セントシュタイン三丁目

DQ9の二次創作(主にイザ女主小説)の、全くの個人的趣味なブログです。攻略の役には立ちません。悪しからずご了承ください。

羽衣を取り返せ

2017年07月07日 23時31分19秒 | クエスト184以降
今週はなんだか間に合いましたの追加クエストもどき〜。わ〜い。七夕関連ネタだったのでなんとしても間に合わせたかったのです。ただし、さっぱりロマンチックでもなんでもなく、機織りと羽衣以外は七夕要素がかなり怪しい(笑)今回登場しているトロルはかしこさの低い魔物なイメージなんですが、グールも脳ミソ腐って頭あんまり良くなさそうだなあ・・・。でもトロルよりマシなのかなあ・・・。そんなどーでもいい迷いが生じました(笑)

 カズチィチィ山南部に「きよめの水」を取りに来たミミは、いつものように清らかな水を湛える洞が、日の光を受けて星のようにキラキラと光っているのを見て、思わず微笑んだ。今日は地上では星に願いをかける日なのだということを改めて意識したのである。
 そんなロマンチックな思いに耽っていたら、ストロングアニマルが突進してきた!そう、ここは水が清らかなのに、それとも綺麗な水があるからと言うべきか、魔物がかなりうろつく場所でもある。しかしミミはひらりと身をかわし、「ほしのおうぎ」で強烈なカウンターを食らわせた。武器は今日のイベントに合わせた遊び心で選んだのでいささか攻撃力に欠けるが、この辺りの敵ならこれで充分すぎるくらいだったのである。
 ストロングアニマルは仰向けになって気絶してしまい、ミミは優雅に扇を振って畳むと、きよめの水を採取して帰ろうとした。だがそのとき、かすかに、本当にかすかにだが、誰かがしくしくと泣く声が聞こえてきた。
 ミミははっとして、耳をすませた。どうやら声は、近くの岩肌から聞こえてくるらしい。声のする方向に従って、岩肌をよくよく調べると、いつもとほんの少し違う部分があった。そこを触ると土がぱらぱらと落ちて、小屋一つ分くらいの洞穴が現れた!そして、洞穴の中ほぼいっぱいに機織り機があって、その前には一人の美しい少女が座っていて、しくしくと泣いていた。少女は、外の光が射し込んで一瞬びくっと身を震わせたが、居たのが虫も殺さないような顔をしたミミだったので、安堵の表情を浮かべた。
「どうしたんですか?」
 ミミが尋ねると、少女はまたしくしくと泣き出した。
「機織りが、間に合わないんです!このままではわたくし、帰れません・・・」
「機織り?帰れない?」ミミは首を傾げた。「いったい何故そんなことに?」
「わたくしは、風の精霊なんです。でもある日、羽衣を脱いでひと休みしていたら、その羽衣を盗まれてしまいました。盗んだのはグールという魔物で、期日までにある布を織ったら羽衣を返してやると言ってきました。羽衣が無いわたくしは非力で、言うことを聞くしかなかったんです。ただ、わたくしは機織りは得意でしたから、どうにかなると思っていたんですけど・・・」
「どうにかならなかったんですか?」
「そうなんです・・・。一日中機織りをして、わたくしが疲れて眠ってしまうと、何故か夜中にトロルがやってきて、織り上がった分の布を引きちぎって持って行ってしまうんです!もちろんそんなことをされてしまえば、最初からやり直しです。そんな日々を繰り返して・・・とうとう今日が最終日になってしまいました・・・。もう間に合いそうもないんです、どうしたら・・・」
 少女は激しくすすり泣き始めた。
「諦めないでください!」ミミは少女の肩を揺さぶって言った。「どんな布ですか?材料は?私、お手伝いしますから!」
「ほんとに?本当ですか?」少女は泣き止んだ。「お気持ちだけでも嬉しい・・・!ありがとうございます!」
 ミミはクエスト「羽衣を取り返せ」を引き受けた!
 改めて機織り機にかかっている織りかけの布を見ると、美しい虹色に輝いていた。
「これってもしかして、『にじいろのぬのきれ』ですか?」
 ミミは濃い紫の瞳を煌めかせて尋ねた。
「ええ、人間がどう呼んでいるか知りませんが、あまつゆの糸と光を織り合わせて作る布です」
 少女が答えると、ミミは勢い込んで更に尋ねた。
「どれくらいの量が必要ですか?」
 にじいろのぬのきれ三枚分がノルマとわかったので、ミミは喜んだ。錬金で作ってきて、少女に織り繋いでもらえば、どうにかなりそうだ。幸い、材料も足りる。
「にじいろのぬのきれを三枚、用意してきます!必ず羽衣は取り返せます、諦めないで待っていてください!」
 ミミは少女に言って、錬金釜カマエルの元へ向かうべくルーラを唱えた。

 セントシュタインはリッカの宿屋に戻ると、ミミが出かけたときと同様、イザヤールがカウンター番をしていた。
「おかえり、ミミ。ちょうどフローズンカクテルができているぞ。・・・お、その顔は、またすぐ出かけなくてはならない顔だな?」
「そうなの。実は・・・」
 飲みながらでも話せるだろうとイザヤールは笑って、ミミを座らせ冷たいグラスを差し出した。
「アルコールは入れてないから、安心しろ」
 ミミはにっこり笑っておいしく特製フローズンカクテルを飲みつつ、岩山の洞に囚われている風の精霊のこと、羽衣と引き換えににじいろのぬのきれをグールに要求されていること、トロルが毎晩織りかけの布をめちゃくちゃにしてしまうことなどを話した。
「錬金もお話ししながらできます、お嬢様」
 ミミが飲み終わったタイミングで、カマエルが取っ手をぱたぱたさせながら言った。ミミはカマエルの頭?をなでなでし、あっという間ににじいろのぬのきれを作り上げた。
「・・・そういうわけで、また出かけてきます。イザヤール様、予定が変わっちゃってごめんなさい。星が出る頃までには、帰ってくるから」
 ミミが申し訳なさそうに言うと、イザヤールは笑って首を振った。
「謝る必要などないぞ」言いながら、装備をバーテンダー仕様から、バトルマスター装備に変える。「私も一緒に、行くつもりだからな」
 みるみる嬉しそうにミミの顔がほころび、ハートが飛び散りそうなほど仲良く二人は出発した。カルバドの集落までルーラで飛び、後は天の箱舟でカズチィチィ山南部に向かう。
「しかし、何故グールがにじいろのぬのきれなど欲しがるのだろうな?」
 箱舟を運転しながらイザヤールは首を傾げた。
「トロルが毎晩邪魔をしに来るのも気になるの・・・」ミミも眉をひそめる。
「まさかグールとトロルは結託しているのか?」
「だとしても何でかな・・・」
 その疑問を考える間もなく、カズチィチィ山南部に到着した。着地してから、イザヤールは尋ねた。
「ところで、今日はサンディはどうした?」
「今夜は絶対晴れにするんだってはりきって、セレシア様のところに行ってるの。・・・なんか、すごく叶えたい願いがあるって」
「そうか。では、私が冒険の記録をつけておこう」
 妙なところでも律義なイザヤールである。それはともかく、二人は間もなく依頼人の少女・・・つまり風の精霊の居る洞穴に到着した。

 風の精霊は機織りをしながらそわそわ待っていたが、ミミとイザヤールが来たのを見て、安堵と驚き両方の表情を浮かべた。
「ああ、本当にすぐ戻ってきてくださったのですね!・・・そちらの方は?」
 少女の問いに、ミミは少しもじもじしながら答えた。
「私の、一番大切な人です。とっても頼りになるので、一緒に来てもらっちゃいました」
「確かに、トロルやグールにも負けなさそうな、強そうなお方・・・!あっ、あなた方はもしかして、精霊や妖精たちの間で有名な、あの超ラブラブカップル・・・」
 少女が言い終わる前に、話を逸らそうとミミがすかさずにじいろのぬのきれを差し出すと、彼女は目を丸くして驚いた。
「まあ!こんなに短時間でこの布を!あなたももしかして、機織りの達人なのですか?」
「いえ・・・そういうわけではないのですけれど、錬金はちょっと得意なんです。これをあなたにうまく繋いでもらえば、羽衣と交換できるだけの長さのにじいろのぬのきれになりますよね」
「はい!すぐにやります!」
 少女は瞬く間ににじいろのぬのきれを繋ぎ合わせ、長い一枚にした。グールの注文した布が出来上がった!
「よかった、これで、グールのヤツが来たら、これと羽衣を交換してもらえますわ!本当にありがとうございます!」
 少女は出来上がった布を握りしめ、深々と頭を下げた。・・・だが、そのとき。
「そ、そうはさせないんだな!」
 われ鐘のような声と共に、トロルが現れた!
「あっ、このトロルです!毎日わたくしの邪魔をしに来るのは!」
 少女は怯えてミミの後ろに隠れ、ミミとイザヤールは武器を構えた。
「何故邪魔をするの?」
 ミミが少女をかばいながらトロルに問い質すと、トロルは棍棒をなめ回しながら答えた。
「そりゃジャマするんだな。ぬのがかんせいしちゃったら、このコははごろも取り返して、帰っちゃうんだな。そしたら、オラのヨメさんに、できないんだな」
「じゃ、じゃあ、布を織り上げるのを邪魔したのは、わたくしに羽衣を取り返させないで・・・けけけ結婚するつもりだったと?・・・・・・。イヤー!イヤですー!トロルと結婚するくらいなら、死んだ方がマシですー!」
 風の精霊は絶叫し、ミミは彼女を懸命になだめた。
「大丈夫、落ち着いて!あなたを、トロルと結婚なんかさせませんから!」
 ここで、イザヤールがトロルの言葉で抱いた疑問の追及を始めた。
「羽衣のことを知っていたということは・・・おまえはやはり、グールと結託しているのか?」
「その通りなんだな。オラとグールは・・・グルなんだな!」
 あっさりばらしてしまうかしこさの低さと、あまりに寒いオヤジギャグに一瞬ものすごい静寂が漂う。そんなところへ、グールまで現れた!
「あっ!」少女は叫んだ。「あなたの注文の布は織り上げましたわ!約束通り、羽衣を返して!」
 風の精霊が持っている長いにじいろのぬのきれを見て、グールは動揺した。
「バカな・・・!トロルに邪魔をさせて、絶対に完成しない筈だったのに・・・!」
「あなたも、風の精霊さんを帰さないつもりだったの?でも何故機織りをさせるなんて、こんな回りくどいことを?」
ミミが風の精霊をかばいながら尋ねると、グールは腐って落ちそうな目をぎらつかせながら答えた。
「羽衣を奪って非力にしたとはいえ、精霊を契約抜きで自由にすることはできない。契約を交わしてその条件を失敗させれば、オレの意のままになる!嫁にできるってわけだ!」
「あなたも風の精霊さんをお嫁さんにしようと狙ってたの?!」
 どうやらグールはトロルを利用していたらしい。ミミは呆れ、風の精霊は更に怯えて、ミミの背中にすがりついた。
「あー?」それを聞いたトロルは、グールに詰め寄った。「このコは、オラのヨメさんなんだな。おまえには渡さないんだな」
「黙れ!バカのくせに!それにオレは、生前はものすごいイケメンだったんだ!」
「オラの方が強いし、腐ってないし、ジェントルマンなんだな!・・・ところで、ジェントルマンてなんだ?」
「ほら見ろ!・・・それよりおまえは、こっちの女を嫁にしたらどうだ?風の精霊に劣らない可愛い娘だろう」
「お、おお〜。確かにめんこいんだな・・・」
 それを聞いたミミはこの展開に驚き戸惑ったが、イザヤールの方が既に、怒りでスーパーハイテンションになっていた。彼は一言も口をきかずに(なので余計に怖かった)装備を剣から「しゅらのこん」に変え、「黄泉送り」をグールに放った!グールは叫び声すら残さず消え去り、後には風の精霊の羽衣だけが残った。
「お〜、グールが居なくなったら、オラはヨメさん二人持てるんだな・・・」
 と、トロルが言い終わるか終わらないうちに、イザヤールは今度は装備を「みょうおうのこん」に変え、「ラストバッター」で思いっきりトロルをぶっ飛ばした!キラーンと一番星のようになるトロル。
 イザヤールは涼しい顔をして武器をしまい、ミミは風の精霊に向かって「ね?頼りになる人でしょ?」と言ってにっこり笑ったのだった。

 風の精霊は、お礼にと、特別にオーロラ色の布を織ってくれた。ただしすぐに羽衣を使って帰らず、まず羽衣をよーく洗濯をしてすっかり綺麗になってからの帰宅になったという。〈了〉
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2 コメント

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さよならホームラン‼︎ (神々麗夜)
2017-07-09 14:23:16
あ〜あ、お馬鹿二匹で組むから…
ゲーム上ではハンマー技のラストバッターですが棍の方がバットに近い形状をしているのかえって違和感なさそうですw
ちなみにDQ10ではバトマスはたまに攻撃してもテンション維持という特性があるのですがイザヤール様、絶対SHT維持して黄泉送り→ラストバッターしましたよね?ミミちゃんのイザヤール様ならできますよね‼︎

頭のいい、くさった死体系といえばDQ7のエテポンゲですかね。知識の帽子一つで賢さランキング1位になるんですから!ってあれはくさった死体のグラを使った人間?どっちなのねん?
頭のいいトロルはDQH2に当時する王子様(cv:ヨシヒコ)に使える将軍ですね
トロルらしくお世辞にも上品とは言えませんが高い忠誠心を持ち、冷静な判断力といざという時の大胆な行動力と高い戦闘力を兼ね備えた知勇兼備の名将軍であります

リリン「トキメキの欠片もない三角関係ね」
シェルル「トロルとグールじゃね…」
ククール「風の精霊もあんなのに求婚されるとは災難だな。リリンは幸せだよな、この俺に愛されてるんだから」
シェ「リリンに触るなよ、僕の方が愛してるし」
リリ「はぁ…また始まった…」
サンディ「とか言って嬉しいんでしょw」
リリ「う…うるさいわね!///あ、流れ星」
シェ「何か願い事した?」
リリ「ううん、あたくし願い事は自分で叶える主義だから」
クク「まぁ流れ星に願いを三回なんて無理だよな」
実は流れ星に見えたのはミミちゃんのイザヤール様が吹っ飛ばしたトロルだったが誰も気づかなかった
ちなみにトロルは一晩中空を飛び続けましたとさ。めでたしめでたし☆
トロル「ちっともめでたくないんだなぁ
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素で間違えましたw (津久井大海)
2017-07-10 09:57:49
神々麗夜様

いらっしゃいませおはようございます☆
お察しとは思いますが、「プレートくだきに装備を変えた」と書こうとして、何故か単に棍のグレードアップになってました・・・一番かしこさが低いのは津久井です(泣)ラストバッター、確かに棍でカキーンとやりたいところなんですけどね〜。

10だとバトマスにそんな特性が!当サイトチートイザヤール様ならやりかねませんw

エテポンゲは人間?だと思いたいんですが、どうなんでしょう、親分アレですしね・・・う〜ん。

ヒーローズ2にはそんなステキなトロル将軍が居るんですね♪そんなトロルだったら今回の話の展開も変わった、のか?

そちらの女主さんはまさにときめく三角関係☆彼氏さん、もっと本気で対策考えられた方がwサンディ鋭いなあwまさに揺れる乙女心ですね☆
トロルどこまで飛んでるんですかw女主さんの願いは自分で叶える主義、かっこいいですね♪
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