セントシュタイン三丁目

DQ9の二次創作(主にイザ女主小説)の、全くの個人的趣味なブログです。攻略の役には立ちません。悪しからずご了承ください。

終焉の竜と勇者とロール姫6

2019年03月13日 03時11分33秒 | クエスト184以降
追加クエストもどきの続き。前回のあらすじ、老人とスライムと羊が湯治している温泉に入った・・・これしか話が進展してない(笑)しかもお色気シーンゼロ(爆)果たしてこの温泉でもたらされる情報とは・・・。

 どうやら、町の中に居られるいわゆる「いい魔物」も、夜に町や村の外に出ると、闇の力に引きずられてしまうらしい。もっとも、一番最初にこの世界で会ったスライムたちは、ミミたちに襲いかかってきたとはいえどこか抜けていたが。
「それってもしかして・・・」
 ミミが呟くと、スライムは頷いた。
「うん、終焉の竜が魔城に現れてからだよ。ボクたちまだ見たことないけど、きっと怖い竜なんだろうなー。ところで、しゅーえんってなんだろ?」
 スライムの疑問に、ミミは律義に答えた。
「終焉っていうは、命の終わりとか臨終って意味よ」
「へ〜、そうなんだー。じゃあ、死にかけのよぼよぼの竜ってことかな?それならあんまり怖くないのかな〜」
 温泉に浸かっていた一同は、いっせいによぼよぼな竜を思い浮かべてしまった。
「ふむ・・・。その割には、城の周辺を隔てたり、闇の力を増幅させているようだしなあ・・・」
 イザヤールが考え込んだ。
「お若いの、あまりに悩むと禿げるぞい」自らツルツルな頭上の老人が言う。
「ご老人、それはいろいろな意味でボケのつもりか?」
 すると羊が、まるでツッコミをするかのように、老人に頭突きをした。その口元は、何かをもぐもぐ噛んでいる。別の老人が叫んだ。
「あー!それは、大事な古文書ではないかー!古の勇者が書き記した何かの重要な手がかりだというのに!」
「!!」
 それは一大事と、イザヤールはとっさに羊の頭を押さえつけ、口を開かせようとしたが、羊はバトルマスターの力で微動だにできないものの、頑固に口を閉じていた。ミミは急いで羊の正面に回り、濃い紫の瞳を潤ませて頼んだ。
「お願い、羊さん、それはごはんじゃなくて大切なものなの・・・。食べないで」
 羊はもぐもぐを止め、ミミが鼻先をなでてやると口を開けた。こうしてミミとイザヤールはコンビネーションで古文書を取り返した!・・・ヨダレまみれだったが。ちなみに紙は羊皮紙ではなく植物性の紙だったので、共食いは免れていた。
 古文書はしばらく熱い岩の上で乾燥熱消毒されてから改めて見てみると、残念ながら文字のあちこちが欠けていた。
『町の・・・を・・・せるには・・・を・・・でるがよい。温泉の黒岩から北に四歩、西に三十歩を調べよ』
「温泉?」
「この村の今入っているこれか?」
「うむ」老人たちは頷いた。「これぞ、伝説の勇者が残した神秘のアイテムの隠し場所じゃ!」
「それで、欠けた部分にはなんて書いてあったんですか?」
「えーと・・・。なんじゃったかのう。待て待て、もう少しあったまったら思い出すから」
「町の集合マシンを煙らせるには、うえ〜を鼻垂れるがよい・・・じゃったかのう・・・」
「いやいや、町のすごろく菌をゼブラせるには、ぐえ〜を鯖出るがよい、ではないか?」
 この様子では、正しい言葉を思い出しそうにもない。ミミとイザヤールは湯から上がり着替えて、さっそく調べてみようと、温泉の黒岩を探し始めた。縁を囲む岩の中で一つだけ黒いものがある。これに違いない。
 そこから、イザヤールの歩幅とミミの歩幅両方で指定の歩数を歩き、それで生じた誤差の範囲を探してみることにした。これなら、伝説の勇者がどんな身長だったとしてもだいたいカバーできる。ドミールを思わせる地質の地面を掘り返しているうちに、何やら棒状の物が出てきた。
 汚れを落としてみると、それは可愛らしい横笛だった。さすがに湯から上がり茶をすすっていた老人たちのところに持っていくと、老人たちは口々に叫んだ。
「おお、それは、妖精の笛ではないか!これはな、遥か昔、邪悪な魔王に封印されていた精霊様の封印を解いた伝説の勇者縁の笛!」
「と、いうことは、終焉の竜の闇の力にも対抗できるってこと?」ミミは呟いた。
「いや、確か別の効果だったような・・・。なんだったかのう。お嬢さん、吹いてみたらどうじゃ?」
 ミミは頷き、笛を吹いた。澄んで陽気な、軽やかな音が転がり出た。〈続く〉
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