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哀愁のトランペッター

2007年09月12日 | 音楽紹介
Quiet Kenny
Kenny Dorham
Prestige

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 逃げた女が悪いのか、逃がした男が悪いのか。いつか流したあの涙。酒に浮かべて今日も飲みます。「独り酒」。

 なんて演歌みたいな前置きをしたくなる音楽がこれ、哀愁のジャズ・トランペッターと呼ばれるケニー・ドーハムの59年作「クワイエット・ケニー」。とにかく渋い。カッコいいとかではなく、渋い。フレーズは甘いが、それはワインのようではなく、干し柿みたいな甘さだ。なんだか褒めてるんだか貶してるんだか分からないが、ひとつ言えるのは、良い、ということである。

 決して甲高い音色を奏でず、落ち着きのあるケニーのトランペットは静かに威厳を持っていて、かつ、情緒的であり、和めるものでもあり、自然体で聴いていられる。あるいは、安心して聴いていられると書いた方がいいのかもしれない。彼のトランペットはウッド・ベースやオルガンとの相性も抜群で、喧嘩腰でやり合うのではなく、ひそひそと会話をしているようなアンサンブルは品があって気持ち良い。

 やはり、聴き所はケニーのソロ。もうね、これがね、ホントに「哀愁」という言葉がふさわしいんだよ。寂しげな男の背中が見えるようだ。突飛な即興演奏はやらないが、しっとり聴かせてくれる。それが嬉しいし、ときに軽やかにスウィングしているから楽しいのだ。そしてなんと言ってもフレーズがやはり渋い。すっと胸に染み込んでいく類のもので、酒を片手に聴いていたい。俺、酒飲めないけど。煙草も似合いそうだ。

 しかし、ジャズ界の銘打てチャーリー・パーカーのクインテットに、ジャズの帝王マイルス・デイビスの後釜として参入したり、アート・ブレイキーとも競演したらしいが、知名度はさほど高くないようだ。勿体ない。

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