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プロジェクト『ベーコン』+α

中年男の手料理と映画のおぼえ書きあれこれ

英語 de 映画『フリーダム・ライターズ』

2008年07月30日 | Weblog
 ちょっと古いかも知れませんが『フリーダム・ライターズ』です。
 恥ずかしながらこの映画には魂を揺さぶられる気がしました。去年の割と早い時期にネット経由で英語で鑑賞しましたが、余りに感動して繰り返し観た挙げ句、今年になって日本語版の DVD がリリースされるとすぐにレンタルしてきて、あらためて日本語字幕や吹き替えで何度も見直したほど。

 私の場合、ネットからダウンロードした映画の観賞後にはいくつかのコースがあります。
 1)1回観ただけでデータをハードディスクから削除。
 2)ラベル印刷したディスクに焼いて保存。
 3)レンタルリリースを待って日本語版を借り、△△して保存。
 4)セル版を購入。
 この順番で次第に数が減るのですが、『フリーダム・ライターズ』は3番目にあたります。
(※ 但し、コレは法に触れちゃう可能性が否定出来ないので、良い子は絶対に真似をしてはいけません!)

 激しい人種差別と暴力的反目という現実の真っ只中にあるアメリカの高校生たちが、ひとりの新米女性熱血教師との出会いからお互いに助け合って絶望から這い上がって行く感動の物語…と、こんなふうにまとめてしまうと「ああ、ナルホドね」てな感じで軽く流されてしまいそうで、自分の文章力の貧弱さがうらめしいんですが、ホントにこれは観ておいて間違いなく損のない、素晴らしい映画だと思います。

 何もわざわざ、今さらのようにアメリカでの人種問題を取り上げるまでもなく、同様のことは日本や中国でも日常的に起きていて、普段は表にこそ出ていないように見えてもきっかけさえあれば噴出して燃え上がってしまうのが民族主義。匿名性の高いネット社会では極端に過激化した非難や中傷が飛び交っていて歯止めが効かず、皆こころの内では「何とかならんもんか…」と思いながらも手が付けられずに居る厄介なものです。これはもう長年にわたって培われて来た複雑な背景があるので、誰もが敢て取りざたするのを躊躇う問題でもあります。

 映画の中でも大多数の登場人物は同じように現実に絶望しているのですが、主人公の女性教師だけがひとり、この冷たくて厚い壁に小さな風穴をあける方法を探し始めて、その努力は次第にカタチになっていきます。
 これは一見『天使にラブソングを2』に良く似ている構造で、私も最初はその亜流のひとつだろうと思いながら観ていました。
 しかし、ウーピーさんの映画が明らかに娯楽作品であるのとは対照的に、こちらの映画には強いリアリティがあって、それもその筈、こちらは実話に基づいたベストセラーのノンフィクションの映画化。しかもキャストやスタッフ陣は選りすぐり。とにかく未見の方は、機会があったらぜひ一度ご覧になって欲しい1作です。

 この映画を観て以来、良い作品というのは言葉が完全には通じない状態で観ても、ちゃんと伝わるべき感動は伝わるように出来ているのだと、強く思うようになりました。それが構成(台本)によるのか、俳優の演技力なのか、あるいは音楽を含めたすべての演出によるものなのかは、作品によっても違うのでしょうが、セリフ(言葉)に頼り過ぎていない映画には傑作が多くあるんじゃないかな?
 ついこの間『レディ・アサシン』の言葉の壁に屈服して敗退したオッサンは、そんなふうに考える事で鬱憤を晴らすのでした。

 未見の方の興味をそいでしまうといけないので、このブログでは極力ネタバレになるようなことは書きませんから、どうしても抽象的な文章ですみません。


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