鈴木良さんの教師修業の道

高校・国語教師の鈴木良治のブログです。日々、分析批評と討論の授業を探究しています。

2014年2月の読書メーター

2014-03-14 00:24:37 | Weblog
2014年2月の読書メーター
読んだ本の数:10冊
読んだページ数:2630ページ
ナイス数:40ナイス

自分では気づかない、ココロの盲点自分では気づかない、ココロの盲点感想
1、2時間で楽しみながら読めてしまう本だが、30項目183の認知バイアス用語の一つ一つには、とても深い学問の世界があると思う。心理学、脳科学を学びたい人にはおすすめである。
【心に残った言葉】胸に手を当てながら、素直にこのリストを眺めると、図星を指される項目も多く、自戒に胸が疼きます。でも、落ち込む必要も、恥ずかしがる必要もありません。それが脳の仕様なのですから。(125頁)
読了日:2月28日 著者:池谷裕二
知的創造のヒント (ちくま学芸文庫)知的創造のヒント (ちくま学芸文庫)感想
忘却、グライダー効果、セレンディピティ、発酵、メタ・ノート、などトピックは「思考の整理学」でも触れられている。しかし、この著者にかかると、同じトピックでも変奏されて深化したものになっている。
【心に残った言葉】人間らしい人間であると、胸を張って生きていくためには、機械のできない“考える”ことをしなくてはウソである。“考える”ことを考える必要がある。(207頁あとがき)
読了日:2月26日 著者:外山滋比古
遠霞ノ峠 ─ 居眠り磐音江戸双紙 9 (双葉文庫)遠霞ノ峠 ─ 居眠り磐音江戸双紙 9 (双葉文庫)感想
待ち伏せる殺し屋に対面した時の、磐音の最初のセリフがいい。いかにものんびりしているのだが、相手をうまく挑発している。
【心に残った言葉】「われら、通りがかりの者にございますれば、懐に多額の金子など持ち合わせておりませぬ」磐音の声が長閑に響いた。(269頁)
読了日:2月25日 著者:佐伯泰英
密封<奥右筆秘帳> (講談社文庫)密封<奥右筆秘帳> (講談社文庫)感想
さすが、「この文庫書き下ろし小説がすごい!」の第1位に選ばれただけのことはある。剣豪小説に政治的側面を加えて、話の展開に奥行きがある。衛悟の腕はまだまだ未熟だが、応援してやりたいという気を読者に起こさせる。
【心に残った言葉】人というのは生きているだけで気を発している。歓び、怒り、哀しみ、そして殺気もそうだ。冥府防人は、身体が紅く光るほどの殺気を見せているが、それを向けられているお庭番はいっさい反応していなかった。(403頁)
読了日:2月22日 著者:上田秀人
おとなの背中 (単行本)おとなの背中 (単行本)感想
大学入試問題頻出の哲学者。日常の何気ない事柄の中に深い意味を見出す。特に東日本大震災後の論及に意義深いものがある。
【心に残った言葉】ひとが勉強するのは…わからないという事態に耐え抜くことのできる知性の体力をつけるためでないのか。(98頁)言葉は…じつは人と人をつなぐのとおなじだけ、人と人を切り離す、もっとはっきりいえば分断する。(219頁)
読了日:2月19日 著者:鷲田清一
受験脳の作り方―脳科学で考える効率的学習法 (新潮文庫)受験脳の作り方―脳科学で考える効率的学習法 (新潮文庫)感想
「高校生の勉強法」を改題した本。以前も読んだが、そうだったのかと目からウロコの情報ばかりで自分の脳がパキパキと活性化する感じがした。
【心に残った言葉】「記憶した量自体は何の意味も持たない」と心得てください。そんなことで自己満足するくらいなら、むしろ覚えている知識を「いかに活用するか」という、その応用方法を記憶することの方が、その何倍も重要なことなのです。(245頁)
読了日:2月13日 著者:池谷裕二
考える練習考える練習感想
自分の思考回路を打ち破る、その方途を、世の中の様々な問題に即して提示している。しかし自分の殻をぶち破るのは難しいなと思う。
【心に残った言葉】蘊蓄の文章っていうのは、ただ知識の量が降り積もっていくだけなんだけど、小説の文章は、それを耕していく。自分が知っている理解の層をほじくり返していくという感じ。(231頁)
読了日:2月12日 著者:保坂和志
言語学の教室 哲学者と学ぶ認知言語学 (中公新書)言語学の教室 哲学者と学ぶ認知言語学 (中公新書)感想
野矢氏のツッコミに西村氏の丁寧な解説。対話形式で進められるので、認知言語学という新しい学問の世界が親しみ深いものに感じられる。長谷川明香氏の参考文献も親切で、さらに深く学びたい気持ちになる。
【心に残った言葉】「赤」は「赤」だけで意味をもっているのではなく、「青」や「黄」といった他の語との対比において初めて意味をもつ、さらにはそれらの語が使われる文との関係も見ていかなければ「赤」という一つの語の意味も捉えられない(10頁)
読了日:2月9日 著者:野矢茂樹,西村義樹
GOSICKsIII―ゴシックエス・秋の花の思い出―GOSICKsIII―ゴシックエス・秋の花の思い出―感想
本編のミステリーツアーのアイ狂言のように楽しめる作品だ。ヴィクトリカも久城もとても本が好き。居眠りしているようでもヴィクトリカの推理は冴えている。本の深読みがついしたくなる。
【心に残った言葉】簡単な消去法だよ。第一に、幽霊はいない。それなら誰かが犯人だ。(198頁)
読了日:2月6日 著者:桜庭一樹
思考の整理学 (ちくま文庫)思考の整理学 (ちくま文庫)感想
朝の読書に最適の本。新しいアイディアに触れると思わずニッコリする。それがうれしくてまた読み進める。東大生・京大生が読む本No1もうなずける。
【心に残った言葉】本はたくさん読んで、ものは知っているが、ただ、それだけ、という人間ができるのは、自分の責任において、本当におもしろいものと、一時の興味との区分けをする労を惜しむからである。(133頁)
読了日:2月2日 著者:外山滋比古

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