昨年末の休みに、子供たちを連れて映画を観に入った。
スタジオジブリのアニメ映画、高畑勲 監督、“かぐや姫の物語”だ。
竹取物語、日本最古の物語とされている、日本人なら誰もが知っている昔話。
“かぐやひめ”のタイトルで、桃太郎や浦島太郎,一寸法師などとともに、
絵本や昔話アニメなどで、幼少の頃に見聞きする。
そのかぐや姫のストーリー、竹から生まれ老夫婦に育てられ、
美しい女性に成長し、都で多くの男を虜にして求婚され、突然月へ帰っていく・・・。
子供の頃はそういうストーリーなんだと特に疑問も抱かずに飲み込んでいたものの、
大人になって振り返ってみると、色々とメチャクチャな物語だと感じる。
それを払拭させてくれたのが、このアニメ映画、かぐや姫の物語。
原作では描かれていない、かぐや姫の幼少期、
そしてなぜ彼女は月から地球へ降ろされたのか?
なぜ帰らなければならなかったのか?
原作にそれらが加えられて、日本の古典物語が壮大なアニメ映画となった。
清廉無垢な月と異なる、荒々しい地球の大自然、
そこに生きる虫,草,けもの,人間の営み・・
それを謳歌しているかぐや姫が、突如 月へと帰ることになる。
抗うことのできない月への帰還。
地球との別れが迫る。
自身がなぜ地球へ来たのか?
なぜ帰らなければならなくなったのか?
全てを悟ったとき、かぐや姫は泣きじゃくる・・・。
この映画、もうだいぶ前に予告編で観て知った。
去年の夏、ポケモンの映画で観たんだっけか?
「姫の犯した罪と罰」
このキャッチフレーズとともに、
音楽がおどろおどろしく、雰囲気も暗く、大雑把に描かれたような粗い作画。
すごい形相で着物を脱ぎ散らかしながら飛んでいく、かぐや姫・・・。
なんだこれ?
またジブリはワケの解らないものを・・・。
かぐや姫を主人公にした、まったく新しいストーリーの大人向けなアニメなんだろうと思った。
で、公開されてすぐ、娘が観に行きたいと言ってきた。
「ええ?! あの怖いやつ?あれ大人が観るようなんじゃないん?」
あの予告編で見た、おどろおどろしい雰囲気、あのタッチ,あのキャッチコピー、
どっからどうみても子どもが観るようなアニメ映画のように見えなかった。
でもまあ、自分もちょっと気になるし・・・と思って、子ども達を連れて観に行った。
原作のままだった。
完全にかぐや姫のおはなし。
UFOが出たり、ワケの解らない設定が加えられているわけではない。
色々と掘り下げられて、原作では語られない細かい部分が鮮明に描かれている。
原作では意味不明だったものが、ようやっと理解できたし、
それに伴い、かぐや姫の心理も理解でき、感情移入もできた。
ラストは不覚にも涙を流してしまった。
娘も映画で初めて泣いた。
クソミソ言われている作画だが、これはこれでアリで自分は気に入った。
水彩画を思わせる柔らかなタッチの絵が、スクリーンを縦横無尽に動く。
CGを駆使したアニメでは到底味わうことのできない、
キャラクターや背景、そこに描かれている虫や草木,石ころ・・・
すべての質感やぬくもりが伝わるようなそんな柔らかな絵。
竹林でかぐや姫を見つけ育てる、竹取の翁役に、俳優の地井武男 氏。
公開される前年に他界されており、声優初挑戦となった本作が氏の遺作となった。
同じく、おばあさん役に、マルサの女の宮本信子。
かぐや姫には、てっぱんの朝倉あき。
他にも、仲代達矢,朝丘雪路,橋爪功,宇崎竜堂,高畑淳子,上川隆也,田畑智子,etc・・・。
声優陣がえらく豪華。
それにしてもジブリはなぜ本業を使わない?
ここらへん、声優の顔でキャラクターデザインしたやろ!
とにかく、自分も子ども達も大満足した作品だった。
シンプルな題材で、こんなに感動させられるとは思わなんだ。
公開中にもういっぺん観に行きたいくらい。
DVD発売されたら速攻で買うぞ。
本作のマスコット的キャラクター、女童(めのわらわ:田畑智子)。
かぐや姫の侍女として健気に働く(ふりまわされる)。
娘にマスコットを買ってあげたが、自分も欲しくなって通販で購入。
だが、これ左目が陥没していて、目の大きさも位置も左右で異なり、
顔面が試合後のボクサーみたくなってしまっている・・・。
不良品じゃねえか!と返品したくなるくらいの粗悪品だった・・・。
いや本気で返品交換請求したい。
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