鈴木良さんの教師修業の道

高校・国語教師の鈴木良治のブログです。日々、分析批評と討論の授業を探究しています。

3月の読書メーター

2017-04-15 09:03:57 | Weblog
3月の読書メーター読んだ本の数:9読んだページ数:2597ナイス数:19加藤周一を記憶する (講談社現代新書)加藤周一を記憶する (講談社現代新書)感想戦後、そして現代を考える上で、欠かせない存在が知識人、加藤周一である。この巨大な思想家にどう迫るかを分かりやすく解説した入門書。同時に、戦後をどう捉えていったらよいかの指針も得られる。
【心に残った言葉】定家を「野蛮な権力の下で何よりも文化の急速な低下としてあらはれる社会的変動から目を背け、己が内面の世界を築かうとした反時代的精神によって営まれた」と、自分を重ね合わせながら解釈しています。(83頁)読了日:03月31日 著者:成田 龍一
げんきな日本論 (講談社現代新書)げんきな日本論 (講談社現代新書)感想学校では教えない日本史の醍醐味がここにある。「なぜ江戸時代の人びとは、儒学と国学と蘭学を学んだのか」など18の橋爪の疑問に、大澤が社会学的にアプローチしていく。
【心に残った言葉】彼(宣長)は、ひとつの極端に行った人ですよね。そこまで行き過ぎずに、もう少し使いやすいかたちで、国学と儒学を妥協的に組み合わせて行ったのが、水戸学なんです。(371頁)読了日:03月30日 著者:橋爪 大三郎,大澤 真幸
春霞ノ乱-居眠り磐音江戸双紙(40) (双葉文庫)春霞ノ乱-居眠り磐音江戸双紙(40) (双葉文庫)感想拘禁された父、坂崎正睦を助け出す段取りが圧巻。弥助、霧子など戦うキャラクターと、空也、金兵衛などくつろぎのキャラクターがそれぞれくっきりと個性が出ている。
【心に残った言葉】そなたは、己を捨てて他人のために命を賭する運命の星のもとに生きる人間よ。(47頁)読了日:03月27日 著者:佐伯 泰英
漱石のこころ――その哲学と文学 (岩波新書)漱石のこころ――その哲学と文学 (岩波新書)感想漱石の作品に秘められてきたメッセージを読み解く。特に「坊っちゃん」は当時の政治体制を比喩したものとし、「こころ」では「時代精神」によって社会(世界)は説明できると説く。
【心に残った言葉】漱石が強く願ったのは、原子や分子で物質世界が一貫して説明できるように、文学とは何か、また世界(自然・社会・人間)にとって文学はいかなる役割を果たすか、明解に語れるようになることだった。(頁)読了日:03月23日 著者:赤木 昭夫
新聞大学新聞大学感想高齢者向けのリベラルアーツの勧めという意味で新聞は有力なツールであると思った。特に興味の湧かない分野を開拓していくために、見出し読みはいい突破口になるのではないかと思った。
【心に残った言葉】新聞大学は専門主義をとらない。広く、知の世界に触れて、古くなった知識を新しい知識に入れ換え、新しい知識にすることを目指している。百科的である。そういうことのできる学校は、これまでなかった、と言ってよい。新聞大学はそれができるほとんど唯一の道である。(221頁)読了日:03月15日 著者:外山 滋比古
2020年からの教師問題 (ベスト新書)2020年からの教師問題 (ベスト新書)感想筆者は「理想の教師像はプロデューサー」というが、私はメンター(すぐれた指導者、助言者)であり、ファッシリテーター(グループ・プロセスを適切に観察し、介入と促進を行う者)であるべきと考える。
【心に残った言葉】大切なのは、「問い」を持ち帰ることです。授業の終わった後に「モヤ感」を持ったことに関して、もっと調べてみようとか、考えてみようとか、友達と話し合ってみようといった気持ちになることこそが重要なのです。(129頁)読了日:03月12日 著者:石川 一郎
俳句世がたり (岩波新書)俳句世がたり (岩波新書)感想大災害の後は世相が大きく揺れ動く。それを映し出した俳句を味わう。こんなふうに日記風に俳句をひねってみたい。
【心に残った言葉】近年の反原発や反安保法案デモに交ざってみると、誰もが参加できるベ平連方式こそが今や主流だ。老若男女に子連れもいて、元気な若者たちのリードに喝采する。明日の日本大衆へ一つの示唆と存じます。(196頁)読了日:03月08日 著者:小沢 信男
秋思ノ人-居眠り磐音江戸双紙(39) (双葉文庫)秋思ノ人-居眠り磐音江戸双紙(39) (双葉文庫)感想「山流し」に遭った速水左近も奏者番として江戸に復帰する。田沼意次への反撃の狼煙が静かに上がる。
【心に残った言葉】「時節を待つ」このことが磐音に課せられた任務だった。時節が到来したときのために研鑽する、その仲間がいるのだ、と磐音は己に言い聞かせた。(323頁)読了日:03月06日 著者:佐伯 泰英
議論を逃げるな――教育とは日本語――議論を逃げるな――教育とは日本語――感想「アクティブ・ラーニング」なる語は、スローガン的でどこか胡散臭いものを感じていたが、どう論破すべきか分からないでいた。宇佐美氏は論理的にすっきり撃破している。痛快である。
【心に残った言葉】“active learning”という英(米)語そのものが、混乱した表現である。…active(能動的・主体的・自律的・活発)なのは、あくまでも学習(learning)である。つまり「頭の中」のことである。外側の行動のことではない。(30頁)読了日:03月02日 著者:宇佐美 寛
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