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観光庁が藁にもすがる思いで頼ったのがホテル三日月のワケ

2020年02月04日 | 社会

「もう少しこらえて…」
英断のホテル三日月に政府が懇願 
武漢からの帰国者受け入れの知られざる内幕

中国で感染が拡大し、世界へと広がりつつある新型コロナウイルスによる肺炎。政府は武漢市を中心とした湖北省に滞在する日本人について、希望者全員をチャーター機で帰国させることを決め、3便が飛んだ。
チャーター機の第1便は、大急ぎで行われた調整の末に、1月28日午後8時すぎ羽田空港を飛び立ち武漢に向かった。しかし実はこの時点では、武漢から帰国し発熱などの症状のなかった人たちがどこに向かうか、その滞在先は決まっていなかったのだ。
政府は、チャーター機派遣を決めた直後は、帰国後の検査で症状のない人は帰宅させる方針だった。しかし自民党などから感染拡大防止に万全を期すため、症状のない人も当面は特定の場所で待機してもらうべきだとの声が強まったのを受け、急遽、滞在場所を確保する必要に迫られたのだ。
首相官邸や観光庁などを中心に滞在場所の選定が進められる中、いくつかの民間のホテルが候補にあがった。しかし政府関係者の「従業員が難色を示しているんだよね」という声が物語るように、交渉はなかなか前に進まなかった。
そしてチャーター機の離陸予定時刻のわずか数時間前。観光庁の担当者が藁にもすがる思いで頼ったのが千葉県勝浦市にある「勝浦ホテル三日月」だった。
実は「ホテル三日月グループ」を30代で率いる若き社長・小髙芳宗氏は、自民党幹部の海外視察の際に経済界の一員として参加したこともあり、政府や自民党と接点があった。そして、観光庁の担当者もこの海外視察に同行していたため、小髙社長と知己があり、アプローチを試みたのだ。
政府関係者によると、「勝浦ホテル三日月」は、宿泊予定者を千葉県内の2つのグループのホテルへ移すことも可能なことなど条件が最良だった上、去年の台風15号で被災した地元住民に大浴場を無料開放した例もあったため、「政府は彼の男気にかけた面もあった」のだという。
政府からの依頼をうけたホテル三日月は、千葉県庁や勝浦市に、受け入れについての確認を求めた。勝浦市側は、土屋市長が「(滞在先が)決まっていないのは予想していなかった」(31日の記者会見)と明かしているように、突然の要請に対し時間の制約がある中での受け入れ決断となった。
受け入れ当日となる29日、ホテル三日月は従業員への説明を行うことにした。しかしまだ政府からの受け入れに関する要請書が手元になかった。政府も多忙をきわめる混乱の中だったのだろう。そのことを官邸関係者に確認すると、「会議で(滞在先が)三日月であることは総理が了承している。従業員には総理からの要請ですと伝えてほしい」と口頭で回答があったという。
一方で、受け入れる帰国者の人数については、想定外の事態が起きた。当初の予定は100人前後だった。ホテル側は、収容人数の関係上、最大でも177部屋しかないことは伝えてあったという。実際にホテルに到着したのはバス7台で191人、当初の予定のおよそ2倍にのぼった。
それを受けてホテルへ向かうバスの中では、従業員や政府関係者が帰国者に対し、約3時間をかけて相部屋への協力をお願いした。そして日が暮れた夜、バスはホテルに到着し、帰国者たちはホテルへと入っていった。関係者は、「ホテルもそもそもの想定と違う中で苦渋の選択になった」と明かす。
帰国者を受け入れたホテル三日月は公式サイトで声明を発表し、「政府、千葉県、勝浦市及び関係諸機関との緊密な連携を取りながら感染予防対策等を行っている」とした上で、最後にこう結んだ
「様々な困難があることも予想されましたが、当社は、同じ日本人として、帰国者のために、政府の要請に応えることを決断しました。当社は、本件の受け入れのみならず、これからも地域、日本の繁栄のために邁進していく所存です」
一方で、滞在が長期化する中、ホテル側が通常時とは違う異例の対応に、疲弊してきているとも伝えられる。ホテルの今後の営業に影響が出る可能性も否定できない。こうした状況に、安倍首相は関係者を通じて「なんでも要望を聞きます」とホテルを支援する考えを伝え、関係者はホテル側に「もう少しこらえてくれ」と切に頼み込んだという。
一方で、衝撃的な話を聞いた。ホテル従業員やその子供に対し “心無い言葉”が浴びせられたことがあったのだという。
ホテル三日月の受け入れ以後、他の民間施設で受け入れを表明した施設はまだない。従業員の安全などを考えればそれも一つの判断と言える。地域住民が不安を覚えるのもわかる。
それでもホテル関係者に心無い言葉を向けることなど絶対にあってはいけないだろう。そして国や自治体は、今回のホテル三日月の英断と、関係者や従業員の奮闘、不安をこらえている地域住民に対して、きめ細やかな支援を行うことが求められているのではないか。
(2020年2月3日FNN)

 

 
 
 
 
 
 
 
 
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