エルヴィス除隊後1960年3月ナッシュビル・セッションはコーラスが右側に配置されました。
1960年4月の「G.I.Blues」サントラセッションでもコーラスは右側です。
で、なぜか「G.I.Blues」と同じパラマウント映画制作の「Blue Hawaii」の
サントラ盤では、コーラスが左側にミックスされたのです。
つまり「コーラスは右側でなくてはならない」なんてな不文律は存在しなかったのでしょう。
1950年代にエルヴィスのサントラセッションで用いられた2トラックの
バイノーラル録音は基本的に「ボーカル」と「演奏(コーラス含む)」に分けられていましたが
録音機器が「3トラック」なんてな贅沢なもの になってくると
映画界の扱い方として「ボーカル」、「演奏」、「コーラス」の管理が可能となり
自然と真ん中に「ボーカル」、片側に「演奏」、もう一方に「コーラス」の配分となっていたのです。
【 余分な話 】
1962年映画「ワールドフェアの出来事 (It Happened At The World's Fair)」のサントラ盤は
A-B面合わせても21分間程度で、左から右へ「演奏」、「ボーカル」、「コーラス」と
単純に割り振ったミックス(これをミックスって言うのか?)で発表されたために
ファンの中にも「これは手抜きだ」と不満を述べる人がいたようですが
ミックスに関しての"鬼" 大瀧詠一さんは
この盤を「分離度がすばらしい」と、一般とは異なる評価をしていたのが
「物事に幅を持たせる人」らしい行動だったように思います。
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さて、これは私が今から30年位前にカーステレオで
セッション録音順に別テイクを並べ替えたカセットテープを聞いているときに
気が付いた話なんですけど、まあ真剣に検索を掛けたりしていないからもあって
私以外にこれを指摘しているファンがまだいないように思うミックスの話でして
まあ「日々是エルヴィス」ではこれまでに何度か「おすそ分け」してきた情報なんですが・・・
1963年5月26-27日(時間的には28日の朝まで)に行われたナッシュビルセッションの
第一曲目は「Echoes of Love」でコーラスが右側に配置されました。
第二曲目の「Please Don't Drag That String Around」は
テイク1(↓)のコーラスが右側に配置された後、
この理由は明確になっていないのですが、
テイク2(↓)からはコーラスが中央に配置されるようになって
その後のセッション録音曲ほとんどが「コーラス中央」でミックスされたのです。
【 またも余分な話 】
セッション第三曲目「悲しき悪魔」もコーラスが中央にミックスされて発表されたのですが
一昨日ハロウィンの晩に貼ったYouTube作品は
1分33秒目辺りのコーラス「but, I Got wise」が中央から左側に広がっていたりして
一発取りの一発ステレオミックスだったとされるビル・ポーター技師の物とは
異なる音源がこのほかにも最近聞かれるようになっています
「Witchcraft」なんかも「ダブル・ドラム」を印象付けるミックスが・・・
あっ、これは「余分すぎる話」になりますし・・・
いや、最新の技術が持ち込まれている気がしているんです (← 上手くまとめたつもり )
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