セントシュタイン三丁目

DQ9の二次創作(主にイザ女主小説)の、全くの個人的趣味なブログです。攻略の役には立ちません。悪しからずご了承ください。

火力がポイント

2018年11月24日 23時58分44秒 | クエスト184以降
今週も土曜日のしかもギリギリ更新になっちゃったで〜すの追加クエストもどき。内容はゆるいかつ正統派?なクエストっぽい活動ですが、危険物城下町に持ち込んで大丈夫なんだろうか・・・。まあドラクエ世界は城の中にとんでもない危険物があることが多いからいいか(いいのか?)しゃくねつのほのおやれんごくかえんその他の設定や、鍋の材料の組み合わせは捏造ですあしからず。試さないでください(笑)

 買い出しの帰りに城下町を歩いていたミミとリッカは、最近引っ越してきたとある家の横を通りかかった。すると、派手に何かが割れる音、激しい金属音、そして驚く間もなく爆発音まで聞こえてきた。
 何事かと二人は慌てて玄関の扉をノックすると、幸いなことにすぐに誰かが出てきた。だが、小爆発のお約束で、顔が真っ黒になって髪の毛がちりちりになっていた。そんな状態では顔もわからないが、背丈から察するにまだ子供のようだ。
「大丈夫?!」
 ミミは慌ててベホイミをかけ、リッカはハンカチを出して子供の顔を拭いてやると、十歳くらいの男の子だとわかった。男の子は無事は無事なようだったが、半ベソをかいていた。
「どうしよう、台所めちゃめちゃになっちゃった〜」
 ミミとリッカが家の中を覗いてみると、台所どころか続き部屋の食堂兼居間までたいへんなことになっていて、割れた皿とひっくり返った鍋の中から、刺激臭のする何かが散乱していた。どうやら何かを料理していて失敗したということらしいが、これは酷い。
 ミミとリッカは顔を見合わせてから、男の子に言った。
「お掃除、手伝おうか?」
「ほんと?!ありがとう!」
 元守護天使と宿王のコンビの前には、さすがの大混乱の台所も瞬く間にきちんと片付いた。綺麗になった台所のテーブルに一同落ち着いて、改めてミミは尋ねた。
「もしかして・・・お料理してたの?」
「うん!」男の子は頷いた。「今日、父ちゃんと母ちゃん留守なんだ。それで、帰ってくるまでに大好物の鍋を作っておこうって思って頑張ったんだけど、うまくいかなくて・・・」
「それは偉いけど、一人でごはん作るのたいへんなんじゃない?」
 リッカが言うと、男の子はしょんぼりした。
「鍋料理だから入れて煮るだけで簡単だと思ってたんだけど・・・。やっぱり、火の扱いがボクにはまだムリみたい。特別な火で作る鍋だから」
「特別な火?」
「うん。れんごくまちょうの吐くれんごくかえんと、エビルフレイムの吐くしゃくねつのほのおと、じごくぐるまの車輪の炎を合わせて火種にしてるんだって。だからすご〜い火力であっという間にお鍋グツグツだって」
 そんな炎を使ってよくこれくらいで済んだなあ・・・とミミは驚いたが、男の子はまたしょんぼりした。
「お鍋がひっくり返ってその火も消えちゃった。火種無くしちゃったって父ちゃんと母ちゃんが知ったら、怒られちゃうよー」
 リッカは気の毒そうに男の子を見てから、ミミに言った。
「ねえミミ、なんとかしてあげない?悪気は無かったんだし」
 ミミは頷いた。それから、男の子に向き直った。
「うん。・・・でも、もう一人で危ない火を使っちゃだめだよ?それが約束できるなら、火種を持ってきてあげる」
 ミミの言葉に、男の子は目を輝かせた。
「ほんとに?!約束するよ、もう勝手に危ない火は使ったりしないよ!」
 ミミとリッカは顔を見合わせてにっこり笑い、ミミはクエスト「火力がポイント」を引き受けた!

 ミミとリッカはリッカの宿屋に戻ると、ロクサーヌにカウンターの番を頼んで、イザヤールとルイーダを連れてさっそく高レベルな火山タイプの洞窟に向かった。対象の魔物が全部そこに揃っているのだ。
「それにしても、そんな凄い火を城下町に持ち込んでいたなんて、これから先大丈夫なのかしら?」ルイーダが心配そうに首を傾げた。
「我々がしゃくねつのほのおやれんごくかえんをくらっても、大ダメージなだけで特に後遺症や追加攻撃は無いから、大丈夫は大丈夫なんじゃないか。高温だというだけで」イザヤールが理詰めなことを言う。
「何にしても、これからは子供が触れないように管理をちゃんとしてもらわなきゃだよね」リッカが重々しく呟いた。「火気の管理、とっても大事なんだから」
「火種にして様子を見て、危険そうなら町に持ち込むのをやめましょう」ミミは思慮深さを発揮して言った。
 しゃくねつのほのおやれんごくかえんでは、普通に火口や焚き付けに移してはあっという間に消失するのは目に見えているので、防具に燃え付いたりした火を改めて火口に移して火種入れにしまうことに話はまとまった。そして、じごくぐるまの車輪の炎は、「ぬすむ」コマンドを利用して、ひのきのぼうに移して手に入れることに手筈は決まった。
 さっそく、まずはエビルフレイムに遭遇した。とりあえずは、全員で防御をしゃくねつのほのお待ちをする。だが、こんなときに限って、「やけつくいき」や通常攻撃ばかりしてくる。幸い誰もマヒはしなかったが、エビルフレイムは二回攻撃をする魔物で、誰か一人でも動けなくなると一気に戦闘が不利になるので、緊張が走る。
 誰もマヒしないことに業を煮やしたのか、エビルフレイムはようやくしゃくねつのほのおを吐いてきた!しかもよりによって二回ともである。防御しているので高ダメージは免れたが、通常なら瀕死になってもおかしくない。盾で受けて散った炎のかけらを火口に移したら、それでもあっという間に燃え尽きてしまった。やはり普通の火口ではだめらしい。
 そこでミミは、次のしゃくねつのほのおを待って、今度は火口に「あまつゆのいと」を使ってみた。しかし今度は、火の方が消えてしまった。案外調整は難しいようだ。
「『ガマのあぶら』に芯を入れて、ランプのように使って火を保ってみたらどうだ?」イザヤールが提案した。
 なるほどとまたわざとしゃくねつのほのおを受けて、防具に燃え付いた火をそれに移してやり、それから火種入れに入れたらうまいこと確保できた。その作業の間ほぼ無視されていたエビルフレイムは怒り狂ったが、リッカのマヒャデドスとイザヤールのギガブレイクで撃退された。
 れんごくまちょうのれんごくかえんでも同じ方法を取って順調に火種を手に入れ、残すはじごくぐるまの乗る戦車の車輪の炎を残すだけとなった。
 それから間もなくじごくぐるまに遭遇し、全員ひのきのぼうを持ってさっそく「ぬすむ」コマンドの動きで車輪の炎をひのきのぼうに移そうとしたが、なかなかうまく点いてくれない。じごくぐるまは例の「パラリラパラリラ〜」攻撃などをしてきたが、ミミたちが反撃せずに車輪を棒でつついているばかりなので、不気味になったのか、遂に尋ねてきた。
「おまえら、何をやってんだよ?」
 そこでミミは、車輪の炎が欲しいことを話した。
「はあ?何言ってんだよ!人間ごときに、はいそーですかって、オレのイケてる愛車の炎をやれるかよ!」
 じごくぐるまの返事は、とりつくしまも無かった。だが、ミミは諦めずに、戦車の方に話しかけた。その際、モンスター図鑑に載っていて知っている、戦車の名前を呼んだ。
「ねえマイティファイヤーさん、お願いだから、炎を分けてくれる?」
 じごくぐるまの戦車は、名前を呼ばれたことが嬉しくなったのか、でれでれし出した。そして、気前よく言った。
「おう、いいぜ!ちょっとじっとしててやるから、炎を移して持っていきな!」
「ありがとう、マイティファイヤーさん!」
「あら、ありがと、マイティファイヤーさん☆」
 キラキラと輝くような笑顔のリッカと、色っぽい流し目のルイーダのお礼にも戦車はますますでれでれとし、乗ってるじごくぐるまがいくら促しても攻撃をしなかった。ミミたちが去った後、じごくぐるまは戦車と大喧嘩になったという。しかし、戦車の「じゃあおまえがオレなら、カワイコちゃんたちの頼みきっぱり断れんのかよ!そこまで硬派か!」という言葉に反論できず、仲直りしたそうだ。
 こうして無事三種類の凄い火種を手に入れたミミたちは、火種入れにしまった火の様子を見た。燃える物に移すと、激しく高熱で燃えるが、火種としてしまっておく分には問題無さそうだ。そこで、約束通り男の子の家に届けることにして、一同はセントシュタインに戻った。

 セントシュタインに戻って男の子の家に行ってみると、彼の両親はもう帰っていて、男の子が火種を無くしたことではなく、留守中に勝手に危ない火を扱ったことを叱っていた。ミミとリッカは、その点に関してはもう充分反省しているからととりなして、取ってきた三種類の火種を見せた。
「おお、まさか、我々の他にこの火種を取って来られる強者が居るとは!さすが天下に名高いセントシュタインの都ですな!」
 男の子の父親は感心して、火種を受け取った。
「それじゃあ、息子がお世話になったお礼に、皆さんに我が家の自慢の鍋料理をご馳走しましょうね」
 男の子の母親も言い、さっそく仕度を始めた。材料は、トマトにとうがらし、きつけそうにめざめの花、真っ赤なベリー類に赤みのかった岩塩、そしてレッドドラゴンのもも肉の燻製と、いささか不安になる材料ばかりだったが、火力のおかげか鍋を火にかけたとたんにあっという間に完成してしまい、断る間もなかった。
 超ばんのうぐすりのお世話になるかもしれない覚悟を決めてご馳走になったミミたちだったが、驚いたことに辛いがとてもおいしい鍋料理だった。高温で一気に加熱することがポイントらしい。火の方は、調理に使った後はちゃんと消して、火種の方はメタル素材でできた、防火対応のしっかりした特製火種入れにしまっていたので、ミミとリッカは安心した。
 おいしかったと伝えると、男の子の両親は、溜息をついた。そして、父親は言った。
「おいしかったと言って頂けて光栄ですが、やっぱり、エルマニオン平原での極寒の中で食べる味にはかないませんなあ・・・やはり、あの寒さにも意味があったのか・・・」
 それから間もなく、一家は火種と一緒に、エルマニオン地方に引っ越していってしまった。男の子はついでに、エルシオン学院に入学したそうだ。
 鍋奉行を自負する魔物ふゆしょうぐんは、この凄い鍋に魅せられて次々試食したが、当然というか次々溶けかけるという騒ぎを起こしてしまい、そのせいか今年は、エルマニオンから各地へのふゆしょうぐんの来訪がいくらか遅れたという。〈了〉
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3 コメント

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また書き落とし失礼しました〜! (津久井大海)
2018-11-28 18:22:11
神々麗夜様

すみません、マイティファイヤーのことを忘れこけておりました、うるさくて申し訳ないですが引き続きお返事失礼致しますー!歳とると物忘れ酷くなってイヤですねえ・・・。

戦車のマイティファイヤーという名前、そう名付けたとも戦車自ら名乗ったともどちらとも取れそうなんですが、う〜ん、どっちなんでしょうねえ・・・。
なんとなくですけど、じごくぐるまが幾つか候補上げて、戦車が気に入ったのを選んだというパターンのような気もします。
じごくぐるま「じゃあプックルはどうだ!」
戦車「>いいえ」
じごくぐるま「じゃあゲレゲレは?」
戦車「>いいえ」
じごくぐるま「じゃあマイティファイヤー!」
戦車「>はい」
返信する
メラのお取り扱いにも充分ご注意ください☆ (津久井大海)
2018-11-28 18:12:08
神々麗夜様

いらっしゃいませこんばんは☆寒い季節、くれぐれも火の取り扱いと体調管理にご注意くださいですよね☆
ちびっこは大人抜きで火気使用しちゃダメ、絶対。使うとメラゴーストの祟りが・・・すみません、ウソつきました。
サンディ「ふゆしょうぐんてさ〜、もしかしてフツーのグツグツ鍋食べても溶けんじゃね?」
ふゆしょうぐん「・・・」
おお、レッドベリーにお気付き頂きありがとうございます!あれ、確か辛味設定だったような気がしたんですが、ベリーなのに何故だろう・・・。だから装備品専用なのか?
はい、仕方ないですよね、可愛い女子が一人ならともかく、三人も居るし。可愛さは正義!

パーティみなさんでほのぼの?鍋パーティ♪おいしそうだし楽しそうでいいですね♪
女主さんは悪魔なんかじゃない、妹の栄養バランス考えてあげる優しい天使ですよ!特にこの時期のにんじん、甘くておいしいですし!
やっぱり展開な師匠、お気の毒に。忘れられていたっぽい気配!(涙)
返信する
火の用心! (神々麗夜)
2018-11-27 23:43:50
火種はお子様の手が届かない所に置きましょう
しかし、ふゆしょうぐんの活動を遅らせるとはなんと恐ろしい鍋なんだ!
コワイヨー
ベリーのような果物…間違いなくレッドベリーだ!ちなみにDQ10の調理レシピにレッドベリーを使う料理は無いです。11同様、装備品用です。食べるな危険?でも11だと女の子と犬が食べているしなぁ…
可愛い女の子に弱いマイティファイヤーww
うん、そりゃあね、仕方ないねw
マイティファイヤーって乗っているのが名付けたのか、それとも戦車自体が自分で名乗っているのか…

グツグツ
シェルル「やっぱ寒い日は鍋だよね」
リリン「レレン、装ってあげる」
レレン「お姉ちゃんありがとう」
ククール 「俺のも頼むよ。」
リリ「もう仕方ないわね…はい、どうぞ
クク「サンキュー」
レレ「わーい!…ひぃっ!」
シェ「どうしたの?」
レレ「わたしの嫌いなにんじんが入ってる」
リリ「『装ってあげる』とは言ったけど『人参を入れない』とは言ってないわよ」
レレ「お姉ちゃんの悪魔」
リリ「褒め言葉として受け取っておくわ
数十分後…
イザやん「私にも鍋ちょうだい」
クク「んな事言われても…なぁ」
リリ「もう〆の雑炊も食べ終わったわよ」
イザやん「OTZ」
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