遅くなりましたがちまちまちまちまとようやく書けました~の追加クエストもどき。石化ネタってドラクエシリーズ案外多いですが、イベントがほとんどで戦闘とかでの特殊効果では無いですよね。マヒと状態がほぼかぶるからでしょうか。DQ9のストロスの杖が本来の役割をあまり発揮してなくてちょっと残念だったりします。さて今回も、プチピンチに陥る女主ですが・・・。
ハーブを摘みに人里から遠い場所を訪れていたミミは、誰かの声が聞こえた気がしてふと葉を摘む手を止めた。
『今日も・・・来ないのか・・・』
こんな荒野の中に居るのは人間より魔物の可能性が高いが、それでもミミは声のする方に行ってみた。道しるべに折々、小さく切った「にじいろのぬのきれ」を小さなリボン代わりに結びながら、藪をかき分け、林に入り、道無き道を進んでいくと、やがて一体の石像の前に出た。
旅人を象ったものだろうか、素朴なマントに頑丈そうなブーツをまとった若者の像だった。写実主義の極みなのか、ものすごくリアルな石像とおぼしきものだったが、不思議な出来事の遭遇率が異様に高いミミとしては、少々イヤな予感がした。石像の表情は、無表情に近かったがどことなく悲しみと苦悩が浮かんでいるような気がする。
『・・・おお!一ヶ月ぶりに、人が通りかかってくれるとは!』
声は、案の定石像から聞こえてきた。
「あなたは、何者なの?魂の宿った石像?それとも、石像に変えられた人間?」
そのどちらかのパターンだろうと思ってミミが尋ねると、石像は答えた。
『物わかりがいいな。お察しの通り私は、石像に変えられた人間だ。・・・一月ほど前、旅の途中ここを通りかかったら、やはり石化した人が居てな・・・そいつの頼みを聞いたばかりに、こんなことに・・・。
奴は言った。自分は悪魔に捕まってこんなことになってしまった、この石化は、身代わりを引き受けてくれる崇高な人間と、その信頼に応える意志力があれば、解くことができる、三日だけでいい、身代わりに石像になってくれ、親に一目無事な姿を見せて安心させてやりたい、三日後に必ず戻るからと。
私はうっかりほだされてそいつの代わりに石像になって・・・このザマだ。一ヶ月経っても、奴は戻って来ない。私は騙されたんだ。・・・身代わりを引き受けてくれる心優しい人間が居てくれれば、助かるのだが。私は、私を騙した奴と違って、約束は必ず守るのに・・・』
石像の言わんとしていることはよくわかる。ミミに身代わりになってほしいということだろう。とはいえ、お人好しにも程があるとよくサンディに言われるミミも、さすがに少し考え込んだ。
「その元凶の悪魔を倒せばいいんじゃないの・・・?」
『それが、その悪魔とやらもずる賢く卑劣な奴で・・・こちらが石になって何もできなくなってから現れて、散々私を言葉で不安に陥れて、苦しめた・・・。きっと、普通の人間の前には決して姿を現さないんだ』
それでは元凶を倒して解決という方法も無理そうだ。再びミミは考え込んだ。
(でも、私は。見知らぬ人じゃない、大切な人たちが、きっと必ず助けてくれるもの・・・。しかも、どちらも助かる方法で)
とにかく、たとえ何かの罠だとしても、このまま放っておくわけにはいかないと、ミミは覚悟を決めた。待ち合わせもしているし、道しるべもしてきたことだし、異状事態に早く気付いてもらえるだろう。石像にされてもきっと見つけてもらえる。なんと言ってもイザヤール様は、最高の恋人なだけでなく最強の戦友でもあるのだから。勝算という言葉もふさわしいかどうか微妙だが、なんとかなると判断して、ミミは答えた。
「いいわ。私が身代わりになります」
『本当か!ありがとう!』石像の声が希望で弾んだ。『身代わりになると念じて私に軽く触れてくれれば、すぐに入れ替わるから。・・・私は、必ず、必ず約束は守る!』
ミミはクエスト「身代わり石化」を引き受けた!
ミミは、手を伸ばして石像の肩の辺りに軽く触れた。と、一瞬視界が暗くなったと思ったら、彼女は硬直して身動きが取れなくなっていて、代わりに目の前には石化が解けたらしい若者が立っていた。彼は、申し訳なさそうに石化したミミを見つめてから、力強い声で言った。
「私は、私を騙した奴と違う。三日・・・いや二日で必ず戻る!留守宅の家賃を払ったらすぐに!ありがとう、君のおかげで家を追い出されずに家賃の納付期限に間に合いそうだ!」
確かに家賃は大切だが、律義な人だなあとミミは感心した。これなら、必ず戻ってきてくれるだろう。若者はさっそくキメラのつばさを放り投げて家に帰っていき、ミミは一人取り残された。
すると、ミミが一人になるやいなや、何者かがふわりと舞い降りてきた。大きな翼が実は本体の悪魔、ウィングデビルだった。ウィングデビルは、石像になったミミの周りを飛び回り耳障りな笑い声を上げながら言った。
「またおめでたい人間が現れたか!他人の為に犠牲になり、相手はその信頼に応える、ああ美しきかなニンゲン、とでも思っているのだろうが、一つ教えてやろう。今まで、何人もの人間が偽善心を発揮して身代わりになったが、約束を守って戻ってきた者は、一人も居ないのさ。何故だかわかるか?約束を守ろうとした奴らは、守れないようにオレが妨害したからさ。だからおまえも、次のマヌケを見つけて騙して身代わりにするまでは、決して石化は解けないってワケだ。美しき博愛精神の結果が、これだという気分は、どうだ?」
そういうことだったのかと、ミミは思ったが、腹が立つよりむしろ必ず戻ってくると言った若者が心配になり焦った。ウィングデビルの妨害で大怪我をしたり命を落としたりしてはたいへんだ。すると、そんなミミの気持ちを見透かしたかのように、ウィングデビルは続けて言った。
「命を奪うよりもっと楽しい妨害工作さ。誠実だった人間が、他者を裏切り、葛藤で苦しみながら、薄汚い魂になっていって、仕方なかった、ああするしかなかったと言い訳をするのを見るのが、オレは何より楽しみだからな。誰もが最初は、自分は絶対そうならない、卑劣なことはしない、って思うのさ。でもしょせんは儚い抵抗さ。オマエが助けたヤツも、どんな風に堕落していくか、じっくり教えてやるよ」
それからウィングデビルは、石像になったミミをじろじろと眺め回して、またいやな笑い声を立てた。
「オマエはなかなか色っぽいカラダをしているから、石像のままにしておいて、異世界の魔王様への献上品にしてやってもいいな。壁飾りくらいにはしてもらえるかもしれないぞ」
こんなにじろじろ眺められるならいっそスライムスーツとスライムヘッドでも装備しておけばよかった、とミミは少し腹を立てた。何故その脱力系チョイスよ?!とサンディ辺りにツッコミを受けそうだが。
ウィングデビルはもう一度高笑いして、飛び去っていった。
しばらくすると、ミミにとってとても愛しい声が聞こえてきた。
「ミミ!居るなら返事をしてくれ!」
(イザヤール様!・・・イザヤール様、ここよ)
石像になっているミミは声を出せる筈もないが、先ほどの若者の声がミミに聞こえたようにイザヤールにも聞こえたのか、彼は間もなくミミの前に姿を現した。そして、石像になっている彼女を見て、一瞬顔色を蒼白にした。
「ミミ?!ミミなのか?」
そこでミミは、ここで起きたことを説明した。イザヤールの方も、ミミが待ち合わせの場に決めていた場所ににじいろのぬのきれの切れ端が結わえてあるのを見つけて、彼女が何かここを離れなければならない状況になったことを知り、点々と結わえてあった虹の色をたどっているうちに、ミミの声が聞こえてきて、ここまでたどり着いたことを話した。
「そうか、ウィングデビルの仕業か・・・。人間の善意を試し更に踏みにじって魂を堕落させるとは、本当に卑劣なことを・・・!」
(だからイザヤール様、その人を探して、ウィングデビルに堕落させられないように守って、約束の時間までにここまで連れてきてくれる?そうすれば石化は解ける筈だから)
「いや、それよりもっといい手段がある」
イザヤールは鋭かった眼差しを和らげてちょっと笑うと、レベル99のバトルマスターの怪力をもって、ミミを持ち上げた!普段はもちろん彼の腕に軽々と抱き上げられるミミだが、石像になっている今は、かなりとんでもない重さの筈だった。
(ちょっ・・・イザヤール様、私をどこに連れていくの?)
「もちろんリッカの宿屋の自室だ。装備品袋を置いてきてしまったからな。おまえを連れて帰って、『ストロスの杖』でおまえの石化を解けば解決だ」
(そっか、その手が・・・ってイザヤール様!今の私は重たいから、わざわざ連れて帰らなくても、ここにストロスの杖を持ってきてくれればいいんじゃないの?!)
「いや、おまえは石像になっても綺麗だから、私がここを離れている間に誰かに見つかって連れ帰られたりしてしまうかもしれない!そんな危険を冒せるものか」
イザヤールは大真面目な顔でそう告げると、石像になっているミミを抱きしめるように抱えて、キメラのつばさを放り投げようとした!と、そこへ。
「ニンゲンめ!させるか、そんなことをさせるか~!」
怒り狂った先ほどのウィングデビルが現れ、イザヤールに襲いかかった!が、イザヤールはミミを片腕に抱いたまま剣を振るってウィングデビルを翼ごと一刀のもとに斬り捨て、こうしてこのウィングデビルは二度と人間をなぶって苦しめることはできなくなったのであった。
ウィングデビルを倒したことで、ミミの石化は解けた!だがイザヤールは抱きかかえた腕を離すどころか、剣を収めて固く彼女を抱きしめた。
「ミミ・・・人助けはわかるが、あまり無茶はするな・・・」
「うん・・・。ごめんなさい、イザヤール様・・・。イザヤール様がきっと助けてくれると思って、甘えちゃった・・・」
「ああ、必ず助けるが・・・でもだからって・・・」
地上の守り人としての役割は、常にこのような危険と葛藤との隣り合わせだ。決して互いを悲しませないようにと固く誓って助け合うことで、今日まで無事に二人で生きてこられた・・・。これからもそうして生きていければと切に思う。
「ごめんなさい、イザヤール様・・・」
ミミはもう一度呟いて、彼の胸に顔を埋めた。
ウィングデビルは倒したので、あの若者は探さなくてももう大丈夫だろうとは思ったが、ミミは無事に解決したことを知らせる為に、約束の日にあの場所で待ってみることにした。約束を守ってくれたら、あの若者の為にも嬉しいなと彼女は思った。
イザヤールも一緒に来てくれて、二人は日没まで待ってみた。星が出始め、諦めかけた頃、息を切らせながら誰かが走ってきた。あの若者だった。
「いやあ間に合ってよかっ・・・ええっ?!私が戻らなくても石化が解けたとは!・・・こちらの方が悪魔を倒してくれたと?!いやあ、よかったよかった!実は、無事に家賃を払った後、落とし穴に落ちたり貴族の令嬢に見初められて屋敷に引き留められたりして間に合わないかと焦ったぞ。もちろん振り切ってきたがな!はっはっは!」
ウィングデビルは倒したので、悪魔の妨害とも思えないが、そういう障害があっても身代わりになった他人を助ける為に戻ってきてくれたことに、ミミは嬉しくなった。そんなところもあるから、人間って悪くないって思わせてくれる・・・。
「・・・で、その・・・身代わりになってくれた礼に、一緒に食事でも・・・あ、も、もちろん、そこの御仁も一緒に、な」
言いながらも若者はイザヤールを見てちょっと悔しそうな顔をし、イザヤールは油断も隙もないとばかりに少し渋面になった。そんな二人を見て、ミミはきょとんとして首を傾げた。〈了〉
ハーブを摘みに人里から遠い場所を訪れていたミミは、誰かの声が聞こえた気がしてふと葉を摘む手を止めた。
『今日も・・・来ないのか・・・』
こんな荒野の中に居るのは人間より魔物の可能性が高いが、それでもミミは声のする方に行ってみた。道しるべに折々、小さく切った「にじいろのぬのきれ」を小さなリボン代わりに結びながら、藪をかき分け、林に入り、道無き道を進んでいくと、やがて一体の石像の前に出た。
旅人を象ったものだろうか、素朴なマントに頑丈そうなブーツをまとった若者の像だった。写実主義の極みなのか、ものすごくリアルな石像とおぼしきものだったが、不思議な出来事の遭遇率が異様に高いミミとしては、少々イヤな予感がした。石像の表情は、無表情に近かったがどことなく悲しみと苦悩が浮かんでいるような気がする。
『・・・おお!一ヶ月ぶりに、人が通りかかってくれるとは!』
声は、案の定石像から聞こえてきた。
「あなたは、何者なの?魂の宿った石像?それとも、石像に変えられた人間?」
そのどちらかのパターンだろうと思ってミミが尋ねると、石像は答えた。
『物わかりがいいな。お察しの通り私は、石像に変えられた人間だ。・・・一月ほど前、旅の途中ここを通りかかったら、やはり石化した人が居てな・・・そいつの頼みを聞いたばかりに、こんなことに・・・。
奴は言った。自分は悪魔に捕まってこんなことになってしまった、この石化は、身代わりを引き受けてくれる崇高な人間と、その信頼に応える意志力があれば、解くことができる、三日だけでいい、身代わりに石像になってくれ、親に一目無事な姿を見せて安心させてやりたい、三日後に必ず戻るからと。
私はうっかりほだされてそいつの代わりに石像になって・・・このザマだ。一ヶ月経っても、奴は戻って来ない。私は騙されたんだ。・・・身代わりを引き受けてくれる心優しい人間が居てくれれば、助かるのだが。私は、私を騙した奴と違って、約束は必ず守るのに・・・』
石像の言わんとしていることはよくわかる。ミミに身代わりになってほしいということだろう。とはいえ、お人好しにも程があるとよくサンディに言われるミミも、さすがに少し考え込んだ。
「その元凶の悪魔を倒せばいいんじゃないの・・・?」
『それが、その悪魔とやらもずる賢く卑劣な奴で・・・こちらが石になって何もできなくなってから現れて、散々私を言葉で不安に陥れて、苦しめた・・・。きっと、普通の人間の前には決して姿を現さないんだ』
それでは元凶を倒して解決という方法も無理そうだ。再びミミは考え込んだ。
(でも、私は。見知らぬ人じゃない、大切な人たちが、きっと必ず助けてくれるもの・・・。しかも、どちらも助かる方法で)
とにかく、たとえ何かの罠だとしても、このまま放っておくわけにはいかないと、ミミは覚悟を決めた。待ち合わせもしているし、道しるべもしてきたことだし、異状事態に早く気付いてもらえるだろう。石像にされてもきっと見つけてもらえる。なんと言ってもイザヤール様は、最高の恋人なだけでなく最強の戦友でもあるのだから。勝算という言葉もふさわしいかどうか微妙だが、なんとかなると判断して、ミミは答えた。
「いいわ。私が身代わりになります」
『本当か!ありがとう!』石像の声が希望で弾んだ。『身代わりになると念じて私に軽く触れてくれれば、すぐに入れ替わるから。・・・私は、必ず、必ず約束は守る!』
ミミはクエスト「身代わり石化」を引き受けた!
ミミは、手を伸ばして石像の肩の辺りに軽く触れた。と、一瞬視界が暗くなったと思ったら、彼女は硬直して身動きが取れなくなっていて、代わりに目の前には石化が解けたらしい若者が立っていた。彼は、申し訳なさそうに石化したミミを見つめてから、力強い声で言った。
「私は、私を騙した奴と違う。三日・・・いや二日で必ず戻る!留守宅の家賃を払ったらすぐに!ありがとう、君のおかげで家を追い出されずに家賃の納付期限に間に合いそうだ!」
確かに家賃は大切だが、律義な人だなあとミミは感心した。これなら、必ず戻ってきてくれるだろう。若者はさっそくキメラのつばさを放り投げて家に帰っていき、ミミは一人取り残された。
すると、ミミが一人になるやいなや、何者かがふわりと舞い降りてきた。大きな翼が実は本体の悪魔、ウィングデビルだった。ウィングデビルは、石像になったミミの周りを飛び回り耳障りな笑い声を上げながら言った。
「またおめでたい人間が現れたか!他人の為に犠牲になり、相手はその信頼に応える、ああ美しきかなニンゲン、とでも思っているのだろうが、一つ教えてやろう。今まで、何人もの人間が偽善心を発揮して身代わりになったが、約束を守って戻ってきた者は、一人も居ないのさ。何故だかわかるか?約束を守ろうとした奴らは、守れないようにオレが妨害したからさ。だからおまえも、次のマヌケを見つけて騙して身代わりにするまでは、決して石化は解けないってワケだ。美しき博愛精神の結果が、これだという気分は、どうだ?」
そういうことだったのかと、ミミは思ったが、腹が立つよりむしろ必ず戻ってくると言った若者が心配になり焦った。ウィングデビルの妨害で大怪我をしたり命を落としたりしてはたいへんだ。すると、そんなミミの気持ちを見透かしたかのように、ウィングデビルは続けて言った。
「命を奪うよりもっと楽しい妨害工作さ。誠実だった人間が、他者を裏切り、葛藤で苦しみながら、薄汚い魂になっていって、仕方なかった、ああするしかなかったと言い訳をするのを見るのが、オレは何より楽しみだからな。誰もが最初は、自分は絶対そうならない、卑劣なことはしない、って思うのさ。でもしょせんは儚い抵抗さ。オマエが助けたヤツも、どんな風に堕落していくか、じっくり教えてやるよ」
それからウィングデビルは、石像になったミミをじろじろと眺め回して、またいやな笑い声を立てた。
「オマエはなかなか色っぽいカラダをしているから、石像のままにしておいて、異世界の魔王様への献上品にしてやってもいいな。壁飾りくらいにはしてもらえるかもしれないぞ」
こんなにじろじろ眺められるならいっそスライムスーツとスライムヘッドでも装備しておけばよかった、とミミは少し腹を立てた。何故その脱力系チョイスよ?!とサンディ辺りにツッコミを受けそうだが。
ウィングデビルはもう一度高笑いして、飛び去っていった。
しばらくすると、ミミにとってとても愛しい声が聞こえてきた。
「ミミ!居るなら返事をしてくれ!」
(イザヤール様!・・・イザヤール様、ここよ)
石像になっているミミは声を出せる筈もないが、先ほどの若者の声がミミに聞こえたようにイザヤールにも聞こえたのか、彼は間もなくミミの前に姿を現した。そして、石像になっている彼女を見て、一瞬顔色を蒼白にした。
「ミミ?!ミミなのか?」
そこでミミは、ここで起きたことを説明した。イザヤールの方も、ミミが待ち合わせの場に決めていた場所ににじいろのぬのきれの切れ端が結わえてあるのを見つけて、彼女が何かここを離れなければならない状況になったことを知り、点々と結わえてあった虹の色をたどっているうちに、ミミの声が聞こえてきて、ここまでたどり着いたことを話した。
「そうか、ウィングデビルの仕業か・・・。人間の善意を試し更に踏みにじって魂を堕落させるとは、本当に卑劣なことを・・・!」
(だからイザヤール様、その人を探して、ウィングデビルに堕落させられないように守って、約束の時間までにここまで連れてきてくれる?そうすれば石化は解ける筈だから)
「いや、それよりもっといい手段がある」
イザヤールは鋭かった眼差しを和らげてちょっと笑うと、レベル99のバトルマスターの怪力をもって、ミミを持ち上げた!普段はもちろん彼の腕に軽々と抱き上げられるミミだが、石像になっている今は、かなりとんでもない重さの筈だった。
(ちょっ・・・イザヤール様、私をどこに連れていくの?)
「もちろんリッカの宿屋の自室だ。装備品袋を置いてきてしまったからな。おまえを連れて帰って、『ストロスの杖』でおまえの石化を解けば解決だ」
(そっか、その手が・・・ってイザヤール様!今の私は重たいから、わざわざ連れて帰らなくても、ここにストロスの杖を持ってきてくれればいいんじゃないの?!)
「いや、おまえは石像になっても綺麗だから、私がここを離れている間に誰かに見つかって連れ帰られたりしてしまうかもしれない!そんな危険を冒せるものか」
イザヤールは大真面目な顔でそう告げると、石像になっているミミを抱きしめるように抱えて、キメラのつばさを放り投げようとした!と、そこへ。
「ニンゲンめ!させるか、そんなことをさせるか~!」
怒り狂った先ほどのウィングデビルが現れ、イザヤールに襲いかかった!が、イザヤールはミミを片腕に抱いたまま剣を振るってウィングデビルを翼ごと一刀のもとに斬り捨て、こうしてこのウィングデビルは二度と人間をなぶって苦しめることはできなくなったのであった。
ウィングデビルを倒したことで、ミミの石化は解けた!だがイザヤールは抱きかかえた腕を離すどころか、剣を収めて固く彼女を抱きしめた。
「ミミ・・・人助けはわかるが、あまり無茶はするな・・・」
「うん・・・。ごめんなさい、イザヤール様・・・。イザヤール様がきっと助けてくれると思って、甘えちゃった・・・」
「ああ、必ず助けるが・・・でもだからって・・・」
地上の守り人としての役割は、常にこのような危険と葛藤との隣り合わせだ。決して互いを悲しませないようにと固く誓って助け合うことで、今日まで無事に二人で生きてこられた・・・。これからもそうして生きていければと切に思う。
「ごめんなさい、イザヤール様・・・」
ミミはもう一度呟いて、彼の胸に顔を埋めた。
ウィングデビルは倒したので、あの若者は探さなくてももう大丈夫だろうとは思ったが、ミミは無事に解決したことを知らせる為に、約束の日にあの場所で待ってみることにした。約束を守ってくれたら、あの若者の為にも嬉しいなと彼女は思った。
イザヤールも一緒に来てくれて、二人は日没まで待ってみた。星が出始め、諦めかけた頃、息を切らせながら誰かが走ってきた。あの若者だった。
「いやあ間に合ってよかっ・・・ええっ?!私が戻らなくても石化が解けたとは!・・・こちらの方が悪魔を倒してくれたと?!いやあ、よかったよかった!実は、無事に家賃を払った後、落とし穴に落ちたり貴族の令嬢に見初められて屋敷に引き留められたりして間に合わないかと焦ったぞ。もちろん振り切ってきたがな!はっはっは!」
ウィングデビルは倒したので、悪魔の妨害とも思えないが、そういう障害があっても身代わりになった他人を助ける為に戻ってきてくれたことに、ミミは嬉しくなった。そんなところもあるから、人間って悪くないって思わせてくれる・・・。
「・・・で、その・・・身代わりになってくれた礼に、一緒に食事でも・・・あ、も、もちろん、そこの御仁も一緒に、な」
言いながらも若者はイザヤールを見てちょっと悔しそうな顔をし、イザヤールは油断も隙もないとばかりに少し渋面になった。そんな二人を見て、ミミはきょとんとして首を傾げた。〈了〉
うちのパーティの場合…
リリンが石化して囮になりシェルルは石化が解除された若者の護衛、ククールとレレンが悪魔討伐
レレン「お腹空いたぁ…ククールさんお菓子ない?」
ククール「今一番辛いのはリリンだろ!それぐらい我慢しろ」
レレ「ぷぅ…だってぇ…」
クク「…!来たぞ、元凶が」
レレ「なんの?」
クク「…とにかくリリンから合図が来たらあいつを始末するんだよ」
悪魔「オマエが助けたヤツも、どんな風に堕落していくか、じっくり教えてやるよ」
リリン『だったらこっちも教えてあげるわ…相手を独りだって思わない事をね!』
木の影からククールとレレンが飛び出して来た!
レレンはイオナズンを唱えた!
リリ『ちょ!?レレンあんたねぇ!』
クク「コラァ!姉ちゃんバラバラにするつもりかっ!つかメラガイヤーにしろ」
悪魔「あの~」
レレ「あーんっ!なんで二人とも怒るのぉ?!」
悪魔「お前らも石にしてやるーっ!」
クク「すっこんでろ!!」
隼斬りで会心を出しウィングデビルを倒しリリンも無事に元に戻れた…
クク「どこも変な所ないか?」
リリ「しばらく固まってたから少し強張ってたけど大した事ないわ」
レレ「ねーなんでお姉ちゃん石になってたの?」
リリ・クク「「そこから!?」」
約束の日が間も無く終わる頃…シェルル達が戻ってきたが
リリ「ってなんであんた達ボロボロ!?」
シェ「用事はすぐに済んだけど落し穴とか羊の大群とかスライムの合体に巻き込まれたり…街外アンケートに捕まったり」
クク「お前ら何してたんだよ… 」
いらっしゃいませこんばんは☆
確かに数百キロ~下手すると数トン単位の石像軽々はいくらバトマスでもアレですか(笑)津久井のゲーム上ではちからのたねがまだ集まってなくてできてないんですが、当サイトイザヤール様はちょいちょい能力値アップ種や木の実入り料理を食べさせられているので、上限値な可能性高いです。ちから999・・・どんな領域なのやら・・・。
そちらのパーティ様が同じ状況になるとそんなに楽しそう・・・いえいえたいへんなことに!そうなんですよね、仲間集めて助けに行けば問題ないんですよね(笑)たぶん石像の声自体は一人でいる人にだけ聞こえるシステムなのだと思われますが。
妹さん、まさかの作戦伝わっていなかった状態ですかwそしてアンケートに捕まったに吹きつつ、ありえるかも!と思ってしまいました(爆)