結局土曜日夜更新になってしまいましたごめんなさいの追加クエストもどき。七夕の夜になったのでお約束な七夕というか星空ネタも折り込みました。なんかモーモン系ネタ多いですが、マポレーナにもいろんな性格のヤツがいて、カワイイ系モンスターというイメージに苦労していたりするかもな、と思ったことからできたお話です。なんかドラクエのモンスターって、気のせいか冒険者ウケとかファン獲得とか狙っているフシがあるような・・・。別世界のマポレーナのお宝は、ヒーローズ2より。
清らかな水辺に蛍の舞う季節、蛍鑑賞も人気だが、それに劣らず人気なのが、闇夜に神秘的に光って可愛いマポレーナ鑑賞だ。ただしマポレーナは可愛いとはいえ手強い魔物には違いないので、鑑賞の際は安全な距離を取り、腕の立つ冒険者の付き添いが求められている。
そんな次第で、ミミとイザヤールは例年のようにマポレーナ鑑賞会の安全を守る役割を担って、今夜も西ベクセリアの小島に来ていた。魔物の群れが近付かないようしっかり人々を護衛しつつ、自分たちもふわふわと浮かぶマポレーナの幻想的な光を楽しんだ。
楽しくも穏やかな夜は順調に更けて、鑑賞会を終えた人々はそろそろ帰ろうとセントシュタインに戻る小舟に引き上げてきた。ミミとイザヤールは全員揃ったか確認し、念のため鑑賞してた辺りに忘れ物等が無いかも確認してから、小舟に向かった。
すると、二人のレベルなら通常マポレーナは近寄らない筈なのに、一匹のマポレーナがふよふよと近付いてきた。攻撃するつもりかと二人が身構えると、マポレーナはふるふると可愛く体を震わせながら言った。
「おいら悪いマポレーナじゃないモ・・・ン!あんたたちに頼みがあるんだ・・・モン!」
攻撃してくるつもりは無いとわかって二人は話を聞く態勢に入った。
「私たちに?・・・ところで、なんか『〜モン』って言いにくそうに聞こえるけど・・・?」
ミミが素朴な疑問を言うと、マポレーナはは気まずそうな笑顔からちょいワルそうな笑顔になって答えた。
「やっぱりわかるか?実はオレさ〜、マポレーナのイメージを崩さないようにカワイイ言葉遣いしようって頑張ってんだけど〜、もう赤ん坊じゃないんだぜ!モンなんて言ってられっかよ!・・・頼みってのもそれに関係あるんだ」
マポレーナもたいへんだなあと思いつつ、それが何かを尋ねる前に、マポレーナはイザヤールを見てしっぽをふりふりしながら嬉しそうに声をかけた。
「ところであんた!久しぶりだなあ!」
「前に会ったことがあるのか?」イザヤールは首を傾げた。
「あんたは覚えてないかもしんないけど、オレはあんたがウォルロの守護天使やってたときにはまだ赤ん坊なモーモンで、お世話になったんだ!」
「そうなのか?」
イザヤールは更にきょとんとした。守護天使として山ほど人助けはしているが、魔物であるモーモンをわざわざ助けた覚えにはあまり心当たりが無いようだ。
「あんたが村の子供にあげたフルーツタルトをこっそりつまみ食いしたらとってもおいしくて、それ以来オレはフルーツにハマりまくって、果物ばっかり食べて血を吸うことをすっかり忘れてたんだ!そしたら、ブラッドアーゴンじゃなくて、いつの間にかマポレーナに育っていたんだ!あんたのおかげだよ、ありがとな!」
「いや、別に礼を言われることでは・・・」
イザヤールは苦笑したが、ここでマポレーナは暗い顔になった。
「マポレーナになったのは嬉しかったんだけどさあ、オレ、元来体育会系な性格でさあ・・・。カワイイイメージキープには苦労してるよ」
「イメージキープねえ・・・」
必要あるのかなあとミミは思ったが、マポレーナは大真面目なようだ。
「そうさ!で、頼みってのは他でもない、オレはマポレーナは可愛くファンシーであるべきだって常々思ってんだけど、オレたちマポレーナのお宝にちょっと不満があるんだ!」
「『いのりのゆびわ』と『せいじゃのはい』が?なんで?」
「いのりのゆびわはまあいいんだよ、如何にもファンシーでお宝っぽいから。でも、『せいじゃのはい』はなあ・・・」
「どうして?レアだし邪悪を清めるアイテムだし、いいんじゃないの?・・・あっ、もしかして、魔物としてそれがイヤだとか?」
「そーじゃねーんだ。せいじゃのはいって、つまり聖人の灰だろ?それじゃあオレたちマポレーナが、聖人をしばいて燃やして灰にしちゃって持ってるみたいじゃん!それ超怖すぎるよ!全然可愛くねーよ!」
では実際のところマポレーナたちがどうしてせいじゃのはいを持っているのかは不明だが、ミミとイザヤールはそこの追及はやめておいた。
「もしかして、だからなんか可愛いお宝に変えたいっていう頼みなの?」
ミミが聞いてみると、マポレーナは大きく頷いた。
「さっすが、話が早いぜ!その通り!・・・実はさ、聞いたところによると、別の世界のオレたちマポレーナのレアお宝は、『にじいろのぬのきれ』らしいんだよ!ファンシーで夢があって如何にもカワイイよな!だからオレもその路線で行こうと思って!なあなあ、にじいろのぬのきれと、オレのせいじゃのはいを交換してくんないか?頼むよ元守護天使さんたち!特にあんたは(とイザヤールの方を向いて)オレをマポレーナにしちゃった責任もあるんだからさ〜」
「どんな責任だ」
イザヤールは呆れ顔だったが、自分の守護天使活動が一匹の魔物を吸血モンスターではなくしたことについてはまんざら嬉しくなくもなさそうだった。ミミも、せいじゃのはいとにじいろのぬのきれを交換することに何の異存も無かった。ミミはクエスト「イメージキープも一苦労」を引き受けた!
とりあえず、マポレーナ鑑賞会に来ている人々をセントシュタイン城下町に送らなくてはならなかったので、ミミとイザヤールは、マポレーナにまた後で来ることを約束して引き上げた。
セントシュタインに戻ると、手持ちのにじいろのぬのきれはリッカに全て提供して在庫が無かったので、さっそくカマエルで錬金をすることにした。
「・・・と、思ったら、『あまつゆのいと』も切らしていたの・・・。材料の『まだらくもいと』も一つ足りないし・・・」
にじいろのぬのきれの材料のあまつゆのいとと、更にその材料をちょっと切らしていたのだ。
「この頃、あまつゆのいとの注文も多かったものな、仕方ないさ」
季節柄、「水のはごろも」が大人気で、機織り職人とあまつゆのいとが引っ張りだこなのである。特別な織り機でないと作れないらしいので、残念ながら水のはごろもは今のところカマエルで作ることはできないのだった。
まだらくもいとは、ウォルロに採取に行くことにした。ウォルロ村までルーラで移動し、川辺を歩いて採取地まで向かうと、こちらの流れの岸辺には、マポレーナではなく蛍がふわふわとたくさん光っていた。
「マポレーナ鑑賞もいいけど、やっぱり蛍もすてき・・・」
ミミはうっとりとあちこちで光る蛍にみとれた。
「まるで、星がこの岸辺に降りてきたかのようだな」
イザヤールが呟いて星空を見上げると、夜空に光る星々は、何やらいっせいに瞬きだした。
「・・・どうもあいつらに、『顔に似合わないセリフを言って〜』と言われた気がする・・・」閉口顔になるイザヤール。
「そんなあ、みんなひどいの〜」
ミミがちょっと唇を尖らせて星空を見上げると、星々は笑っているように瞬いた。その怒っても全然怖くない顔が可愛いので、イザヤールはそんなミミの顔を嬉しそうに眺めた。
見つめられて照れて、ミミは頬を染めて慌てて言った。
「イザヤール様、蛍や星の方をちゃんと見て・・・」
するとイザヤールは、ミミの濃い紫の瞳を覗き込んで囁いた。
「星なら、おまえの瞳を見つめれば、一番綺麗なのを見られる」
途端に、星々がまたいっせいに瞬きだした。
「・・・あいつら・・・。『キッザ〜』とか、『歯が浮く〜』とか、挙句の果て爆笑しかしてない奴まで居るぞ・・・」
「イザヤール様、みんなの言ってることわかるの?!・・・でも、私も、今夜はいつもよりわかるかも・・・」
「そういえば、今宵は人間たちの間では、星に願いをかける日だったな」
それから二人は少しの間、しんみりと星と蛍の競演を眺め、子供のように手をつなぎながらゆっくりと川辺を歩いた。
「待っているマポレーナ君には悪いけれど・・・もう少し、こうしていたいな・・・」
「彼もそこまで野暮なことは言わないだろう」
まだらくもいとの採取を終えた後も、すぐにルーラで帰るのは名残惜しくて、川が途切れるところまで歩いて星と蛍の光を存分に浴びてから、二人はセントシュタインに戻った。
リッカの宿屋に戻る頃にはすっかり仕事モードに切り換えて、ミミはカマエルの所に行って、まずは取ってきたまだらくもいとと「きよめの水」を錬金してあまつゆのいとを作り、そのあまつゆのいとに「よごれたほうたい」と「ひかりの石」を合わせて、にじいろのぬのきれを錬金した。
もう夜もだいぶ更けてはいたが、早い方がいいだろうと、二人はさっそく依頼者のマポレーナのところへ届けに行くことにした。西ベクセリアの小島なら、天の箱舟で行くのが一番早い。アギロホイッスルを吹いて乗り込むと、サンディが箱舟中を星モチーフやキラキラした飾りや短冊だらけにしているところだった。
「やっほ〜、ミミ、イザヤールさん☆マポレーナ鑑賞会のツアーコンダクター終わったー?アタシも箱舟デコり作業が終わってたら一緒に行けたのに〜」
サンディはそう言いながら、また新たに短冊を下げた(後ほど他の車両も見たところつり革にも短冊が下がっていた)。短冊にはそれぞれ、「スイーツ食べ放題のダイエット方法が見つかりますように」「超キュートな夏ワンピがセールになりますように」「テンチョーが給料上げてくれますように」等々と書かれていた。
「女神の妹とは思えない願い事だな」イザヤールが呆れて呟く。
「ヤだイザヤールさんっ、オトメの願い事勝手に見るなんてサイテーなんですケド!」
「見られて困るような願い事を短冊に書くなっ」
「サンディ、お給料の件は直接アギロさんに言った方がいいんじゃ・・・」
そんなやりとりをしている間にもう目的地に着いた。マポレーナはそわそわと待っていて、ミミたちが空から降るように現れた時は驚いたせいで「たたかいのうた」を歌ったりするときの「あの顔」になったが、すぐに「イメージイメージ」と呟いてカワイイスマイル顔に戻した。
「お〜おかえりー!なあなあ、にじいろのぬのきれは持ってきてくれたか?」
「はい、お待たせ」
ミミはマポレーナににじいろのぬのきれを渡した。
「おー!やっぱにじいろのぬのきれってキレイだよな〜ファンシーだよな〜!ありがとな、ほい、約束どおりせいじゃのはいと交換な!」
ミミは「せいじゃのはい」をもらった!
そこへ、他のマポレーナたちもふよふよと集まってきた。
「何やってるモン?」
「あっ、にじいろのぬのきれだ〜、キレイだね〜」
「いいな〜」
「ボクもレアお宝そっちにしたいな〜」
こうしてにじいろのぬのきれを求めてマポレーナの行列ができてしまった!もちろんこれでは材料が足りないので、ミミは後日用意することを約束して、それからしばらくボーンスパイダやデスタランチュラとの戦いを余儀なくされたのだった。
しかし、結局この世界のマポレーナたちのレアお宝が正式に「にじいろのぬのきれ」になることはなかった。宝の地図の洞窟などにいるマポレーナは、「別にせいじゃのはいでよくない?」という感じだったので、西ベクセリアの小島内での一過性のブームで終わったという。
そして、依頼者であったマポレーナも、「やっぱりカワイイぶるの疲れた!オレはありのままに生きる!」と、ふわふわ移動ではなく特訓の高速移動やら腕立て伏せやらを始めたので、マポレーナ鑑賞会でしばしば高速移動する情緒の無い光が見られたりするのだった。〈了〉
清らかな水辺に蛍の舞う季節、蛍鑑賞も人気だが、それに劣らず人気なのが、闇夜に神秘的に光って可愛いマポレーナ鑑賞だ。ただしマポレーナは可愛いとはいえ手強い魔物には違いないので、鑑賞の際は安全な距離を取り、腕の立つ冒険者の付き添いが求められている。
そんな次第で、ミミとイザヤールは例年のようにマポレーナ鑑賞会の安全を守る役割を担って、今夜も西ベクセリアの小島に来ていた。魔物の群れが近付かないようしっかり人々を護衛しつつ、自分たちもふわふわと浮かぶマポレーナの幻想的な光を楽しんだ。
楽しくも穏やかな夜は順調に更けて、鑑賞会を終えた人々はそろそろ帰ろうとセントシュタインに戻る小舟に引き上げてきた。ミミとイザヤールは全員揃ったか確認し、念のため鑑賞してた辺りに忘れ物等が無いかも確認してから、小舟に向かった。
すると、二人のレベルなら通常マポレーナは近寄らない筈なのに、一匹のマポレーナがふよふよと近付いてきた。攻撃するつもりかと二人が身構えると、マポレーナはふるふると可愛く体を震わせながら言った。
「おいら悪いマポレーナじゃないモ・・・ン!あんたたちに頼みがあるんだ・・・モン!」
攻撃してくるつもりは無いとわかって二人は話を聞く態勢に入った。
「私たちに?・・・ところで、なんか『〜モン』って言いにくそうに聞こえるけど・・・?」
ミミが素朴な疑問を言うと、マポレーナはは気まずそうな笑顔からちょいワルそうな笑顔になって答えた。
「やっぱりわかるか?実はオレさ〜、マポレーナのイメージを崩さないようにカワイイ言葉遣いしようって頑張ってんだけど〜、もう赤ん坊じゃないんだぜ!モンなんて言ってられっかよ!・・・頼みってのもそれに関係あるんだ」
マポレーナもたいへんだなあと思いつつ、それが何かを尋ねる前に、マポレーナはイザヤールを見てしっぽをふりふりしながら嬉しそうに声をかけた。
「ところであんた!久しぶりだなあ!」
「前に会ったことがあるのか?」イザヤールは首を傾げた。
「あんたは覚えてないかもしんないけど、オレはあんたがウォルロの守護天使やってたときにはまだ赤ん坊なモーモンで、お世話になったんだ!」
「そうなのか?」
イザヤールは更にきょとんとした。守護天使として山ほど人助けはしているが、魔物であるモーモンをわざわざ助けた覚えにはあまり心当たりが無いようだ。
「あんたが村の子供にあげたフルーツタルトをこっそりつまみ食いしたらとってもおいしくて、それ以来オレはフルーツにハマりまくって、果物ばっかり食べて血を吸うことをすっかり忘れてたんだ!そしたら、ブラッドアーゴンじゃなくて、いつの間にかマポレーナに育っていたんだ!あんたのおかげだよ、ありがとな!」
「いや、別に礼を言われることでは・・・」
イザヤールは苦笑したが、ここでマポレーナは暗い顔になった。
「マポレーナになったのは嬉しかったんだけどさあ、オレ、元来体育会系な性格でさあ・・・。カワイイイメージキープには苦労してるよ」
「イメージキープねえ・・・」
必要あるのかなあとミミは思ったが、マポレーナは大真面目なようだ。
「そうさ!で、頼みってのは他でもない、オレはマポレーナは可愛くファンシーであるべきだって常々思ってんだけど、オレたちマポレーナのお宝にちょっと不満があるんだ!」
「『いのりのゆびわ』と『せいじゃのはい』が?なんで?」
「いのりのゆびわはまあいいんだよ、如何にもファンシーでお宝っぽいから。でも、『せいじゃのはい』はなあ・・・」
「どうして?レアだし邪悪を清めるアイテムだし、いいんじゃないの?・・・あっ、もしかして、魔物としてそれがイヤだとか?」
「そーじゃねーんだ。せいじゃのはいって、つまり聖人の灰だろ?それじゃあオレたちマポレーナが、聖人をしばいて燃やして灰にしちゃって持ってるみたいじゃん!それ超怖すぎるよ!全然可愛くねーよ!」
では実際のところマポレーナたちがどうしてせいじゃのはいを持っているのかは不明だが、ミミとイザヤールはそこの追及はやめておいた。
「もしかして、だからなんか可愛いお宝に変えたいっていう頼みなの?」
ミミが聞いてみると、マポレーナは大きく頷いた。
「さっすが、話が早いぜ!その通り!・・・実はさ、聞いたところによると、別の世界のオレたちマポレーナのレアお宝は、『にじいろのぬのきれ』らしいんだよ!ファンシーで夢があって如何にもカワイイよな!だからオレもその路線で行こうと思って!なあなあ、にじいろのぬのきれと、オレのせいじゃのはいを交換してくんないか?頼むよ元守護天使さんたち!特にあんたは(とイザヤールの方を向いて)オレをマポレーナにしちゃった責任もあるんだからさ〜」
「どんな責任だ」
イザヤールは呆れ顔だったが、自分の守護天使活動が一匹の魔物を吸血モンスターではなくしたことについてはまんざら嬉しくなくもなさそうだった。ミミも、せいじゃのはいとにじいろのぬのきれを交換することに何の異存も無かった。ミミはクエスト「イメージキープも一苦労」を引き受けた!
とりあえず、マポレーナ鑑賞会に来ている人々をセントシュタイン城下町に送らなくてはならなかったので、ミミとイザヤールは、マポレーナにまた後で来ることを約束して引き上げた。
セントシュタインに戻ると、手持ちのにじいろのぬのきれはリッカに全て提供して在庫が無かったので、さっそくカマエルで錬金をすることにした。
「・・・と、思ったら、『あまつゆのいと』も切らしていたの・・・。材料の『まだらくもいと』も一つ足りないし・・・」
にじいろのぬのきれの材料のあまつゆのいとと、更にその材料をちょっと切らしていたのだ。
「この頃、あまつゆのいとの注文も多かったものな、仕方ないさ」
季節柄、「水のはごろも」が大人気で、機織り職人とあまつゆのいとが引っ張りだこなのである。特別な織り機でないと作れないらしいので、残念ながら水のはごろもは今のところカマエルで作ることはできないのだった。
まだらくもいとは、ウォルロに採取に行くことにした。ウォルロ村までルーラで移動し、川辺を歩いて採取地まで向かうと、こちらの流れの岸辺には、マポレーナではなく蛍がふわふわとたくさん光っていた。
「マポレーナ鑑賞もいいけど、やっぱり蛍もすてき・・・」
ミミはうっとりとあちこちで光る蛍にみとれた。
「まるで、星がこの岸辺に降りてきたかのようだな」
イザヤールが呟いて星空を見上げると、夜空に光る星々は、何やらいっせいに瞬きだした。
「・・・どうもあいつらに、『顔に似合わないセリフを言って〜』と言われた気がする・・・」閉口顔になるイザヤール。
「そんなあ、みんなひどいの〜」
ミミがちょっと唇を尖らせて星空を見上げると、星々は笑っているように瞬いた。その怒っても全然怖くない顔が可愛いので、イザヤールはそんなミミの顔を嬉しそうに眺めた。
見つめられて照れて、ミミは頬を染めて慌てて言った。
「イザヤール様、蛍や星の方をちゃんと見て・・・」
するとイザヤールは、ミミの濃い紫の瞳を覗き込んで囁いた。
「星なら、おまえの瞳を見つめれば、一番綺麗なのを見られる」
途端に、星々がまたいっせいに瞬きだした。
「・・・あいつら・・・。『キッザ〜』とか、『歯が浮く〜』とか、挙句の果て爆笑しかしてない奴まで居るぞ・・・」
「イザヤール様、みんなの言ってることわかるの?!・・・でも、私も、今夜はいつもよりわかるかも・・・」
「そういえば、今宵は人間たちの間では、星に願いをかける日だったな」
それから二人は少しの間、しんみりと星と蛍の競演を眺め、子供のように手をつなぎながらゆっくりと川辺を歩いた。
「待っているマポレーナ君には悪いけれど・・・もう少し、こうしていたいな・・・」
「彼もそこまで野暮なことは言わないだろう」
まだらくもいとの採取を終えた後も、すぐにルーラで帰るのは名残惜しくて、川が途切れるところまで歩いて星と蛍の光を存分に浴びてから、二人はセントシュタインに戻った。
リッカの宿屋に戻る頃にはすっかり仕事モードに切り換えて、ミミはカマエルの所に行って、まずは取ってきたまだらくもいとと「きよめの水」を錬金してあまつゆのいとを作り、そのあまつゆのいとに「よごれたほうたい」と「ひかりの石」を合わせて、にじいろのぬのきれを錬金した。
もう夜もだいぶ更けてはいたが、早い方がいいだろうと、二人はさっそく依頼者のマポレーナのところへ届けに行くことにした。西ベクセリアの小島なら、天の箱舟で行くのが一番早い。アギロホイッスルを吹いて乗り込むと、サンディが箱舟中を星モチーフやキラキラした飾りや短冊だらけにしているところだった。
「やっほ〜、ミミ、イザヤールさん☆マポレーナ鑑賞会のツアーコンダクター終わったー?アタシも箱舟デコり作業が終わってたら一緒に行けたのに〜」
サンディはそう言いながら、また新たに短冊を下げた(後ほど他の車両も見たところつり革にも短冊が下がっていた)。短冊にはそれぞれ、「スイーツ食べ放題のダイエット方法が見つかりますように」「超キュートな夏ワンピがセールになりますように」「テンチョーが給料上げてくれますように」等々と書かれていた。
「女神の妹とは思えない願い事だな」イザヤールが呆れて呟く。
「ヤだイザヤールさんっ、オトメの願い事勝手に見るなんてサイテーなんですケド!」
「見られて困るような願い事を短冊に書くなっ」
「サンディ、お給料の件は直接アギロさんに言った方がいいんじゃ・・・」
そんなやりとりをしている間にもう目的地に着いた。マポレーナはそわそわと待っていて、ミミたちが空から降るように現れた時は驚いたせいで「たたかいのうた」を歌ったりするときの「あの顔」になったが、すぐに「イメージイメージ」と呟いてカワイイスマイル顔に戻した。
「お〜おかえりー!なあなあ、にじいろのぬのきれは持ってきてくれたか?」
「はい、お待たせ」
ミミはマポレーナににじいろのぬのきれを渡した。
「おー!やっぱにじいろのぬのきれってキレイだよな〜ファンシーだよな〜!ありがとな、ほい、約束どおりせいじゃのはいと交換な!」
ミミは「せいじゃのはい」をもらった!
そこへ、他のマポレーナたちもふよふよと集まってきた。
「何やってるモン?」
「あっ、にじいろのぬのきれだ〜、キレイだね〜」
「いいな〜」
「ボクもレアお宝そっちにしたいな〜」
こうしてにじいろのぬのきれを求めてマポレーナの行列ができてしまった!もちろんこれでは材料が足りないので、ミミは後日用意することを約束して、それからしばらくボーンスパイダやデスタランチュラとの戦いを余儀なくされたのだった。
しかし、結局この世界のマポレーナたちのレアお宝が正式に「にじいろのぬのきれ」になることはなかった。宝の地図の洞窟などにいるマポレーナは、「別にせいじゃのはいでよくない?」という感じだったので、西ベクセリアの小島内での一過性のブームで終わったという。
そして、依頼者であったマポレーナも、「やっぱりカワイイぶるの疲れた!オレはありのままに生きる!」と、ふわふわ移動ではなく特訓の高速移動やら腕立て伏せやらを始めたので、マポレーナ鑑賞会でしばしば高速移動する情緒の無い光が見られたりするのだった。〈了〉
マポレーナは…うーん、なんだろ?
腕立て伏せを始める体育会系マポレーナ…
でもあのオマケみたいな手でどうやって腕立て伏せするんだろ?というか腕、ないのでは?
ちなみにDQ10のマポレーナのレアドロップは
『マポレーナのらくがき』
(道具として使うとマポレーナステッキのレシピを覚えます。らくがきなのにw
それにしてもサンディの願い事が人間クサイw
リリン「マポレーナってふわふわして可愛いけど立派な大人なのよね」
ククール「しかしマポレーナにした責任って
ミミちゃんのイザヤールさんも大変だな」
リリ「マポレーナにも色々いるのね。私は常に自然体だから楽だけど」
クク「弱いくせに強がって何が自然体だよ…」
リリ「強がってなんか…」
クク「リリンは俺に守られていればいいの!すぐ無茶するんだから…な?」
リリ「///そ…そういえばマポレーナ鑑賞会で、私達が護衛するのっていつだっけ?」
クク「明後日だろ…って話を反らすな」
イザやん「リリンって弱いっていうよりこわいって言った方が正しい気がするんだけどなぁ
いらっしゃいませこんばんは☆マポレーナの名前の由来、確かによくわかりませんよね。なんとなくラテンっぽい響きですけど。
マポレーナの腕・・・もとい指立て伏せと書くべきだったかもしれませんwコウモリみたいに羽が実は手や腕とかもイヤですが。
ラクガキがレシピなんて凄いですね10マポレーナ!それともそれでわかるアストルティアの皆様が凄いのか。
サンディの願い事ってだいたいこんな感じではないかと勝手なイメージですwいや自力で頑張れって言われそうな感じの。
強がる美少女という最強クラス萌え属性なそちらの女主さん、そりゃそんな姿を身近で見せられたら男たる者守りたくもなります・・・と思ったら、師匠!そんなことを言っちゃったら、本当に怖い目に・・・いえ何でもないですw