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星ガ丘ワンダーランド

2016-03-28 20:44:34 | 映画

先日の休みに映画を観に行った。

中村倫也 主演のドラマ、"星ガ丘ワンダーランド"だ。

CMクリエイターとして名を馳せている、柳沢翔氏の長編映画初監督作品。

オリジナルの脚本で豪華俳優陣を迎えて映画界に参入した意欲作。

 

 

春休みのこの時期、色々と話題作が公開され、

この映画が公開された3月上旬も、邦画・洋画・アニメ、

いろんなジャンルの大作が一気に封切となった。

そんななか、この地味目なドラマの予告編を観る。

主演は知らない若い俳優。

脇を固める俳優はやたら豪華。

 

サスペンスっぽいけれど、なんとなく人情ドラマのような趣もあり、

こんな大作揃いのなか地味に公開開始され、

また、やけに美しい映像も気に行って、観に行くことにした。

 

 

小さな田舎町、星ガ丘。

その駅に勤務する、温人(中村倫也)。

駅の落し物・忘れ物コーナーの担当をする温人は、

届けられる落し物の持ち主を想像して、そのタグにイラストを描いていた。

持ち主を待つ落し物たちと一緒に、温人もまた20年間待ち続ける人が居た。

 

20年前の雪の日、幼かった温人の前から立ち去った母親。

父親と口論の末、車から飛び出して雪道を歩いていった。

母親が落とした手袋を持って、追いかける温人。

「必ず取りに来るから、こっちは温人が持ってて・・・。」

追い付いた温人にそう言うと母親は、振り返ることなく家族の前から去っていった。

 

 

星ガ丘ワンダーランド。

20年前、街の高台に作られた遊園地。

開園当時は若者から家族にまで親しまれたレジャースポット。

シンボルの観覧車は夜になると美しくライトアップされ、カップルの聖地にもなっていた。

だが次第に客足が遠のき、ここ10年ほど閉鎖されていたが、ついに閉園が決まった。

温人にとって最後に家族で訪れた思い出の場所。

その思い出の場所がとうとうなくなってしまう。

ずっと待っていた母親もついに現れないまま・・・。

 

 

そんなとき、ワンダーランドでひとりの女性が死亡する。

警察は自殺と断定する。

その女性こそ、温人がずっと待っていた母親、爽子(木村佳乃)だった。

ワンダーランドのシンボル、観覧車から飛び降りたという。

突然の訃報を受け容れられない温人。

父(松重豊)の死から疎遠となっていた兄、哲人(新井浩文)と再会。

そして、母の再婚相手の娘、七海(佐々木希)と、再婚後の母の息子、雄哉(菅田将暉)と出会い、

温人の抱える複雑な想いと、再会した兄や出会った母の子どもたち。

それぞれが母の自殺に疑問を抱いていた。

それぞれの想いが交錯するなか、母の死の真実に迫る―。

 

 

おもしろかった。

淡々と物語は進む。

もっとサスペンスドラマみたく、スリルがあってハラハラするようなものかと思ったが、

そういうものではなく、淡々と進むファミリードラマ。

悪に思えた、父親や兄の哲人もそうではなく、

それぞれが理由を抱えて、この複雑な家族の物語を紡いでいた。

なので、どんでん返しを期待するような、ミステリードラマではない。

サスペンスでみるようなアクションシーンなどもない。

地味だけど喧嘩のシーンはある。

 

 

主演の中村倫也、知らないと思っていたけれど、どうにも名前に見覚えがあった。

そうして映画を観ているうちに思い出した。

一昨年の大河ドラマ、"軍師官兵衛”に、信長の嫡子、織田信忠役で登場した若手俳優さんだった。

思い出したとき、我ながらよく思い出したな!とニヤリとした。

幼い頃に母親と生き別れ、暗い過去を背負った青年。

難しい役を淡々と、ときに喜怒哀楽むき出しで演じていた。

基本童顔に見えて人相が悪く見えるときもあり、

やはり人相の悪い新井浩文との兄弟役はピッタリだったかも。

そうそう、新井浩文の演じた哲人の幼少期。

その子役がまた人相というか目付きが悪くって、よく見つけて来たな!と感心した。

 

 

佐々木希。

最初登場したとき、誰だか判らなかった。

ひどくやつれた、アラサーくらいの美人女性。

母親を突然亡くして悲しみの底に居る娘。

父親や弟のために気丈にふるまう。

実の兄弟から母親を奪ったという罪悪感をずっと背負ってきたという難しい役。

それを美しく演じていた。

途中で佐々木希だと気付いてびっくりした。

もっと若い頃は確かドラマとか出ていたけれど、演技ひどかったような・・・。

歳を重ねて、艶っぽくなったというか、色っぽく美しくなっていた。

人気絶頂の若い頃はあまり好きな子じゃなかったんだけど、なかなかどうして。

さすが秋田美人だ。

 

 

爽子の自殺に疑問を抱き、独自に捜査を続けようとする刑事役に

この作品では完全にチョイ役だが、その頭身と美しさは際立つ。

先日テレビであった、ガリレオ 真夏の方程式のときが美しさは上だったけれど、

この刑事役のパンツスーツ姿もいい。

だが、上司の刑事(嶋田久作)の方が目立っていたな・・・。

あのアゴを持つ帝都大戦のオッサンのインパクトにゃ杏でも敵わないや。

 

 

 

菅田将暉。

海月姫で女装趣味のボンボン役を観て衝撃の走った若手俳優さん。

最近ではスマフォのゲームやauの鬼ちゃん役などCMでも大活躍。

中村倫也や佐々木希同様、母親の突然の死を受け容れられず、

実の姉や異父兄弟に激しくぶつかるという、これまた難しい役を演じていた。

このひと、二枚目から三枚目、そして美女?と、演じられる幅がとても広い。

 

春休みまっただなか。

話題作や人気作の続編などがどんどん公開され、

この星ガ丘ワンダーランド、早くも公開終了している劇場が多い。

色々と希少価値の高い映画だと思うので、

まったりしたサスペンスが好きな方(そんなひと居るのか判らないが)、

複雑な家庭環境に悩んでいる方

(そもそも映画とか観られるのか判らないが)などに観てもらいたい作品。

 

すごく個人的なんだけど、別れた元妻が木村佳乃にうりふたつ。

奇しくも年齢も同じ。

元妻も木村佳乃も歳を重ねたけれど、今もうりふたつのまま。

よく街中で間違われていたくらい。

そしてこの映画で、その元妻にそっくりな木村佳乃が冒頭で夫の元から立ち去る。

元妻もよく来ていた赤いジャケット姿で。

これは、なんて酷いデジャヴなんだろう・・・。

 

 



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