雨ニモマケズ
風にもまけず
雪にも夏の暑さにもまけぬ
丈夫なからだをもち
慾はなく
決していからず
いつもしずかに笑っている
一日に玄米四合と
味噌と少しの野菜を食べ
あらゆることを
自分を勘定にいれずに
良く見聞きし わかり
そして忘れず
野原の松の林の蔭の
小さな萓ぶきの小屋にいて
東に病気の子供あれば
行って看病してやり
西に疲れた母あれば
行ってその稲の朿を負ひ
南に死にそうな人あれば
行ってこわがらなくてもいいといい
北にけんかやそしょうがあれば
行ってつまらないからやめろといい
ヒドリ*のときは涙を流し *日照り、独りの説
寒さの夏はオロオロ歩き
皆にでくのぼうと呼ばれ
ほめられもせず
苦にもされず
そういうものに
私はなりたい
南無無辺行菩薩
南無上行菩薩
南無多宝如来
南無妙法蓮華経
南無釈迦牟尼仏
南無浄行菩薩
南無安立行菩薩
夫の遺品を片付けていて、何も書かれていないと思った
2012年の「農家日記」の中程のページに賢治の「雨ニモマケズ」を見つけた。
まだ十分に力強さのある筆跡。
来年、早期リタイアをして「農」を計画していた夫が、
どんな気持ちで書いたのかと想うと泣けて仕様がない。
風にもまけず
雪にも夏の暑さにもまけぬ
丈夫なからだをもち
慾はなく
決していからず
いつもしずかに笑っている
一日に玄米四合と
味噌と少しの野菜を食べ
あらゆることを
自分を勘定にいれずに
良く見聞きし わかり
そして忘れず
野原の松の林の蔭の
小さな萓ぶきの小屋にいて
東に病気の子供あれば
行って看病してやり
西に疲れた母あれば
行ってその稲の朿を負ひ
南に死にそうな人あれば
行ってこわがらなくてもいいといい
北にけんかやそしょうがあれば
行ってつまらないからやめろといい
ヒドリ*のときは涙を流し *日照り、独りの説
寒さの夏はオロオロ歩き
皆にでくのぼうと呼ばれ
ほめられもせず
苦にもされず
そういうものに
私はなりたい
南無無辺行菩薩
南無上行菩薩
南無多宝如来
南無妙法蓮華経
南無釈迦牟尼仏
南無浄行菩薩
南無安立行菩薩
夫の遺品を片付けていて、何も書かれていないと思った
2012年の「農家日記」の中程のページに賢治の「雨ニモマケズ」を見つけた。
まだ十分に力強さのある筆跡。
来年、早期リタイアをして「農」を計画していた夫が、
どんな気持ちで書いたのかと想うと泣けて仕様がない。