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プロジェクト『ベーコン』+α

中年男の手料理と映画のおぼえ書きあれこれ

『ジャンパー』追記

2008年08月05日 | Weblog
 先日このブログで『ジャンパー』を取りあげて「あんまり出来の良い映画とは云えない」ってなことを書きました。
 しかし昨日、大学生の次男坊と話しているうちに、少し印象が変わりました。

 せがれは実は映画のほうは未見ですが、原作となった小説の方を日本語訳で読んでいて、「面白かったから続編も買って読んだ」というのです。奴さんは小さい頃から読書が好きで、今も同年代の学生の中では比較的熱心に本を読む方です。作品の善し悪しを判断する目は信頼して良いでしょう。ですから映画を観てイマイチだったという私の感想と食い違うのが意外でした。

 「あれだけの能力を泥棒に使って、稼いだ金はガールフレンドにええ恰好するために無駄遣いするような奴の話が面白かったってえの?」
 「テロリストを捕まえて海上に放置したりとか、ヒーローみたいなこともするでしょ」
 「ええっ? 映画ではそんなシーン無かったぞ」
 「テレポートの能力がないと入れない炭坑の奥みたいなところに基地をつくったりして、結構頭良いじゃん」
 「いや、映画ではかなりのヘタレにしか見えなかった」

 話してみればみるほど、彼の持っている物語観と、私の映画観には大きなギャップがありました。
 無論、私の生半可な英語力ですから、映画の持っているメッセージ性を読み違えている可能性は捨て切れませんが、息子の話を総合してみると、どうやら映画の方に問題があることが分って来ました。
 エンディングで暗示されているように、この映画は最初から続編ありきでつくられていて、物語の進行が大胆に改編されているのです。ですからわざと1話完結の流れにはされていないため、私のように小説版の原作を知らない目には、とんだ駄作映画に見えてしまうらしい。

 次男坊と話す事で、物語としての『ジャンパー』には少し興味が湧いて来ました。奴から借りて来て読んでみようと思います。
 そんな訳でこの作品に関しては少しだけ印象が変わりました。

 ただし、1本の完結した映画という見地から観た場合、必ずしも成功しているとは思えない演出であることには変わりありませんが…。

英語 de 映画『The Bucket List』

2008年08月03日 | Weblog
 邦題は『最高の人生の見つけかた』。う~~む、分らんではないが何だか芸のない命名じゃありませんか。

 原題は『THE BUCKET LIST』。この BUCKET はバケツとか井戸のつるべのことで、転じて棺桶を意味する俗語にもなってるそうな。
 つまり「バケット リスト」とは、棺桶を前にして(臨終の床で)やり残したことを思い返して数えあげることを意味します。

 病院で偶然に相部屋になったふたりの老人はともに余命半年を宣告されてしまいます。境遇の違いで馴染めなかったふたりはやがてお互いに興味をもつようになり、ある日一方が走り書きしていた「死ぬまでにやりたかったことリスト」を実現するためにふたりで旅に出ることになります。

 この映画に関しては何を書いてもネタバレになってしまいそう。
 これからこの作品を観る人には出来るだけ先入観のない真っ白な状態で観て欲しいと思いますので、どんな願い事をどうやって実現して行くかは、書かないことにします。

 とはいえ、中には「映画館に行くにしろ、レンタルするにしろ、なるべく損はしたくないから、当たりかはずれかぐらいは見当をつけたい」という人がいらっしゃるかもしれませんね。
 そんな慎重派の方。ご心配はいりません。この映画は大丈夫。よほどのへそ曲がりでない限り、見終わって「損したあ」と感じることはないでしょう。
 何しろ主役のふたりが ジャック・ニコルソン と モーガン・フリーマン です。何の不安もなく、ラストまで映画の中に入り込んでゆったりとした気分で鑑賞出来ますので、どうぞご安心ください。

 いや本当にね、このふたりの名優がガチンコで渡り合っていて、とてもいい緊張感があるんですよ。ふたりとも本気で居ながら、ところどころでは素の部分が見え隠れしていて、とても良いです。スカイダイビングのシーンでは、モーガン・フリーマンは絶対に本気でビビってるとしか思えませんからね。

 人の「死」というものをテーマにした作品ですが、暗い印象はほとんどありません。「死」をおそれている人には怖れる必要などまったくないと語りかけてくれているようです。こんなふうに「死」を迎えるのも悪くないなと、そんな気分になる映画でした。

英語 de 映画『SON OF RAMBOW』

2008年08月02日 | Weblog
 これも現時点では日本での公開がはっきりしないイギリス映画。
 なんだかこのところイギリス製の映画ばかり観てるような気がするなあ。

 主人公ウィルはとてもシャイな少年。彼の家は厳しい戒律の宗派に属していてテレビや映画はおろか音楽を聞くことも許されていません。そんな彼がある日、学校一札付きの悪ガキのリーと知り合い、リーの家で生まれて初めて観たのがスタローン主演『ランボー』のビデオ。この映画は真っ白だったウィルの心に強烈な印象を刻むことになり、ふたりの少年は自分たちの手で『ランボウの息子』という映画をつくりはじめます。

 映画のオープニングからすぐに少年たちの世界へ引き込まれて、この映画は当たりだぞという確信と期待でワクワクさせてくれます。イギリス映画はどこか暗い部分があるものですが、この作品に関してはどこまでもドライで見終わってからも妙に引きずるようなものがなくて、さわやかな感じでした。
 ただし、さわやかというのはあくまでも見終わった後での印象。劇中では小学生たちがさも当然といった顔つきでタバコを吸ったり酒を呑んだりしてますから、アメリカではレーティングが厳しくなりそうだし、日本での公開にネックにならなきゃいいけどなと、ちょっとだけ心配がよぎったりします。

 ウィルもリーもやや問題のある家庭に育っていて、これは料理の仕方によっては暗くて重たくなりがちなものなので、出来ることならあんまりそっちの方には行って欲しくないなあとハラハラしながら観ていると、キワドいところまで行きながら絶妙のタイミングで子供たちの目線に戻って来ます。このへんのバランス感覚がこの映画の持ち味なのかも知れません。

 さてもうお気づきとは思いますが、シルベスター・スタローンの映画『ランボー』の原題は『First Blood』で、ポスターなどに『RAMBO』と表記されのは2作目以降です。この映画での表記が『RANBOW』と1文字多いのは、少年たちが耳にした音から連想したスペルだった訳ですね。あえて仮名で書くと『ランボう』とでも表記出来るかも。日本での公開ではどんな邦題が付くのか、ちょっと楽しみです。

 ウィルの家族が属する宗派はキリスト教系でも特別に厳しい戒律を守る一派で、映画の中では「BRETHREN」と呼ばれていました。
 これは「BROTHER / 兄弟」の古い形での複数形なんだそうで、語尾の「REN」は現代でも「CHILDREN / 子供たち」の語尾に同じ表記が残っています。
 ちなみに宗教がらみのシーンでは、特にお祈りの場面などで「thou」という言葉がしばしば出て来ます。これは「you」の古語で「汝、御身」というふうに訳されて、主格・所有格・目的格がそれぞれ「thou thy thee」という具合に変化するので、覚えておくとファンタジー系の映画にも応用が効くと思います。

英語 de 映画『ヘンダーソン夫人の贈り物』

2008年07月31日 | Weblog
 前回と同様に、英語版で感動してあらためて日本語で観なおした作品です。

 第二次大戦中のロンドンでストリップショーを興行し続けた大金持ちの未亡人の話。なんとこれもまた実話なんだそうです。
 お金とヒマを持て余した貴族階級が気まぐれに始めたショービジネスのドタバタ喜劇だろうぐらいに思って観た作品だったのですが、あにはからんやコレがなかなかの人情劇で、不覚にも感動してしまいました。なにしろね、登場人物ひとりひとりのキャラクターがとても良くて、それぞれの気持ちの動きみたいなものが画面からじかに伝わって来るんですよ。主役のヘンダーソン夫人を演じた ジュディ・デンチ が実にうまかったと思います。

 当時のイギリスは風俗の取り締まりが厳しくて、女性のヌードを売り物にするような興行など絶対にまかりならんという時代。
 しかしすでにパリではムーランルージュ(フランス語で「赤い風車」の意)のお色気たっぷりのレビューが評判になっていました。
 廃業して売りに出されていたウィンドミル(英語で「風車」の意)を買い取ってオーナーとなったヘンダーソン夫人は、当初アメリカ式の歌とダンスを連続興行して一応の成功を見ますが、すぐに同業者が真似をはじめたことで客足が落ちてしまいます。そこで今度はフランス式のヌードレビューの上演を思い立つのですが、それにはまず石頭の当局者を懐柔しなくてはいけないというので、すでに70歳に近いにも関わらず、ここから夫人の大車輪の活躍が始まります。

 なにせイギリスでは初の試みになる訳ですから、踊り子たちを説得するのもひと苦労といったところからのスタート。しかしこれは大評判となって劇場は連日満員。すべて順調にはこび始めた頃、時代は2度目の世界大戦へ突入し、いよいよ物語もクライマックスとなります。

 もちろんヌード劇場が舞台になっているのでハダカのお姉さんたちがいっぱい出て来ますけれど、不思議な事にエロな印象はほとんど感じられません。そういうのを期待している方々にはモノ足りないんじゃないかとも思います。
 けれども基調になっている人情劇はもうほとんど浪花節に近いもので、こういう情愛というのは洋の東西を問わない普遍的なものなのだということがひしひしと伝わって来ますから、観終わったときにはヌードという即物的なモノよりも、人の情けの深さの方が強く印象に残る映画です。
 
 とはいえ、踊り子の皆さんは粒よりの美人ぞろい。無論身体のラインも逸品で見事なもんです、はい。

英語 de 映画『フリーダム・ライターズ』

2008年07月30日 | Weblog
 ちょっと古いかも知れませんが『フリーダム・ライターズ』です。
 恥ずかしながらこの映画には魂を揺さぶられる気がしました。去年の割と早い時期にネット経由で英語で鑑賞しましたが、余りに感動して繰り返し観た挙げ句、今年になって日本語版の DVD がリリースされるとすぐにレンタルしてきて、あらためて日本語字幕や吹き替えで何度も見直したほど。

 私の場合、ネットからダウンロードした映画の観賞後にはいくつかのコースがあります。
 1)1回観ただけでデータをハードディスクから削除。
 2)ラベル印刷したディスクに焼いて保存。
 3)レンタルリリースを待って日本語版を借り、△△して保存。
 4)セル版を購入。
 この順番で次第に数が減るのですが、『フリーダム・ライターズ』は3番目にあたります。
(※ 但し、コレは法に触れちゃう可能性が否定出来ないので、良い子は絶対に真似をしてはいけません!)

 激しい人種差別と暴力的反目という現実の真っ只中にあるアメリカの高校生たちが、ひとりの新米女性熱血教師との出会いからお互いに助け合って絶望から這い上がって行く感動の物語…と、こんなふうにまとめてしまうと「ああ、ナルホドね」てな感じで軽く流されてしまいそうで、自分の文章力の貧弱さがうらめしいんですが、ホントにこれは観ておいて間違いなく損のない、素晴らしい映画だと思います。

 何もわざわざ、今さらのようにアメリカでの人種問題を取り上げるまでもなく、同様のことは日本や中国でも日常的に起きていて、普段は表にこそ出ていないように見えてもきっかけさえあれば噴出して燃え上がってしまうのが民族主義。匿名性の高いネット社会では極端に過激化した非難や中傷が飛び交っていて歯止めが効かず、皆こころの内では「何とかならんもんか…」と思いながらも手が付けられずに居る厄介なものです。これはもう長年にわたって培われて来た複雑な背景があるので、誰もが敢て取りざたするのを躊躇う問題でもあります。

 映画の中でも大多数の登場人物は同じように現実に絶望しているのですが、主人公の女性教師だけがひとり、この冷たくて厚い壁に小さな風穴をあける方法を探し始めて、その努力は次第にカタチになっていきます。
 これは一見『天使にラブソングを2』に良く似ている構造で、私も最初はその亜流のひとつだろうと思いながら観ていました。
 しかし、ウーピーさんの映画が明らかに娯楽作品であるのとは対照的に、こちらの映画には強いリアリティがあって、それもその筈、こちらは実話に基づいたベストセラーのノンフィクションの映画化。しかもキャストやスタッフ陣は選りすぐり。とにかく未見の方は、機会があったらぜひ一度ご覧になって欲しい1作です。

 この映画を観て以来、良い作品というのは言葉が完全には通じない状態で観ても、ちゃんと伝わるべき感動は伝わるように出来ているのだと、強く思うようになりました。それが構成(台本)によるのか、俳優の演技力なのか、あるいは音楽を含めたすべての演出によるものなのかは、作品によっても違うのでしょうが、セリフ(言葉)に頼り過ぎていない映画には傑作が多くあるんじゃないかな?
 ついこの間『レディ・アサシン』の言葉の壁に屈服して敗退したオッサンは、そんなふうに考える事で鬱憤を晴らすのでした。

 未見の方の興味をそいでしまうといけないので、このブログでは極力ネタバレになるようなことは書きませんから、どうしても抽象的な文章ですみません。

英語 de 映画『Boarding Gate』

2008年07月29日 | Weblog
 「ネットから映画をダウンロードして英語で鑑賞すれば、話題の作品も国内での公開前に見られるんだ!」などと意気がって居りますが、毎回必ずうまくいくとは限りません。今回は失敗例です。

 『Boarding Gate』は『レディ・アサシン』の邦題が付いたフランス映画です。
 まず最初のつまづきは、この映画が PAL版 だったことでした。
 世界には大ざっぱに NTSC と PAL という2種類のテレビ画像表示方式があって、日本・アメリカなどが NTSC、ヨーロッパの各国が PAL という具合に分かれていて、一般的には両者には互換性がありませんから、たとえばフランスで買った映画の DVD は日本国内で普通に売られているプレーヤーでは再生出来ません。(この他にリージョンコードの問題もありますが、ややこしくなるのでここでは触れません)
 パソコンや両方式対応のプレーヤーがあれば鑑賞は可能ですが、家族と一緒に観るには不便なので、出来るだけこの方式の DVD のダウンロードは避ける事にしています。
 今回はどうしても NTSC版 のデータが見つけられなかったので、やむを得ず PAL版 をダウンロードしました。

 次に誤算だったのが、セリフ音声と字幕表記が一致していなかったこと。
 どういう事かと云うと、たとえば「I'll take her」という音声なのに字幕が「I will go with her」みたいに「確かに意味は似ているけれども違う言葉に置き換えられた表現」に変わってしまっているのです。コレは実際に観てみると分りますが、非常に頭が混乱するもので映画そのものに集中出来なくなります。
 普通はしゃべっている言葉と字幕の文字は(完全ではないこともあるけれど)一致しているものだし、わざわざ変える理由もないでしょう。事実ハリウッド製の映画はほとんど一致した内容になっています。
 英語音声の映画に付けられた英語字幕は「聴覚障害者用」と表示されていることが多いので、好意的に解釈すれば「より分り易い表現」に書き換えられているのかも知れませんが、それにしても無駄な二度手間に思えてしまいますね。

 そんなこんなでせっかくの英語字幕もかえって邪魔に感じてしまったので、聞き取れる単語だけで何とか映画のあらすじだけでも追いかけてみようと決心し、思い切って字幕をオフにしてみました。細かいことを気にしなければだいたい分ると思ったからです。

 しかし、これは甘かった。
 舞台が香港に移ったとたんに、中国語のセリフがバンバン出て来るんです!

 中国語音声を英語字幕で鑑賞し、英語音声のシーンでは字幕を切る。そんな操作も可能と云えば可能ではありますが、ここまで来ると私の集中力ももう限界。それ以上の鑑賞を諦めてしまいました。
  
 映画自体の内容がどうのこうのということではなく、まさしくこれは言葉の壁に阻まれてしまった例です。香港の俳優さんたちはなかなか堂々とした演技だった印象が強く感じられましたから、いずれこの映画はレンタル店で探してみたいと思いました。

英語 de 映画『シャッター』

2008年07月26日 | Weblog
 暑いのでホラー映画です。
 『シャッター』は元々タイ国製の映画をアメリカでリメークした作品ですが、舞台を日本に設定して日本人の監督がメガホンを取っているというややこしい映画です。

 カメラマンのベンは新妻とともにハネムーンを兼ねた仕事をするために東京へやって来ます。到着早々レンタカーを運転していて夜の山道でひとりの女をはねてしまい、クルマを大破する事故を起こしてしまうのですが、いくら探してもはねた筈の女は見つかりませんでした。しかしその日を境に彼ら夫婦の周辺では奇怪な出来事が続くことになります。

 英語音声と英語字幕をたよりに洋画に挑戦するとき、ホラー映画というのは恰好の教材です。何しろストーリーが他のジャンルに比較すると非常に分り易いですし、そうそう難しい言葉も出て来ないように思います。あまり細かい事にこだわらずに話の流れに乗っかって観ていくことが出来るので、まるで自分の英語力が進歩したんじゃないかと錯覚してしまうほど、すらすらと鑑賞出来てしまうのが嬉しいですね。
 この映画で辞書が必要だったのは「cremate / 火葬する」ぐらいだったと思います。

 日本を舞台にした洋画では、当の日本人の目にはどうにも珍妙に映る風俗風習の描写が付き物だったりして時には腹立たしいものさえあるのですが、さすがにこの作品は日本人監督が仕切っているし、エンドロールを見るとスタッフの多くも日本人で固められてあるせいか、いかにも偏見丸出しといった目に余るような描写はありませんでした。
 逆に、もうちょっとぐらいサービスしとかないと本国のスポンサーががっかりするんじゃないだろうかと余計な心配をしたりして…。

 ただ1カ所だけ、日本ではまずあり得ないモノが登場してびっくりしたのは、東京の病院で使われていた体重計の文字盤が「ポンド表示」だったこと。おそらくアメリカの観客向けの配慮だと思いますが、これはちょっと無理があるんじゃないかな?
 それとも、もしかしてこれはアメリカ圏向けの編集で、日本語版では「キログラム表示」のバージョンが収録されているのかも知れません。

 しかし何と云ってもこの映画では奥菜恵がイイです。代表作と云ってしまって差し支えないんじゃないでしょうか。海外の観客の目にはどう映ったか分りませんが、彼女をキャスティングしたのは正解だったと思います。
 

英語 de 映画『ジャンパー』

2008年07月25日 | Weblog
 地球上のあらゆる場所へ瞬時にテレポート出来る少年と、その能力を持つ者を抹殺する使命をおびた者との暗闘を描いた作品。CGを駆使し、サミュエル・L・ジャクソンが謎の暗殺集団を率いて主人公を追って来るのだけれど、これがどうも残念ながらあんまり良い出来とは云えない。
 設定が安易でひねりが足りず、まともすぎて子供だましにもなっていないんです。

 だって主人公の少年がこの能力をナニに使ってるかと云えば、泥棒なんですよ。

 銀行の金庫室にテレポートして金を盗み、高級アパートで贅沢に暮らし、初恋の彼女にええカッコするためにその金を無駄遣いするという、わざわざ映画にして映像化するまでもないような非道徳を若者にやらせてみせる筋立てはちょっとどうかなあ?
 あまりに即物的過ぎて、夢も希望もありません。

 これが例えば、某国の将軍様の日常生活をパパラッチして映像をネットに流すとか、絶滅に瀕してる珍しい動物を安全な場所に移すとか、火災現場から閉じ込められてる人を救出するとか、闇の宅急便を開業して儲けるとか、どうせやるなら大胆に飛躍して欲しいと思えてなりません。もう少し突っ込んで考えてくれればいくらでもアイデアはふくらむのにと考えると、実に残念です。
 もしも『デス・ノート』を手に入れた奴が単に殺し屋になっちゃってたら、あそこまで大ヒットする作品にはなっていなかったでしょう。
 スフィンクスの頭の上でお弁当広げて得意がってみても、しょせん泥棒は泥棒であって、しかもそれが綿密な計画や大胆な作戦の結果ではなかったら、見ている方もしらけるしかありません。
 どうもそういった点を少々勘違いしているのではないかと思われるので、アイデアの練りが足りない、底の浅い台本だという印象が強く残りました。
 
 ラストシーンはいかにも「続編があるゾ」と云いたげな幕切れになっていましたが、果たしてこの映画、シリーズものになるほどヒットするでしょうか?そういう意味ではとても楽しみな作品かもしれません。

英語で映画『メゾ・フォルテ』

2008年07月24日 | Weblog
 ネットで拾える映画では邦画というのはほとんど見られないのですが、アニメとアダルトビデオは別格。我が祖国のイメージがネット利用者だけで決められるとすると、それは間違いなく「スケベ」な方に比重が傾くんだろうなと思えてしまうほど、エロ関係では日本語作品が氾濫してます。

 私も決してキライな方じゃないんで個人的には歓迎しないでもないけれど、一国の問題としては如何なモノかと思わざるを得ません。こうメイド・イン・ジャパンのポルノビデオが多いと、対外的に日本女性が見くびられてしまっても仕方ないんじゃないかなあ…。

 『メゾ・フォルテ』は暴力・殺人・セックスなど何でもありのアニメで、特にセックスに関しては必要以上にリアルで激しい描写がモザイク処理なしで登場します。
 ネット上のアニメによく見られるように、日本語音声に英語字幕が付けられていました。どんな英訳がされているかをチェックするのも楽しみのひとつです。

 梅津泰臣という監督サンの作品は海外でも人気があるらしく、このヒトの作品はロブ・コーエンやクエンティン・タランティーノという有名監督の名前と並べて語られる事が多いみたい。確かにタランティーノは同じ内容を実写でやってしまうことが多いなあ。
 
 日本製のアニメはすでに日本の文化を代表するものと看做されています。暴力やセックスを描いてなお評価の高い作品があるのは、底辺が広いことの証明になるでしょう。だから尚更、扱いには慎重になることも大切なので、アングラだからとネット上に無規制に垂れ流しになるのはどんなもんでしょ?
 ……などと云いつつ、ダウンロードして観てるんだから、説得力ゼロやね。

英語 de 映画『アニミュージック』

2008年07月23日 | Weblog
 フルCGのアニメーションなのですが、テーマは音楽です。
 不思議なカタチをしたロボットや、見たこともない楽器や、配管されたパイプなんかがひとりでに動いて音楽を奏でてくれます。
 その動きの巧妙さはちょっと言葉では表現出来ないくらい精密で凝ったものなので、本当は実際に動画で見ていただくしか紹介のしようがありません。
 興味のある方は YouTube などで『ANIMUSIC』と検索してみてください。

 このシリーズは2枚の DVD がリリースされていて、日本国内向けの製品も存在するようですが、ショップの店頭などで見かけたことはありませんでした。
 その「vol.2」にあたるのがコレ。
 動画サイトで存在を知ってから探して見つけたものです。
 自分で楽器をひいたり、特に打楽器の経験のある人にオススメ。
 動画サイトで見られるものよりもはるかに精巧なオリジナルの高画質で観ると、素直に感動します。
 強いオリジナル性と遊び心が感じられて、好きな作品のひとつです。