セントシュタイン三丁目

DQ9の二次創作(主にイザ女主小説)の、全くの個人的趣味なブログです。攻略の役には立ちません。悪しからずご了承ください。

火の鳥の羽、白金の蹄鉄、金の髪の毛

2014年08月30日 02時21分37秒 | クエスト184以降
この頃丑三つ時更新多くてすみませんの追加クエストもどき。ロシアだったか東欧だったかのおとぎ話がモチーフで、ファンシーなタイトルですが、内容はあまり幻想的でないというか・・・(笑)今回もなかなかたいへんそうなクエストですが、相変わらずのコンビネーションで乗り切っております当サイトイザ女主。そして、とある登場人物?が実は金髪というのは、意外ですがイラストを見る限りたぶん本当だと思われます。誰なのかは本文をご覧頂いてお確かめくださいませ~。

 黒騎士騒ぎ以来平和だったシュタイン湖に、ちょっとした騒ぎが起きた。火山タイプの宝の地図の洞窟だけに出現する筈の魔物、「れんごくまちょう」が、集団で水浴びしに訪れたのだ。熱気大好きの筈のこの魔物たちが何故よりによって水浴びという涼を取る行為に訪れたのか。さすがのれんごくまちょうも音を上げる猛暑だったのか、はたまた洞窟内の暑さが物足りなかったのか、真相は不明である。
 いずれにせよ単なる行楽だったらしく、幸い誰も危害を被ることなく、水浴びを終えた彼らは住処である火山系洞窟へと帰って行った。後には、美しい燃える炎のように輝く羽だけが僅かに残されただけだった。そんな訳でその時は我らが地上の守り人ミミとイザヤールの出番はなかったのだが、この出来事が後ほど思わぬ形で関わってくることになった。
 ある月夜のシュタイン湖で、ミミとイザヤールは湖面に輝く月と星を眺めていた。静かな夜で、恋人同士には申し分ない甘く美しい雰囲気である。だが、この二人のお約束なのか、その雰囲気をぶち壊しにする出来事が間もなく起こった。人けのなかった湖畔に、まだ少年と言っていい年頃のようなどこか幼さを顔に残した若者がやってきて、岸辺にちぎったパンを撒き始めたのである。
 こんな夜中に魚や鳥の餌付けかと、ミミとイザヤールがあっけにとられて眺めていると、若者は二人に「こんばんは」と挨拶してから、尋ねてきた。
「あの、つかぬことをお尋ねしますが、この辺りで、火の鳥を見かけませんでしたか?」
「火の鳥?」
 ミミとイザヤールは顔を見合わせ、そんなものは見かけていないと伝えた。
「今夜も居ないんだ・・・うわあ~、どうしよう~!」
 そう言うと若者は、パンを入れた袋を取り落とし、頭を抱えてしゃがみこんだ。
「どうして火の鳥を探しているんですか?」
 ミミが尋ねると、若者は懐から一本の大きな羽を取り出し、答えた。
「元はと言えば、これのせいなんです」
 見るとそれは、それこそ火のように輝く、「れんごくのはね」だった。れんごくまちょうが落としていったものだろう。
「それは火の鳥の羽じゃなくて、れんごくまちょうという魔物の羽ですよ」
 ミミが教えると、若者は驚いて目を見開いた。
「そーなんですかあ?!・・・いえ、火の鳥でもなんでもいいんですけど、この羽の持ち主の鳥を捕まえてこないと僕は、ご主人様にヒドイ目に遭わされてしまうんです~!」
 そう言って彼はうなだれた。
「どんな事情なんですか?」
 ミミの問いに若者がぽつりぽつりと答えだした。
「実は僕、夏期休暇をもらってしばらく旅をしていて、旅の途中でこの羽と、他にいくつかキレイな物を拾ったんです。それで休暇を終えて勤め先の屋敷に帰って、仲間たちに見せびらかして自慢していたら、そこにご主人様がやってきて、羽の持ち主の鳥をぜひ見たいと言い出したんです・・・!羽を持ってるなら羽の持ち主の鳥を捕まえてくることだってできるだろう、なんてムチャぶりを言ってきて・・・。シュタイン湖に火の鳥が出たらしいってウワサを聞いて、それでその鳥が来ないか待ち構えていたんです」
 それは難儀だと、二人は同情を込めて若者を見つめた。れんごくまちょうがパンで捕まえられるとも思えなかったからだ。その魔物は普段は宝の地図の洞窟に居ることを教えると、若者はがっくりとうなだれた。
「そんなあ・・・。僕、腕力も呪文もからっきしダメで・・・。どうしよう・・・」それから若者は、二人にすがるような視線を向けてきて、必死に言った。
「あの、もしかしてれんごくまちょうという魔物のことをご存知なら、捕まえてくることもできませんか?お願いします!」
 若者も彼の主人並のムチャぶり発言だとミミとイザヤールは思ったが、必死に頼み込む彼が気の毒になって、引き受けることにした。ミミとイザヤールはクエスト「火の鳥の羽、白金の蹄鉄、金の髪の毛」を引き受けた!

 二人はさっそく火山タイプの宝の地図の洞窟に向かった。
「デートのジャマされたのにクエスト引き受けてあげるなんて、アンタらホントにお人好しね~」
 ダンジョン探検ということでついてきたサンディが呟くと、ミミが身震いしながら答えた。
「だって、依頼人さん、れんごくまちょうを連れていかなかったら、どんな恐ろしい目に遭わされるかわからないって言うんだもの・・・」
「放っておいて、シュタイン湖の湖畔にパン屑を撒き散らされ続けられても困るしな」
 そう言ってイザヤールは苦笑する。
 程なくれんごくまちょうの棲息フロアに到着し、勝負を挑み、れんごくかえんを吐かれたり鋭いツメで攻撃を受けたりしながらも、こてんぱんに叩きのめして弱らせたところで、マヒャデドスで氷の塊の中に閉じ込めて、ダンジョンから運び出した!
 氷が溶けないようときどき呪文をかけながら、シュタイン湖に急いで戻って依頼人にれんごくまちょうを見せると、彼はおそるおそる眺めて首を傾げた。
「え~、何か羽のキレイさとイメージ違うような・・・。こんなにマッチョな鳥なんですか~?」
 ともかくも若者の主人の屋敷の庭まで運び込むことにした。運び終えてミミとイザヤールは隠れて見守っていると、件の鳥を捕まえてと聞いた若者の主人がいそいそと屋敷から出てきた。若者の主人は、でっぷりと良く言えば貫禄のある、如何にも裕福そうな男だった。
「ほう、これが火の鳥か~」
 彼もれんごくまちょうを火の鳥と思い込んでいるようだったが(確かに火の鳥の一種とも言えるが)、眺めて五秒で飽きたらしかった。
「想像していたよりだいぶゴツいな~。ご苦労、元の場所に返してきていいぞ」
 それからミミとイザヤールは氷漬けれんごくまちょうを元の洞窟に戻してやった。辺りの熱気で氷が溶けたれんごくまちょうは、すぐに息を吹き返して怒り狂ったが、そのときには二人はとっくに去っていた。
 依頼人の若者のところに帰ってくると、彼は涙を流さんばかりにして礼を述べた。
「ありがとうございます!これでご主人様にとってもヒドイ目に遭わされなくて済みます!」
 とってもヒドイ目ってどんなことなんだろう・・・とミミはちょっと気になったが、まあよかったと思った。若者はお礼に「すばやさのたね」をくれて、ミミとイザヤールはこれでシュタイン湖で安心して星を見られると帰ったのだった。

 しかしそれから数日後。先日の若者が、今度はわざわざルイーダの酒場にミミとイザヤールを訪ねてきた。
「よかった~、冒険者さんならここに居るかなと思ってたら、やはりいらっしゃったんですね~。実はまた、厄介なことになってしまって・・・」
「どうしたんですか?」
「実は・・・羽の他に、キレイな蹄鉄も拾っていたんです。幸運のお守りになるかな~って思って。その蹄鉄を仲間たちに見せびらかしていたら、ご主人様が、その蹄鉄を着けていた馬を連れて来いって・・・」
「で、連れて来ないとヒドイ目に遭わせるってまた脅されたんですか・・・?」
 ミミの問いに若者は力無く頷いた。懲りない奴だなと、イザヤールが眉を寄せる。
 その蹄鉄を見せてもらうと、プラチナキングの兜と同じ素材でできている、確かにとても美しい品だった。
「でも、いったいどこの馬の蹄鉄かなんて、わからないし・・・」
 若者が半ベソで言うと、イザヤールが首を振った。
「いや、そうでもないぞ。この素材でできている蹄鉄を着けているのは、宝の地図の洞窟に居る『レジェンドホース』という魔物に間違いない。特殊な素材の蹄鉄で、幸運だったな」
「また魔物ですか!・・・じゃあ、あの~、すみませんが・・・」
 また代わりに連れてきてくれということである。まあ仕方ないと、今回の依頼も二人は引き受けた。
 こうしてミミとイザヤールは、今度は自然タイプの洞窟に行き、レジェンドホースを探した。連れていきやすいよう、なるべく依頼人の主人の屋敷に近い洞窟の地図を使った。れんごくまちょう同様、この魔物も麻痺や眠り攻撃が効かない、もしくは効きにくい。それどころか、こちらが必ず眠らされてしまう攻撃「あやしいひとみ」を使ってくる。
 結局、レジェンドホースの弱点である闇属性の攻撃をして弱らせてから、イザヤールが強引にレジェンドホースの背に飛び乗りくつわをはめて、ミミが「スポットライト」を使って注意と怒りを自分に向けさせ、洞窟の外にまで誘い出した。
 暴れようとする度に、最大級の力の持ち主であるバトルマスターのイザヤールが、レジェンドホースに着けた手綱をグイと引き、動きを制御する。思うようにならない怒りをミミにぶつけようとレジェンドホースはミミを追いかけ続けたが、農業名人ヘナトト特製人参を鼻先にかざされると、今度は人参に夢中になって走り続けた。伝説の馬の威厳形無しである。
 こうして依頼人の主人の屋敷の庭園までたどり着き、ミミは依頼人の若者に主人を呼んでくるように言った。屋敷の主人はレジェンドホースを見るなり、この白く光り輝く馬に感嘆した。
「おお、なんて素晴らしい馬だ!わしの愛馬とすることにし・・・」
 しかしレジェンドホースは、怒って光の炎を吐き出し、危うく彼のズボンのおしりを焼きそうになったので、主人は叫んだ。
「なんて馬だ!わかったわかった、さっさとどこかへ連れていけ!」
 ミミは人参とスポットライトでレジェンドホースをまた洞窟まで誘導し、イザヤールもレジェンドホースの手綱を引いては違う方向に行かないよう駆けさせ、洞窟の入り口に着くと背からひらりと飛び下りた。するとレジェンドホースは、そのまま洞窟の奥へと駆け込み、逃げて行った。
 やれやれ今回もどうにかなったと、二人は依頼人のところに戻り、依頼人はお礼にと今度は「しんこうのたね」をくれて、この日もなんとか無事に依頼を果たした。

 ところが、またもやその数日後。依頼人の若者が、もはやお馴染みの沈んだ顔でルイーダの酒場に現れた。嫌な予感がしつつ、どうしたのかとミミが尋ねると、若者は言った。
「実は・・・羽と蹄鉄を拾った時に、キレイな金色の髪の毛も一房、拾っていたんです。仲間たちに見せびらかして、こんなにキレイな金髪の持ち主は、きっと絶世の美女に違いないって言ってたら、またご主人様が・・・『嫁にしたいから連れて来い』ってムチャぶりを・・・!」
 本当に懲りないなとイザヤールは呆れ果て、ミミはさすがに髪の毛だけじゃどこのだれかわからないと、途方にくれた。だが、若者が見せたその髪の毛の小さな束は、美しいリボンでひとまとめにされていたのだが、そのリボンには「うみうしひめ」と刺繍されていた・・・。
 ミミとイザヤールは、さっそく水系の洞窟のうみうしひめのところに行き、その髪の毛が彼女のものであることを確かめた。婚活の一環の、願掛けのおまじないに使ったものらしい。ミミがうみうしひめに、この髪の毛の主と結婚したいと言っている人がいるとおそるおそる告げると、彼女は喜んで依頼人の主人の屋敷に、文字通り突進するように向かい・・・。
 それからしばらくして、うみうしひめは、「わらわにはおじさんすぎじゃ」と言って、帰っていった。依頼人の主人は、うみうしひめの突進を危ういところで避けたが、ショックが大きすぎて気絶していた。それからは彼は、使用人にムチャぶりをすることはなくなり、また依頼人の若者も、手に入れた宝物の自慢をすることは控えるようになったという。〈了〉
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 本日のしばらくお待ちくださ... | トップ | 甘いワナ »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿