別のツアーを申し込もうか、もうやめてしまおうか迷っていると、右の耳元で誰かが囁きます。
『のんちゃんの個展に行きたいのに金がなくて困っていたんだろ？天の助けと思って、浮いた金を東京行きの交通費に使っちゃえよ。』
「誰だ！」ふと右を見ると・・・
こ、こいつは！
小っちゃい悪魔が右肩に乗っかっています。
（確かに、ファーストライブの日、ついでに個展へ行く時間が取れない僕は個展を諦めかけていた。名古屋から何度も東京往復はきついから。）
すると、今度は左の耳元で誰かが囁きます。
『何を言っているの？最近大きな出費が続いているんでしょ？ 生活を切り詰めないとダメよ。』
「誰だ！」ふと左を見ると・・・
あ、あなたは！
小っちゃい天使が左肩に乗っかっています。
（そうだった。仕事を早期退職して収入のないこの時期に、無駄遣いは禁物だ。）
すると右の悪魔が、
『本当に生活の厳しい奴が、二泊三日のツアーに申し込んだりするか？ のんちゃんの応援に使う金が無駄遣いだなんて、それでものんちゃんのファンと言えるのか？』
すかさず左の天使が、
『惑わされてはダメよ。年金がもらえるようになるまでは、お金は大事に使わなきゃ。』
（俺はどうすればいいんだ！）
頭を抱えていると、今度は後ろから誰かが声を掛けてきました。
『あなたが個展に来てくれたら、私、とっても嬉しいわ。』
ふと後ろを振り向くと・・・
(ﾟдﾟ)！
ホントの天使が、じっと私に微笑みかけているではありませんか。
「はい、わかりました。あなたが喜んでくれるなら、僕、個展に行きます！」
こうして僕はあっさり、ライブとは別に個展のための東京行きを決めたのでした。
チャンチャン
