美味いものってのは、身近にも必ずある。
今日の昼飯は迷った。
何を食べたらイイか本当に迷った。
迷っていたら道にも迷った。
というより未知の道に迷い込んだ。っても近所だからまぁどうってことなくて。
そんな未知の近所で、空腹の自分の前に一件のラーメン屋が出現した。
いや元々存在していたのだから目に入ったという訳だが。
もう何食べるかとかより、死の危険とは程遠い、限界の空腹感がいなめなかったから、そこに入ることにした。
頼んだのは勿論チャーハンセット。
つまりはラーメン+半チャーハンだ。
チャーハンがこの世の中の食べ物では、最強だと思い込んでるので、ラーメン屋でチャーハンセットがあるところでは必ず頼む。
もし仮に再びその店に行くようなことがあれば、その時は間違いなくチャーハンのみを頼む。
と、まぁそんなこだわりはさておき、チャーハンセットを頼んだ。
待ってる間、店内を見回す。
外装と釣り合うような年期の入った感があり、カウンターのみで、店員もどうやら中年夫婦のみの、縦長のこじんまりした店だった。
カウンターのテーブルには、3か4席に一つか二つの割合で漫画雑誌が置かれていた。
なんつーか、こう、今流行りじゃ絶対ない、普通のラーメン屋だった。
あまりの普通さで、20秒もしたら飽きる程にメニューも普通で、隙を持て余した為、思わず雑誌を手にしてしまった。
ヤングアニマルだった。
さすがに巻頭の、ユラさんの何テロを、食事前に見る気は起きなかったので飛ばし、よく休むバーサーカーの漫画を読んだ。
よくよく考えたらこの漫画も食事前に読むのは躊躇うべきなんだが。
で、読み始めてそんな気がしたが、構わず読んでいたらば、チャーハンセットはやってきた。
店内にいた客は二人で、二人とも既にラーメンを啜っていたから、チャーハンセットは早くに出てきた。
で、食べた。
そんで美味かった。
巷で騒がれてる店でも半分ぐらい食べたら、飽きてしまうようなラーメン大好きな私が美味いと思った。
つーかチャーハンと合ってた。これぞチャーハンセットなんだ、と体感できた。
そして何より普通だった。
何てことない、絵に描くにはピッタリのザ・ラーメンだった。
年期とはこういう事なんだろう。
年期というやつが、ラーメン屋らしくないカフェみたいなラーメン屋や、やけに威勢の良いラーメン屋、こだわりをもってやってますんで自分もしくは自分ら!感の強いラーメン屋がもてはやされる昨今にあっても、特徴の無い具材と、食べること以外の機能は排除された店内と、無駄口を叩かない店員さえいればラーメン屋は充分成り立つということを証明していた。
チャーハンが先になくなったので、スープは残した。
もうじき引っ越してしまうが、今度もし来ることがあったら、次もチャーハンセットを頼もう。