セントシュタイン三丁目

DQ9の二次創作(主にイザ女主小説)の、全くの個人的趣味なブログです。攻略の役には立ちません。悪しからずご了承ください。

ドキッ!冒険者だらけの大運動会

2013年10月11日 23時54分29秒 | クエスト184以降
今週は何とか間に合いました捏造クエストシリーズこと追加クエストもどき。昨日のラクガキ関連ではありませんが引き続きスポーツの秋なネタ。津久井本人はスポーツと無縁ですが。運動会ってどんなことやったっけと記憶の彼方すぎて、お約束のパン食い競争忘れた(笑)はちゃめちゃ競技ばかりなので書いてて楽しかったです♪タイトルはノリで付けたのであまり深くつっこまないでくださいませ。誰も水着じゃないです(爆)


 セントシュタイン城下町の中央の立て札に、秋らしいと言えば秋らしいお知らせが掲示された。広大なビタリ平原を使っての、冒険者向け大運動会が近く開催されるという。
「そういえばビタリ平原って、気候もよくて広々いい場所の割には、あまり人が立ち寄らないものね。これを機会に少し賑やかになるといいかもね」
 城からの帰りにこのお知らせを見たミミは、にっこり笑ってそう言った。
「我らが宿屋協会も、スポンサーになっておりますの。ミミ様も参加されては如何?」
 こちらは城のメイドたちに、ハロウィン用衣装を届けた帰りのロクサーヌが、やはり相変わらずの輝くような笑顔で言った。
「へえ、そうなの?ところで、主催者は書いてないけれど、誰なの?」
 ミミの問いに、ロクサーヌは声をひそめて答えた。
「若い頃冒険者に憧れていたというとある大富豪だそうですわ。匿名でとの強いご希望で、主催者を記しておりませんの」
 ロクサーヌはどうやら誰だか知っているらしいが、さすが自分も人のヒミツも厳守する主義の彼女は、それが誰だかわざわざ言わなかった。ミミも、ロクサーヌさんが知っているなら大丈夫だろうと、わざわざ聞かなかった。聞いても笑顔ではぐらかされるだけだろう。
「運動会って、いろんな競技をする大会のことだよね?どんな競技をするのかな」
 ミミが首を傾げると、ロクサーヌも首を傾げた。
「さあ?まだ秘密らしいですわ。準備もあるでしょうに、ちょっと心配ですわね」
「開催日まであんまり間がないよね・・・大丈夫かな」
 と、そんな話をしながらリッカの宿屋に帰ってくると、そのリッカが手に何やら手紙のようなものを持って立っていた。
「あっ、ミミ、ロクサーヌさん、おかえりなさい。ロクサーヌさんにお手紙来てるよ」
「まあ、私に?」
 ロクサーヌはさっそく手紙を開けて読んでいたが、読み終えてあらまあと額に手を当てた。
「ミミ様、やはり大丈夫ではなさそうですわ。例の大運動会競技に使う物が足りなくて、至急揃えてほしいとの注文の手紙ですのよ。どれもなかなか難しい品ばかりですわ」
 ミミも手紙を見せてもらうと、そこには「メガトンハンマー」と「まだらくもいと」と「ようがんのカケラ」が必要である由が書かれていた。メガトンハンマーは宝の地図の洞窟でしか入手できないなかなかレアなアイテム、そしてまだらくもいととようがんのカケラは比較的容易に手に入るが、ここに記されているたくさんの量を集めるのは難しい。採取だけではなく、それらを落とす魔物と戦わなくてはならないだろう。
「ロクサーヌさん、私、お手伝いするわ」
 ミミの申し出にロクサーヌは喜んだ。
「まあ、助かりますわ。よろしくお願い致しますね」
 ミミはクエスト「ドキッ!冒険者だらけの大運動会」を引き受けた!

 ちょうどそこへ、ウォルロに届け物に行っていたイザヤールが帰ってきた。
「ただいま。ミミ、ウォルロに行ったついでにまだらくもいとを取ってきたが、何かに使えるか?」
 なんてすてきなタイミング!ミミは濃い紫の瞳を輝かせて思わずイザヤールに抱きついたので、まだらくもいとでここまで喜ばれると思わなかった彼は、驚きと照れで僅かに顔を赤らめた。それから事情を聞いて納得した。
「なるほど、そういう訳か。よし、私も手伝おう」
「もちろん私たちもね」リッカがにこにこして言った。「ルイーダさんも、酒場の冒険者さんたちに頼んで集めてくれるって」
 そこで、フィールドで採取できる物は任せることにして、ミミたちはメガトンハンマーを確保に行くついでに、ようがんまじんやデスタランチュラに会える自然系の宝の地図の洞窟に行くことにした。もちろんようがんのカケラとまだらくもいとを手に入れる為だ。
「それにしても、メガトンハンマーやようがんのカケラやまだらくもいと、いったい何に使うのかな」
 ミミが呟きながらもの問いたげにロクサーヌを見ると、彼女もさあ?と首を傾げた。傾げながら、ようがんまじんから鮮やかにようがんのカケラを盗み取った!これで十個目である。
 メガトンハンマーは幸いこの洞窟で見つかり、ロクサーヌの店やミミたちの手持ちを合わせれば指定の数に間に合いそうなので、まだらくもいと集めに専念することにした。こちらも強くなったとはいえ、デスタランチュラは相変わらずかなりの強敵なのである。
 疲労を感じ始めたところで、ミミは無理せず一旦引き上げることにした。いくら慣れていても、ダンジョンでの無理と過信は大きな危険に繋がる。
 こんな探索を繰り返し、他の冒険者たちから届けられた物も集まって、無事期日までに指定の数を集めることができた。
「ありがとうございます皆様!これできっと大運動会は無事開催されますわね♪」
 ロクサーヌがミミへのお礼にと、「ウィッチハット」をくれたので、これはハロウィンに使ってという意味かな・・・と嬉しくなったミミだった。

 そして無事大運動会当日がやってきた。ミミとイザヤールは参加するつもりはなかったが、どんな競技か気になるので見物には行くことにした。ロクサーヌはスタッフとして裏方の手伝いに行っているらしい。参加は自由で各競技で入賞すれば、なかなかいい景品も出るそうだ。
 普段はほぼ何もないビタリ平原に、ちゃんとそれっぽくロープが張られ石灰で線がきっちり引かれ、運動会の雰囲気を醸し出していた。
「参加しないけれど・・・お弁当作ってきちゃいました」
 恥ずかしげに笑うミミに、それは楽しみだと微笑むイザヤール。見物しやすそうな場所に敷物を敷こうとしたそのとき、大会の係員らしい者たちに呼び止められた。
「おやおや、参加者の控場所は、あちらですよ。ささ、ご案内しましょう」
 そのまま有無を言わさず、二人の背中を押して移動させる係員。
「えっ、私たちは参加者じゃな・・・」
「我々は参加するつもりはないぞ?!」
 ミミとイザヤールは慌てて訴えたが、係員はまあまあと言いながら二人を誘導してしまった。
「お二方のような凄腕そうな人が見物オンリーなんてもったいない、飛び入り参加大歓迎ですからオッケーです☆」
 オッケーじゃないと言う間もなく、こうしてうやむやのうちに参加することになってしまった。

 開会式から始まり、主催者代理の挨拶、競技の簡単な説明、入場行進っぽいことをして、いよいよ競技が始まった。
「まずはパワー系冒険者のみなさんによる『メガトンハンマー投げ』で~す」
 それでメガトンハンマーが必要だったんだ・・・とミミは思いきり納得した。彼女は今日は旅芸人だったので参加は見送ったが、バトルマスターだったイザヤールは半ば強引に引っ張り出され、見事優勝して景品をもらって帰ってきた。
「ちなみに景品はメガトンハンマーだった」
 そう言って見せて、イザヤールはおかしそうに笑った。
 大玉転がしならぬキングスライムを押す大王転がし、メタルスライムとスピードを競う徒競走、借りるのではなく「ぬすむ」で指定の品を手に入れる借り物競争など、一筋縄ではいかない競技が続いた。ミミは大王転がしに参加したが、キングスライムが目を回して分解してしまい失格となった。
「キングスライムに悪いことしちゃった」
 目を回したスライムたちを扇で扇ぎながらしょんぼりするミミ。
 続いての競技綱引きの綱はまだらくもいとでできていて、しかも一対一で全力で引っ張るという凄まじいものだった。だからまだらくもいとがあんなに必要だったんだとミミは再び納得し、これは見物に徹することにした。しかしやがて参加者どころか見物客までベトベトになり、一旦競技を中断してついでに昼食時間となった。イザヤールはミミの手作り弁当に舌鼓を打っていたが、旅芸人ということで駆り出され、チアガール風に「おうえん」を可愛らしくダンスしたミミに熱い視線が集まるのを見て、自分も見とれたりやきもきしたりと忙しかった。
 午後一の競技は、玉入れだった。ただし玉はようがんのカケラで、手袋をして熱さを感じないうちに素早く投げる敏捷性と籠に命中させる器用さが必要だった。これは団体競技なので、適当に二手に別れさせられ、勝った方のチーム全員に「上やくそう」が出るらしい。
「ようがんのカケラ、この為のものだったんだ・・・」
 ミミは三度納得し、「キラージャグリング」の動きを活かして自分たちのチームの籠にようがんのカケラを放り込んだ。普通の籠ではもちろん燃えてしまうので、ホーリーチェインの素材を利用して作られた籠は、燃えこそしないがようがんのカケラが入る度凄まじい音を立てた。イザヤールは「ばくれつけん」の動きを利用して籠に放り込んでいる。
 しかし玉のカウント時、どちらもようがんのカケラなのでわからなくなってしまい、結果はドローとなって上やくそうは結局全員に配られた。次回からは片方は「こおりのけっしょう」にすべきだ、いやそれでは形状的に不利だと騒ぐスタッフたちを後目に、競技は続けられた。
 そして締めは騎馬戦・・・ただしもちろん普通の騎馬戦ではなく、メタルライダーのようにメタルスライムに無理やりバランスを取って乗り、落ちたら失格というかなりの難易度なルールで、最後まで勝ち残った者が優勝することになるバトルロイヤル式だった。
 そもそもメタルスライムに乗ること自体がほとんど不可能である。何故か妙になつかれたミミと、男気がありそうなメタルスライムにやはり何故か見込まれたイザヤールと、モンスターマスター風な者やら乗馬が得意なパラディンやら身軽な盗賊など六、七名が、何とかメタルスライムから落ちずに平原を駆け巡る。
 メタルスライムは必ずしも言うことを聞いてくれるとは限らない。前進するよう頼んでも、逃げの方向に向かったりするのである。だがイザヤールの乗るメタルスライムは、メタスラらしからぬ男気のせいか、猪突猛進を繰り返した。その度にびっくりして縦横無尽に走り回るメタルスライムたち、必死に掴まるその上に乗る者たち。
 だが、逃げの途中で一ヶ所に固まったメタルスライムたちは、なんといきなり合体してしまった!そこに八匹集まってしまったのだ。ミミとイザヤールも落馬ならぬ落スラし、この競技の優勝者は、たまたま離れたところに居て合体に参加しなかったメタスラに乗っていたトンヌラという旅人に決まった。

 戦い済んで日が暮れて・・・ビタリ平原も夕焼けで金色に染まる。なにしろ初の大会でいろいろ問題はあったが、なんとか無事大運動会は終わった。見物客もかなり集まり、なかなか楽しめたようだ。
「楽しかったですね、イザヤール様」
「ああ、案外な」
「来年からは、個人の総合優勝もちゃんと決めるんだって」
「来年もやるのかこの大会?!」
 来年も行われるのかはたまた今回一度限りの幻の大会となるのかはまだわからないが、激しいがどこかのんきなこんな大会も悪くないと、ミミとイザヤールは顔を見合わせて微笑んだ。
 スタッフたちがてきぱきと働き、平原はたちまち片付いたが、人手を見込んでたくさん集まった屋台はまだまだ残っていて、冒険者たちは気に入りの店を見つけては空腹を満たしている。
「お弁当たくさん食べたのに、お腹空いちゃった・・・」
 恥ずかしげに頬を赤らめるミミの頭を、イザヤールは笑ってなで、言った。
「私もだ。どの屋台がいい?」
「迷っちゃうな・・・」
 競技を手伝ったキングスライムやメタルスライムたちものんびりとエサを食べている。黄昏空に一つ二つ、星が輝き出して、面白いものを見損ねたとでも言いたげに、瞬いた。〈了〉
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