秋を代表する草花、ススキ(M.Sinensis)。
福岡県北九州市小倉南区 平尾台にて
添田町 英彦山にて
イネ科の雑草で、日本全国に分布している。
葉はカヤ(茅,萱)と呼ばれ、昔は家畜のエサや住宅の屋根の材料として重宝された。
地下茎が土中で広がり、いくつもの株が成長し大きな株になる。
すらっと長く伸びた茎の先端に、細い花序を十数本並べて穂を形成し、
群生したススキの穂が風に揺られる姿が美しい。
日本人は古来よりこのススキの花姿を好み、
秋の季語として歌に読まれたり、風物詩として絵に描かれたりしている。
ススキの穂
添田町にて
記事・中秋の名月でも紹介したが、
秋の月見には欠かせない草花。
この月見の時期には切り花としても流通する。
そこら辺に生えているものだが、これがけっこう需要があるのだ。
主に生け花用の花材として市場に出る。
久山町にて
ススキの穂は、若い内はあずき色をしている。
花序の先に花を付け、やがて実を結ぶと白い綿毛が生え、
それが穂全体を覆うため、成熟した穂は白くなる。
この白い穂先が太陽の光を浴びて、ときに銀色に輝いて見えることも。
英彦山にて
ススキの葉(カヤ)は細長くて固い。
さらに縁はミクロで見ると鋸状にギザギザの切れ込みが存在し、
うっかり触ると肌をスパッとやられてしまうことも。
これがヘタな刃物でケガをするよりも痛いことがある。
子供の頃、これでよく手や膝小僧を切ったものだが、風呂でしみることしみること。
ススキの葉
英彦山にて
先日の記事、平尾台にて、
このススキの写真を収めようと平尾台まで出向いたことを書いていたが、
満足のいくススキの群生に出会えなかったため、
その次の休日に、気を取り直して添田町(そえだまち)にある、
霊峰・英彦山(ひこさん)へと出かけた。
ここには、だだっ広いススキの群生があるという。
新聞やネットで調べたところ、ススキの群生があるのは、
豊前坊とよばれる場所で、英彦山キャンプ場のそばらしい。
詳しい場所をロクすっぽ調べもせずに出かける。
というか、いろいろ検索したが詳細な情報が得られなかった。
まあそのススキ群生現場は、冬季にはミニスキー場にもなる場所らしいので、
さぞ広大だろうから、迷うこともなかろう。
シーズンオフで人気のないキャンプ場入口
40分ほどかかったろうか。
迷うことなく英彦山キャンプ場へと到着。
道路沿いの駐車場に車を止めて、デジカメ片手にさっそく敷地内へ。
シーズンオフで静まり返っている場内。
事務所も施錠されていて無人。
地図で見ると、キャンプ場のすぐ隣が、
ススキの群生地らしき“スキー場”になっていたのだが・・・?
!
道路を挟んで向かいの雑木林のなかに、ススキの群生を発見する!
さっそく道路を横断して雑木林に入る。
コンクリートで舗装された遊歩道?が設けられていた。
うっそうとした雑木林の向こうに斜面があり、
そこにススキの群生が確認できた。
道路脇から雑木林に沿って斜面があり、一面にススキの群生が見られた。
確かに、すばらしい群生。
だが・・・あの有名なススキの群生は、こんなものじゃないハズ。
なによりも、この程度の斜面でスキーができるなんて思えない。
周りは雑木林で、倒木や朽ち木も転がっており、小川も流れ、ゴツゴツした岩もある。
やっぱりここは違う。
また遊歩道のようなコンクリートの舗装路を通り、
キャンプ場の方へと戻ることにした。
途中、ススキに混ざって、まりあーのさんのブログにも登場した、
チカラシバもたくさん生えていた。
チカラシバ
根が強靱で、引っこ抜くのに力が要るので、この名が付いた。
イングリッシュガーデンでは庭草に使われるため、
大きめの園芸店では、これの園芸品種苗が売られている。
チカラシバの種子は、動物の体毛に付着して移動し、分布を拡げる。
このように人間の衣服にも付着してしまう。
雑木林の中では、いい感じの朽ち木や切り株が点在していた。
そのなかでキラキラポイントを発見!
これは見事な“緑のコケ”!!
バージョンアップ後、めっきり取れなくなったように思う。
苔むした切り株。
こういうの好きだな~。
見事な緑のコケ。
ヒカリゴケかな?
キャンプ場まで戻り、今度は場内の遊歩道を進むことにした。
宿泊小屋やプールを通り過ぎ、登山道へと続く。
舗装路が消え、天然の石が積まれ、階段のようにあつらえられた登山道。
こういうのって段差の高さが一定でなく、段差と次の段差の距離も一定でなく、
歩くと疲れるので、わざとその縁(へり)を歩く。
アズラン地方の道路みたいだ。
こんなところにも軍手が!
落ちているのは車道沿いだけじゃないのか!
この柵の向こうには強敵が居るので注意。
※オークキング
雑木林の続く登山道をしばらく歩いていると、
だんだんと木が少なくなってゆき、明るくなって開けてきた。
そして、前方からかいま見えた光景が・・・!
うおっ!
あの光り輝く絨毯は、まさしくススキ!!
はやる気持ちを抑えつつ、足を早める。
そして木がなくなって、開けたそこは一面のススキの群生だった。
あいにく、ちょっと曇った感じの空模様。
それでもまばゆく輝くススキの群生に息を呑む。
風でススキ絨毯の表面がいっせいに波打ち、その光景が壮観。
頭のなかで、「ラン ランララ ラン ラン ラン ♪」という幼女の歌声が流れ、
ババアの声で、「その者、蒼き衣を纏いて~」という台詞が聞こえてくる。
ススキの中に入り込む。
丈はゆうに2mを超えている。
自分よりも高く、ススキの森に埋もれて秋の風をススキと共に愉しむ。
贅沢な昼下がり。
冬季にはここがスキー場になるのか。
この群生は、12月には焼かれる。
ススキというものは、このように野焼きされて維持されるのだという。
そのまま放置していると、笹や木に浸食されてススキが減少し、
そのうち雑木林へと変化してしまうのだとか。
斜面の隅はススキが刈り取られていて、上の方まで歩けるようになっていた。
この登山道は、バードウォッチャーのための通路で、“バードライン”と呼ばれるものらしい。
これを上の方へと進む。
この丘の頂上には、小屋が設けられていた。
バードウォッチャーのための小屋だ。
そして、そこから見下ろすススキの群生もまた素晴らしかった。
遠くの景色もよく見える。
が、方角がよく判らず、見えている場所がいったいどこなのか判らずじまい・・・。
この丘の頂上に来るまでに、またもキラキラポイントを発見する。
つまずきそうになるくらい、頑丈な“じょうぶな枝”だ。
こういうのが散乱していて、足下に注意しなければならない。
時代劇とかでは、こういうのを踏んで、“パキッ”っと高い音を鳴らしてしまい、
敵に発見されたりするんだよな。
じょうぶな枝だ!
バザーでわりと高く売れる。
その他にも、この英彦山で色々な自然に遭遇した。
野生動物の糞らしきものを発見したり・・・
シカの糞に似てるけど・・・ウサギかな?
野鳥?に食べられた、アケビの実を見つけたり・・・
この頭上にはアケビがたくさんぶら下がっていた。
アケビなんて、小学生の頃に食べた以来。
届かない位置で残念。
野生のリンドウを発見したり・・・
花が昆虫だか小動物だかに食べられてしまい、
一輪しか残っていないのも自然ならでは。
平地では見かけないようなクモに遭遇してみたり・・・
メクラグモだったかな?
野生のシキミを発見したり・・・
青々として美しいシキミの葉。
やっぱり自然のなかで自生しているものはツヤが違う!
付近に無縁仏のような、古い墓石が転がっていたので、
遠い昔に誰かがここに植樹したものだろう。
・・・自然を堪能していたが、こんな大自然のなかであっても、
やはりゴミが捨てられていて、嘆かわしい限りだ。
空き缶や弁当のトレー、ワンカップの空き瓶や、一升瓶まで。
ハイキングに来たひとが捨てていったのか、
こんな自然のなかに平気でゴミを捨てる人間の気が知れない。
ゴミ袋でも持ってきてりゃ、ゴミを拾って帰ったものの、
あいにくそういうものは持ち合わせていない。
だが、この日、空き缶を3つばかり持ち帰ることになった。
FANTA GRAPE ・・・ファンタグレープ!?
いったいいつ頃のだよ!?
これは見覚えあるわ。
確か中学か高校の時くらいまでこのパッケージだったハズ。
それにしても懐かしいな。
これは・・・カルピスか。
!
いや、カルピ・・コ?
カルピコ!?
なんじゃそりゃ?
空き缶3つを手に持って、ススキの群生した丘を下る。
途中、夫婦とおぼしき初老の男女とすれ違う。
挨拶してすれ違ったが、自分が手に持っている缶にも目をやっていた。
「山でゴミを拾って帰ってるのか!感心だな~!」
なんて思われたかもしれないな。
記念に持ち帰っただけだが・・・
まあゴミを拾って帰ったことに変わりはないがな。
こんなものを持ち帰るなんて、なかなかのダストン様っぷり。
落陽の草原にて。
この直後、メタルライダーに挑んで返り討ちに遭う。
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