鈴木良さんの教師修業の道

高校・国語教師の鈴木良治のブログです。日々、分析批評と討論の授業を探究しています。

2月の読書メーター

2018-03-03 08:34:48 | Weblog
2月の読書メーター
読んだ本の数:7
読んだページ数:1749
ナイス数:17

マルチリンガルの外国語学習法  (扶桑社新書)マルチリンガルの外国語学習法 (扶桑社新書)感想
学生時代、スペイン文学徒に過ぎなかった氏が「文学」好きから、欧州や中東・西アジアの文化に興味・愛着を持ち、気がつくと多言語を手がけるようになったいきさつをたどる。
【心に残った言葉】おそらく、外国語に正面から向き合おうとするときに最も良心的な態度というのは、とことんまでその社会文化の深部に肉迫する覚悟を持って取り組むことである。これは言うも易くはないし、行うも難いことである。(33頁)
読了日:02月21日 著者:石井 啓一郎
エクソフォニー-母語の外へ出る旅-エクソフォニー-母語の外へ出る旅-感想
異文化体験とはつまり「母語の外へ出」てある種の緊張感を持って人や言語や文化と接するということなのだろう。この書を礎にして多言語学習に挑んでみたい。
【心に残った言葉】技術獲得の道具として言語を見た場合は多言語は不合理に見えても、言語自体に価値を見て時間をかけて毎日耕せば、そこから出発して「単言語人間」ばかりだった時代にはできなかったことを成し遂げることができるかもしれない。(45頁)
読了日:02月18日 著者:多和田 葉子
素読のすすめ (ちくま学芸文庫)素読のすすめ (ちくま学芸文庫)感想
素読、音読の効用について、歴史的、実証的に解説。外国語学習や聖書、ヨーロッパの古典など、全世界の文化の中に息づく素読についても触れている。
【心に残った言葉】わたしたちが、ことばの真実を回復するためには、まず、ことばに対して謙虚にならなければいけない。(215頁)
読了日:02月15日 著者:安達 忠夫
誰でもカンタン!「いい字」が書ける (ちくま新書)誰でもカンタン!「いい字」が書ける (ちくま新書)感想
字をザツに書く生徒が多いが、私は「とにかく、丁寧に書きなさい」と言う。しかし武田氏の言葉の方が趣意説明がしっかりしている。その他の20のアドバイスも生徒を指導する際の参考になる。
【心に残った言葉】丁寧に書く本当の目的は字を美しくすることではなく(結果としてそうなりますが)、心が整って幸せになるからです。(55頁)
読了日:02月10日 著者:武田 双雲
変調「日本の古典」講義  身体で読む伝統・教養・知性変調「日本の古典」講義  身体で読む伝統・教養・知性感想
思想家・武道家の内田氏と、古典芸能に生きる安田氏のコラボで日本の古典が現代によみがえる。受験科目にあるかないかしか考えない高校生にこの書を突きつけたい。
【心に残った言葉】一意的でない、奥行きの深い言葉であればあるほど弟子は必死で答えをさがそうとします。だから、そう仕向けることが教育の本質だと思うんです。(内田251頁)
読了日:02月09日 著者:内田樹  ,安田登
日本問答 (岩波新書)日本問答 (岩波新書)感想
日本のくにや国家の成り立ちについて、問答形式で交流させ、深めていく。しかし、やや松岡正剛の方が次元が深く、田中の江戸文化に対する考えやアジア比較文化に関する考えがおさえられてしまったのではないかと思う。
【心に残った言葉】京都には朝廷があって、江戸には幕府がある。江戸さえあれば、幕府は京都にこだわる必要がない。そのぶん、京都からは自由な儒学が生まれやすくなるということかな。(松岡177頁)
読了日:02月08日 著者:田中 優子,松岡 正剛
街場の天皇論街場の天皇論感想
天皇制の歴史と機能について、大胆に分析、提言している。正解のない問いを考え続けていきたい気にさせる好著。
【心に残った言葉】「おことば」は憲法の範囲内で天皇の霊的使命を明文化しようとした画期的な発言であり、これを奇貨として古代に淵源を持つ天皇制と近代主義的な立憲デモクラシーの「共生」のかたちについて熟考するのは国民の義務であり権利でもある(5頁)
読了日:02月06日 著者:内田 樹

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