よろず戯言

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総理の夫

2021-10-21 15:06:40 | 映画

 

久しぶりに映画を観てきた。

田中圭主演のドラマ、“総理の夫”だ。

原作は原田マハ氏の同タイトルの小説。

キャッチコピーは、“日本の未来、先取りしちゃった。”

 

 

ここしばらく映画館へ行ってなかった。

ただ、映画情報サイトで上映されるものはチェックしていた。

この映画も、公開前には知っていた。

主演の田中圭だけは把握したが、そこまで詳しくはチェックしておらず、

なんとなく、おもしろそうだなと思っていた程度。

 

緊急事態宣言も明けたことだし、映画でも観るか。

最寄りの映画館の上映スケジュールをチェック。

そこで、この映画が目に留まる。

しかも翌日には公開終了となっていた。

田中圭は好きな俳優だし、これに決めた!

朝イチの一回きりの上映となっていたので、早起きして出かけた。

 

 

鳥おたくの相馬日和(田中圭)。

鳥好きが高じて、野鳥の研究機関で仕事をしている。

渡り鳥の調査のため、北海道へ十日ばかりの出張が決まる。

ウキウキしながら、その準備をする日和。

そして、朝食の準備をし、まだ寝ている妻を起こす。

 

妻は、凛子(中谷美紀)。

彼女の仕事は深夜にまで及ぶ。

毎晩疲れ果てて帰宅し、床に就く。

二人で朝食を済ませ、日和は大きなリュックを背負って家を出ようとする。

日和を見送る凛子だが、ふと呼び止める。

「もしも私が総理大臣になったら、何かあなたに不都合ある?」

 

凛子の唐突な問いかけに戸惑う日和。

日和は大財閥の御曹司。

幼い頃から何不自由なく暮らしてきた世間知らずのお坊ちゃん。

大財閥の御曹司であるにも関わらず、鳥の観察にしか興味がなく、

政治にも経済にもまったく興味がなく知識もない。

凛子の問いかけにも、どう捉えていいのかすら解らない。

返答に困る日和を見て、凛子はそれを察し、言葉濁したまま笑顔で日和を送り出す。

 

日和が一目惚れして交際がはじまり結婚に至った相手、凛子。

実は輝かしい経歴を持つ、スーパー才女。

東大在学中にアメリカの有名大学に留学し、ノーベル賞受賞経歴を持つ教授に師事し、

帰国後、政治学者としてテレビのコメンテーターとしても活躍し、

31歳という若さで無所属から出馬して初当選。

二期目には新党、“直進党”を立ち上げ、じわじわと支持を得て、

こつこつと議席数を増やしている党の党首なのだ。

 

北海道で地元の大学の研究グループと一緒に、渡り鳥の観察をする日和。

ヒシクイという渡り鳥の、今季最初の飛来を確認して歓喜する日和。

調査日程を終えて、東京へと戻ってきた日和。

リュックを背負って空港のロビーへ出ると・・・。

 

「相馬日和さんですよね!?」

「日本初の総理大臣の夫して、ひと言お願いします!」

いっせいに日和を取り囲む報道陣。

大勢のリポーターやカメラマンに囲まれ、

何事か解らず、ただ慌てうろたえる日和。

 

 

そこへひとりの女性が割って入り、強引に日和を連れ出す。

空港の外で待機していた車に日和を押し込み、

報道陣を無視して、そのまま車を出す。

女性は、内閣広報担当の富士宮あやか(貫地谷しほり)。

日和が何も知らないことに驚き呆れる、富士宮だったが、

自宅へ送り届ける間、日和に事情を説明する。

 

まだまだ小さな野党のひとつだった、凛子の直進党。

しかし“政界のドン”と呼ばれる、最大与党に所属する大物議員のひとり、

原九郎(岸部一徳)が、会派を連れて与党から離脱。

新党立ち上げと同時に、躍進を続ける凛子の直進党と手を組み、連立与党が成立。

そうして、あれよあれよと、凛子が総理大臣に担ぎ上げられたのだった。

 

知らないうちに、ファーストレディ・・・

いや、ファーストジェントルマンになってしまった日和。

日本初の女性総理大臣の夫、すなわち日本初のファーストジェントルマンとして、

いっせいに日本中から注目される存在に。

 

家の門の外にはいつの間にか守衛室が作られ、警備員が常駐。

朝の出勤時には、門の外に大勢のファンが駆けつけ、

職場では、所長はじめ同僚たちがお祝いし気遣いしてくるが、

日和の件で電話が鳴りっぱなしで仕事にならない。

さらには、世間知らずで総理の夫として自覚のない日和に対し、

実家の母親、ソウマグループ会長でもある崇子(余貴美子)や、

ソウマグループCEOを務める、兄・多和(片岡愛之助)に厳しく窘められる。

 

政治のことや、総理の夫としての世間体など、あまりに疎い日和に対し、

富士宮は事細かく説明し、日和が身勝手な行動をしないよう、

GPS付の専用のスマートフォンを持たせたうえ、日和の動きを厳しく制限する。

大好きな鳥の研究の仕事をし、気ままな生活をしていた日和はいっきに不自由な生活となる。

所長が日和の行動制限に配慮して、渡り鳥の調査も別のスタッフが担当することに。

大好きな野鳥観察の出張にも出かけられなくなってしまった。

 

強面なうえにポーカーフェイス、だが真面目な官房長官、小津(嶋田久作)、

若くてイケメンな敏腕総理秘書、島崎(工藤阿須加)、

そして、凛子を総理に押し上げた政界のドン、原九郎。

これまで到底 無縁だった世界の人たちに囲まれ、

ファーストジェントルマンとしての日和の過酷な生活がはじまる―。

 

 

 

面白かった。

コメディだと思っていたが、ふつうにドラマだった。

前半は笑えるシーンがそこそこあるものの、後半はウルっとくる展開に。

 

原作者が女性だからか、現代社会における女性の立場、

その厳しい現状を視聴者・読者へ提起しているように思えた。

男性社会のなかで、強い意志を持った女性がいかにして改革に臨むべきか、

その理想や夢を実現させることが可能なのかどうか?

先進国で最も女性の社会進出が遅れていると指摘されて久しい日本。

結婚・出産・育児・家事・・・妻として母親として、いち女性として、

様々な問題をこの特異ともいえるシチュエーションで考えさせられる。

これを特異だと感じる時点で、もしかしたら自分もまた、

時代錯誤な考えを持っているのかもしれない。

 

それにしても見事な公開時期だと思った。

先日行われた自民党の総裁選。

女性がふたり立候補していた。

残念ながら この映画のように、初の女性総理誕生とはいかなかったが、

もし女性総理が実際に誕生していたならば、

この映画自体も原作も、監督はじめ映画関係者は、

ものすごく脚光を浴びていたに違いない。

 

相馬日和役の田中圭。

素晴らしい俳優になったなあ。

数年前まで地味で不幸な脇役しかやっていなかった印象だけど、

今や映画やドラマで主演を果たすまでになっている。

しかし、今でも情けない頼りない役をやらせたら、やっぱり随一だ。

本人は不本意かもしれないが・・・。

挙動不審なシーンや目が泳ぐシーン動揺するシーン、

どれひとつとっても、もはや名人芸。

好きな俳優さんだ。

一時期、向井理と区別つかないときがあったけれど・・・。

 

 

相馬凛子役の中谷美紀。

その役名どおり、凛としていて力強く、

最高に美してかっこよかった。

所作やしゃべり方、スーツ姿にドレス姿に和装姿、どれもため息がでるほど美しい。

高校生のとき、ガソリンのCMで ひと目惚れしただけある。

 

実は途中までずっと柴咲コウだと思っていた。

これ・・・もしかして中谷美紀?

いや、わしと同じ歳じゃけえ、45だろ?

こんな若いわけないよな、田中圭とも年齢釣り合わないし。

やっぱ柴咲コウだろう・・・?

最後のスタッフロールで中谷美紀だったと確認して驚く。

ちょ・・・このひと歳とらんの!?

 

脇役のひとたちも素晴らしかった。

貫地谷しほり、最初彼女だと思わなかった。

これ貫地谷しほり?

いや、顔似てるけれど、違うよな?

こんな若くないはず・・・それに痩せてる。

誰なんだろう・・・?

で、こっちも最後のスタッフロールで、やはり貫地谷しほりだと確認する。

ふっくらしていたのが、すごい痩せて、なんだか若返ってる!?

ついこないだ彼女の若い頃の出演作、スゥイングガールズを見直したけれど、

あのときから既に巧かった。

この子も素晴らしい俳優さんになったなあ。

 

 

島崎役の工藤阿須加。

工藤阿須加は最近はバラエティでも見かけるようになり、

地道にやっていて、お父さん(ホークスの工藤監督)と重なる部分がある。

お父さん譲りのベビーフェイスで、嫌味のないイケメン俳優。

今後も活躍を期待している若手俳優さんのひとり。

 

小津役の嶋田久作。

その雰囲気たたずまい・・・というか容姿だけで演技ができてしまう名優さん。

帝都大戦の加藤保憲のインパクトで、あれを観た人全員が記憶に残るお顔。

加藤保憲のような悪役から、今作のような良いひと役まで、

どの映画のどの役でも、観ていて安心する。

どんな端役であっても、登場したらニヤリとしてしまう。

そんな大好きな俳優さん。

 

余貴美子,片岡愛之助,木下ほうか等、

その他のひとたちも、相変わらずクセが強いキャラの役で楽しかった。

岸部一徳はさすがとしか言いようのない演技。

もうこういう役、どの映画もどのドラマでも同一人物にしか見えないけれど、

それがまた、岸部一徳の魅力だと思う。

ついこないだまで、数年前に亡くなった岸部四郎さんの方が兄だと思っていた。

ドラマ、西遊記の沙悟浄役しか思い浮かばないけれど、

岸部四郎さんも独特な俳優さんだったなあ。

 

あと、今回初めて知った俳優さん。

日和の同僚役の女の子、るい役の松井愛莉ちゃん。

どっかで見たような顔立ちの女優さんだけどなあ・・・誰だろう?

仲間由紀恵に似てるなあ。

でも、仲間由紀恵にしては若いから違うよなあ・・・誰だろ?

知らない女優さんだった。

日和の職場での紅一点で、映画では割と重要な役。

それ罠だよ!

ハニートラップだよ!!

日和に思わず叫びたくなった。

 

怪しいフリーライター、阿部久志役の、米本学仁(たかと)。

こちらも重要な役。

かなり巨漢の俳優さん。

その巨体でテルマエ・ロマエなんかに出てた、勝矢かな?と思ったけれど、

勝矢は ここまで太ってなかったよな?

で、初めて知る俳優さんだった。

なんでもアメリカでスカウトされてそのまま映画に出演。

ハリウッド映画が役者デビューだそうで、あちらでも活躍している凄い方だった。

しかし・・・名前が読めなかった。

  

劇中に日和が大切に飼っているオウムが登場する。

日和の口癖をマネしてしゃべる、相棒のような存在。

ピンク色した、ギザギザのトサカが印象的なこのオウム、

オーストラリアに生息する、クルマサカオウムという種で、

100万円前後で売られている高級な鳥だとか。

大財閥の御曹司に相応しいペットなんだな。

 

総理大臣ネタということで、

三谷幸喜監督の、“記憶にございません!”を連想してしまい、

完全にコメディだと思って鑑賞したが、まったくの思い込みだった。

久しぶりに映画を観て楽しかった。

やっぱり息抜きにも、映画を観なきゃいけない。

 

ドラゴンクエストⅩで、総理の夫ポジションといえば、この方、メルー公。

女王の夫なんで、実際には さらにその上に当たるだろうが。

このナリとおとぼけな口調で、実は最強の魔法戦士だと誰が想像できただろうか。

 

女王ディオーレ様はいつ見てもお美しい。

メルー公も、結婚する以前は誰もが納得するようなイケディだったんだろう。

ガートラント王国のスピンドル兵士長も・・・。

 

  

 



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