっと、おまえを
守ってくれたのかな
とうさんと一緒に
幾十年と経った
信じてないけど
少し、温かい