わいんとともに:一日の終わりにコップ一杯のワインを飲みながら、つぶやくあれこれ。

残り時間を気にする此の頃、せめては、ささやかな足跡を残しておきたい。

夫の庭木の剪定

2016-11-09 22:54:59 | 日記
 家の庭には、形のいい柘榴の木、大きな槇の木が2本ある。そのほかに、モッコク、沙羅の木、柘植、さるすべり、ブラシの木など。それらが、あまり広くない庭に植えられている。いずれも、畑の中のような所に家を新築し、当時から、一本一本買いためたものだ。二十代後半、家を建てて間もなくから、経済的余裕もないのに、木を買い、石を買って、庭作りをしていたのだから、かなり、好きな事なのだろうと思う。
 剪定は自分でする。何時か、植木屋さんに頼んだことがあったが、仕上がりの形が気に入らなくて、それからは必ず自分でするようになった。家業が運送屋なので、仕事のユニック車に籠を取りつけて、高い所の枝を切る。
或る時、そのユニック車で剪定をし、枝を積んだまま車庫に入れておいて、盗まれてしまった。厳重に鎖で施錠もして置いたのに、鎖も切られてしまっていた。夫はどんなにがっかりしたことか。
夫が会社をやっていた頃は、ユニックを使って運ぶ材木の運搬が主な仕事だったので、ユニック車も何台もあったが、今は長男が仕事をするようになり、仕事の内容も変わってしまったので、1台のユニック車は、夫が庭木の剪定をする為に、保持していたものなのだ。それを盗まれてしまったのだ。
 運送屋の、楽ではない経営の中で、それでも、どうしてもユニック車が欲しくて、ある車にユニックを取りつけて貰った。道楽のために、と夫は言った。
一年に一度、4・5本の植木の剪定の為の出費にしては、大きな出費だと、私は長男に同情した。それに、もう73歳。危険な仕事は止めて貰いたい。止めるのに丁度良い機会だ。と、いう気持もあった。
 今日で4日間。夫は毎日木に登り続け、とうとう今日、高い所はほとんど終わらせた。今日は木枯らし一号、冷たい突風の吹く中を一日中作業し、薄暗くなる頃やっと終わった。自慢の槇の木は見事に、いい形に出来あがった。
 「こんなに、上手に出来るんだったら、自分でやりたいよね。」と、私は呟いた。そして、この4日間の、なんと、張りのある楽しそうな時間だったことか。
明日は仕事に使うというトラックから、枝を降ろすのを手伝い、トラックを掃除し、ユニックから、籠をはずすのを手伝い、そうしていたら、何年か前、というより、もう今になっては昔の時間を思いだして、懐かしさが込み上げた。やっぱり、目的があって働くということは、人を元気に、幸せ気分にするものだということを改めて、感じた一時だった。
 木枯らし一号、そして、トランプ氏になったアメリカ大統領。
 今年の冬は、どんなことになることだろう。
  今宵は、日本酒の熱燗で。夢を貫く夫に乾杯!! 

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姉が無事に退院した

2016-11-05 23:11:21 | 日記
 土曜日に退院するという知らせを貰って、金曜日病院へ行ってみた。
元気で、先日私が持って行った本を読んでいた。文庫本では字が小さく、単行本では重すぎて持てないので、本を分解し、何冊かに分けて持っていったものだ。
先日行った時には、看護学校の実習生が来ていて、足を洗って貰っていた。明るく、優しく、丁寧に。「こんな優しく看護して頂けるなんて良かったね。また入院したくなっちゃうね。」なんて、冗談をいいながら、看護に携わる若い人がこんなに優しくしてくれるなら、将来は明るいな、などど、心強い気がした。
 今度行ってみたら、その実習生は、研修が終わったそうだ。「最後は泣いちゃったから、私も貰い泣きしちゃった。」と言う。どちらが、貰い泣きなのか、心が通じて、一緒に別れを惜しんで泣いてしまった、ということだろう。
 なんと、いい出会いをしたことだろう。「たまには、入院もしてみるものだね。」
などど、冗談を。いや、冗談ではないかもしれない。そんな人との出会いは滅多にあるものではない。
 その人が作ってくれたという、神経衰弱のゲームに使うカードには、動物の絵が丁寧に描かれ、不自由な手でもめくり易いように、門を折って、丁寧にテープが貼られていた。
 投薬されている、薬の説明書も、きれいなカードを作り、一つ一つの薬の説明が丁寧に書かれていた。更に、これにも、めくり易いように、門を折ってテープが貼られていた。こんな心使いは、本当にその人の身になって、考えなければ思い付くものではない。姉には、一生の宝物だろう。これからも辛い時、こんなに親切にしてくれた人がいたことが、心の支えになることだろう。
 「悪いことの裏には、必ず良い事がある」と常々思っている。
それにしても、どんなに辛い時も、他人を和ます不思議な力を持っている姉を改めて、感じ、尊敬の念を強くした。
 また、穏やかな日常が戻ってきた。
 今夜は、赤ワインで乾杯しよう。 「退院、おめでとう!!」

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