セントシュタイン三丁目

DQ9の二次創作(主にイザ女主小説)の、全くの個人的趣味なブログです。攻略の役には立ちません。悪しからずご了承ください。

一流冒険者観察記録

2016年09月03日 09時53分37秒 | クエスト184以降
もう大概夏休みもとっくに終わってるでしょうが、夏休みの宿題ネタ追加クエストもどき。エルシオン学院に夏休みがあるかは不明ですが、そこは不問で(笑)

 そろそろ夏期休暇シーズンも終わりかけのある朝。食堂での朝食を終えて、錬金の材料集めにでも行こうかと相談していたミミとイザヤールのもとに、リッカがやって来て言った。
「ミミ、イザヤールさん、二人にお客様よ。エルシオン学院の生徒さんで、なんだかすごく慌てているみたい」
 リッカは友人知人ならちゃんと誰かも言ってくれるので、リッカの知らない生徒らしい。現在夏期休暇中であるエルシオン学院の生徒が何の用なんだろうと、二人は首を傾げながらロビーに降りた。すると、確かにエルシオン学院の制服を着た女の子が、そわそわと待っていた。学食や合同授業の教室で見かけたことのある顔なので、名前は知らないが学院の生徒には間違いない。
 女の子は、ミミとイザヤールが並んで階段を下りてくると、一瞬きらっと目を輝かせた。だが、すぐにそのいたずらっぽい表情は引っ込んで安堵の顔になり、駆け寄るようにして二人のところにやって来た。
「ああ、よかった!ミミにイザヤール先生、二人とも居てくれて!」
 イザヤールは、もはやエルシオンの生徒たちの間では臨時講師という認識になっているらしい。対してミミは、いつまで経っても「生徒仲間」のミミなのだった。それはもちろん問題ないのだが、二人で一緒に学院に行くことがあると、何も悪いことはしていないのだが、教師と生徒がつきあっているような、師弟時代に禁を犯したような背徳感をほんの少し感じてしまうのだった。ちなみに、「ソレがプレイみたいでいいんデショ?」と茶化したサンディは、イザヤールの凍てつくようなひと睨みに遭った・・・。
「私たちに用って?」
 それはともかく、ミミが尋ねると、その女子生徒は深刻な顔をして話し始めた。どんな事件なのだろうと、自然とミミとイザヤールも真剣な顔になる。
「あのね、実は・・・」
「実は・・・?」
 ミミは、濃い紫の瞳を見開いて、固唾を飲んで次の言葉を待った。
「・・・夏休みの宿題が、終わらないの〜!」
 それを聞いた二人は、思わずマンガのようにコケそうになった。気を取り直したミミは、苦笑しながら尋ねた。
「え・・・それじゃあ、ここに来てる場合じゃないと思うけれど・・・?急いでお家に帰って、宿題した方がいいんじゃない?」
「まさか、我々に手伝えと言うのではあるまいな?」
 イザヤールがどことなく教師風な気配を漂わせながら(師匠として見習い天使に指導をしていた時の名残だろう)眉を寄せて尋ねると、女子生徒は慌てて思いきり否定した。
「違いますよーイザヤール先生!自由課題があと一つだけ、終わってないんです!それで、一流冒険者の一日に密着して、その記録をつけさせてもらえば、日数をかけずにすごくいいレポートができるんじゃないかって思いついたんです。あたしたちにとってすごい冒険者と言えば、やっぱり学院の事件を解決した名探偵ミミと、イザヤール先生でしょう?だからお願いします〜、今日一日でいいですから、お二人の冒険のお供をさせてください!決してお邪魔はしませんから〜!」
「ふむ、そういうことか・・・」イザヤールは腕組みしながら呟いた。「どうする、ミミ?」
「まあ、私は構わないけれど・・・」答えたミミは、少し心配そうに女子生徒に向き直って付け加えた。「でも、私たちの今日の予定は錬金の素材集めで、地味な作業の繰り返しだけど意外ときついかもよ?いいレポートになるかしら・・・」
「それは大丈夫です!」女子生徒ははりきって答えた。「ありのまま記録をすればいいんですし、あたしはこう見えて戦闘実技の成績はいいですし、いざとなったら逃げ足も早いですから、危ないことはないです!」
 この答えにはミミも思わず笑ってしまい、今日一日行動を共にするのを了承することにした。ミミはクエスト「一流冒険者観察記録」を引き受けた!

 今日は「きよめの水」と「よるのとばり」と「ミスリル鉱石」を集めようと思っていたミミだが、さすがに天の箱舟を使うと学院内での噂話がたいへんなことになりそうだったので、それはやめておくことにした。そうすると、移動に時間がかかるので、これらを全部効率よく集めるのは難しそうだ。
 とりあえず、ルーラで船着き場に飛べば行きやすいベレンの岸辺できよめの水を採取することにして、三人はあっという間にセントシュタインからずっと離れた大陸の船着き場に移動した。
 ベレンの岸辺にある大滝に、女子生徒は感激した。
「やだー、この景色と水のキレイさ、スッゴいヤバくない?ミミ、もしかしてここ、イザヤール先生とのデートコース?」
「えっと・・・あの、その・・・」
 しどろもどろしているミミをかばうように、イザヤールが淡々とした声で割り込んだ。
「さあさあ、余分なお喋りをしているヒマは無い、さっさときよめの水を集めて、次の地に向かうぞ」
 そう言ってさっさと採取を始めるイザヤールに、ミミはうっとりと感謝の眼差しを投げる。そんな様子を見て、女子生徒はちょっぴりニヤニヤしながら何やら記録した。
「次はやっぱりカルバドの集落に行った方が良さそうだけど、カズチィチィ山までの移動に、だいぶ時間がかかっちゃうかな・・・」
 カルバドの平原のはずれにあるカズチィチィ山にもきよめの水はあり、山を越えればミスリル鉱石もあるのだが、今日は天の箱舟は使えないので、徒歩で行けばかなり迂回せねばならず時間がかかってしまう。それでミミが考え込んでいると、イザヤールが提案した。
「ナムジンに、馬を借りてはどうだ?」
「あ、それいいな♪さすがイザヤール様♪」
 ハートマークが付きそうな声でミミが言うと、女子生徒は更にノートにこう記録した。『ミミはイザヤール先生にやはり超ラブラブ・・・』
「何を書いている?」
 イヤな予感がしてイザヤールが尋ねる。
「何って、観察記録ですってば〜」
 女子生徒はそう答えて慌ててノートをパタンと閉じたのだった。

 カルバドの集落にあっという間にルーラで飛んで、一同はさっそく若き族長ナムジンのパオを訪れた。
「ほう、宿題の為にミミたちについてきているのか。私も、学校というところに行ってみたかったな。同じ年頃の仲間が集まって勉学や修行に励むとは、なんとも楽しそうだ」
 ナムジンは言って、特に速く走る馬を貸してくれた。女子生徒は馬の扱いに慣れていないので、ミミと一緒に一頭の馬に乗ることにした。
「え〜、馬、めちゃめちゃ高いよ〜、怖い〜」
 と、女子生徒はおそるおそる馬に乗ったが、ミミが馬をカルバド平原を風のように走らせると、その心地よさにはしゃいだ。すっかり安心すると、彼女はまたニヤニヤしながらミミに囁いた。
「ねえミミ、ナムジンて人もなかなかカッコいいじゃない。ねえどういう関係?」
「え?友達だけど」
「なんだあ〜、ミミをめぐる三角関係じゃないんだ?つまんないの〜」
「あのねえ・・・」
 そんな話をしているうちにカズチィチィ山の湖に着いたが、いつものようにトロルの群れが棍棒を持ってうろうろし、ミミたちを見るやいなやその棍棒を振り回して襲いかかってきた!
「しっかりつかまって!」
 ミミは一声叫ぶと、馬を駆けさせたまま器用に弓を取り出し、トロルの棍棒を射落とした!一方イザヤールの方は馬を駆けさせたまま槍を取り出して構え、そのままトロルたちに突進して、棍棒を突き落とした!トロルたちは慌てて逃げていった。
「二人とも、すご〜い・・・」
「ううん、馬がすごいの。魔物を見ても、怖がらずに駆けてくれるから」
「でもやっぱりすごいわよ〜。メモメモ・・・あら、ブレて書けない・・・」
「降りてからにした方がいいんじゃないかなあ・・・」
 きよめの水を集めた後は、山の向こう側、カズチャ村の近くにあるミスリル鉱石を集めに行く予定だったが、あの辺りは瘴気が酷いので、少女や馬を連れていくのには心配だった。それで今日はやめておくことにして、三人はカルバドの集落に引き返した。
 ナムジンに馬を返し、昼食をご馳走になっていると、慌てた村人がパオに駆け込んできた。
「ナムジン様、たいへんだあ、おらの羊が、この前拾ったヘンテコな地図の洞窟に入っちまったあ!探してけろ!」
 それはたいへんだとナムジンは急いで仕度し、ミミたちも馬を借りたお礼代わりに付き合うことにした。
「ふーん、族長の仕事ってたいへんなのねー」女子生徒がメモしながら呟く。
「いや、めったにあることではないのだが・・・」と苦笑するナムジン。
 それはともかく、羊が迷い込んだというのは、案の定宝の地図の洞窟だった。水タイプの洞窟で、しかも地下一階からイエローサタンやうみうしひめがうじゃうじゃ出るクラスの地図で、羊はなんでこんなところに入りたがったのか理解に苦しむほどだった。ミミたちはステルスを使ってこっそり歩き回ったが、うみうしひめとマジックアーマーの群れに見つかってしまった!
 うみうしひめは、さっそく突進してきた!イザヤールはとっさに三人の前に飛び出してかばうように立ち、ものすごい衝撃を盾で受け止めて踏ん張った!その間にミミとナムジンは剣を構えて、マジックアーマーと戦った。
「うわぁ、すごい迫力、メモメモ、と」
「それは後にしてくれる?!」
 戦闘は無事に終わり、ミミは一同に怪我が無いか確認してから、イザヤールに少しすねた口調で囁いた。
「無茶しちゃイヤ、って言ってるのに・・・」
「さすがに三人を抱えて避けるのは難しかったからな、とっさに体が動いた。それにこれくらい大したことは無いとおまえも知っているだろう」
「でも、イザヤール様が怪我するのイヤだもの・・・」
「私だって、おまえが怪我をするのは嫌だ」
 そんなやりとりを眺めてノートにメモしながら、女子生徒は呟いた。
「一流冒険者は戦闘中に痴話喧嘩が発生することもある・・・っと」
 それを聞いたナムジンは思わず吹き出し、ミミは赤くなり、イザヤールは気まずそうな渋面になった。
 それから間もなく、迷った羊は地底湖の岸の塩分をなめているところを発見され、無事保護された。その近くにあった宝箱から、ミスリル鉱石を見つけることもできた。目的は果たしたので、今日はダンジョンを最後まで探険することはせず、一同はリレミトで地上に出て、カルバドの集落に帰った。
 羊の持ち主は羊が無事に戻ったことに喜び、ミミたちに先ほどの地図をお礼代わりにくれた。ミミたちはナムジンに別れを告げて、カルバドの集落を後にした。

 普段なら、よるのとばりを集めに回る場合は、箱舟でオンゴリの崖かグビアナの窪地に行くところだが、今日は箱舟を使わないと決めている。拾いに行くのは断念して、エラフィタに行って「かまっち」からひたすら盗賊スキル「ぬすむ」で入手することにした。
 アイテムを魔物から集めようとした冒険者ならよくご存知だろうが、特技「ぬすむ」を使ってアイテムを獲得するのは、根気の要るひたすら地道な作業である。観察している女子生徒も退屈し始めていたが、ミミとイザヤールの交わしている会話に気付いて、急いで耳をすませた。
「イザヤール様、日没までにどっちがたくさんよるのとばりを獲得できるか競争しませんか」
「ああ、いいぞ。負けた方は、アレをするのでどうだ」
「え・・・アレ、ですか・・・?わ、わかりました・・・」
 アレって何?!スッゴい気になる!とわくわくする女子生徒をよそに、日没までぬすむバトルは続けられ、イザヤールの勝利となった。
「ねえねえミミ、アレって何?」
「聞いてたの?ないしょ」
「意地悪〜!」
 何はともあれこうして冒険者に密着観察は終わり、女子生徒はその後リッカの宿屋の図書室で無事にレポートを完成させたのだった。だが、「アレ」の正体は最後まで不明だった。
 その後新学期にギリギリ間に合ったレポートは教師たちに褒められたが、生徒たちの間ではむしろ別記していた「ラブラブレポート」の方に関心が集まり、しばらくミミとイザヤールに気まずい思いをさせたという。〈了〉
コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 今週のしばらくお待ちくださ... | トップ | どくけしそうプリーズ »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
夏休みの友という名の敵 (神々麗夜)
2016-09-06 14:57:13
いますよね〜夏休みの宿題終わらなくて終盤にヘルプー!って子。場合によっては最終日にヘルプって子もいますよね…
それにしてもアレって何ーっ!?
気になるー。にやにやw
エルシオン学院に夏休み…どうなんでしょうね。でも全寮制の学校だからこそ家族に会うための時間は作って欲しいです。個人的に

うちメンで学パロ 宿題が終わらない
多分高校生です
リリン 一年生
シェルル 二年生
ククール シェルルの副担
リリ「夏休み終盤の朝っぱらから騒がしいわね…で?何?」
シェ「ククール先生が出した大量の宿題全然やってないんだ!手伝って」
山積みのプリント
リリ「一年生に二年生の宿題が分かる訳ないでしょ!しかも日付けが5月とか6月ってあんたまさか…」
シェ「一学期の宿題溜めてました」
リリ「先生に聞きなさいよ。この部屋の隣に住んでるんですし」
シェ「一緒に宿題やりたかったんだよ」
リリ「こいつ何言ってんの?」
ピンポーン
クク「はい。リリンか」
リリ「先生助けて!シェルルが宿題押し付けてくるの!あと先生の事、デンジャラス鬼畜暴力バイオレンス気障教師って言ってます!」
クク「何!?」
シェ「一言も言ってませんって…ひぃ!?」
クク「シェルル…今日は俺の部屋で宿題だ!」
シェ「いやーっ!リリン助けてー!」
ズルズル…ガチャン!
リリ「じゃあね〜。これであたくしの平和は守られましたわ」
彼氏の平和はどうでも良いらしい…
リリ「まぁ後で差し入れでも持っていってあげよ」
夏休みの宿題はお早めに
返信する
ある意味夏の風物詩 (津久井大海)
2016-09-07 23:43:31
神々麗夜様

いらっしゃいませこんばんは☆おお!含蓄のあるタイトルでいらっしゃいますね☆宿題を友だと思うお子様なんてなかなか居ないと思われるのに、何故夏休みの宿題のドリル類はその手の名前が多いんでしょうね〜。なんたる皮肉。

「アレ」はこの二人のことですから、どうせ大したことないものだと思われます。「(しれっとした顔で)膝枕のことだが何か?」「聞くんじゃなかったー!」みたいな。

あらら、5月6月から宿題を溜めていらしたとは・・・ていうか先生ったら、それなら夏休みが最後の日を迎える前に補習してあげてくださいませ!お隣でいらっしゃるなら尚更!(笑)
しかも一年生に二年生の宿題を手伝わせようなんて無茶ブリもwでも後で差し入れしてあげようとは、さすが女主さん優しいですね☆
返信する

コメントを投稿