セントシュタイン三丁目

DQ9の二次創作(主にイザ女主小説)の、全くの個人的趣味なブログです。攻略の役には立ちません。悪しからずご了承ください。

長~いおつかい

2016年01月30日 06時49分54秒 | クエスト184以降
やはり朝になってしまいましたのねの追加クエストもどき。コタツでの書き物はやはり危険。それはさておき、今回のクエスト内容もゆる~い内容で別の意味でおとぎ話風。一つの目的を果たす為にいろいろなことをしなければならないというあれ系です。ある意味一番クエストらしいクエスト・・・か?文中に出てくるデッドペッカーとかまっちの関係はモンスター図鑑デッドペッカーの項目二ページめより。お守りされるってことはかまっちってモーモンと同年代・・・?

 ある冬の午後。元ウォルロ村の守護天使で現在バリバリ凄腕冒険者のミミは、親友である宿王リッカにこう声をかけられた。
「ミミ、市場に行くんなら、ついででいいんだけど、やわらかウールでできた毛糸買ってきてくれる?セーターとおそろいのマフラー編みたいの」
「うん、わかった。青い毛糸でいいの?」
「うん、お願いねー」
 凄腕冒険者と世界一の宿屋経営者宿王の会話にはとても聞こえないが、普通の女の子でもあるつもり(納得する者はほとんど居なかったが)の二人には、ごく当たり前の会話だった。とにかくミミには、すぐに帰ってこられるおつかいのつもりだった。ミミはクエスト「長~いおつかい」を引き受けた!

 ミミは細々した用事をあれこれ済ませつつ、やがて市場の毛糸を取り扱う店に到着し、中に入ろうとした。だが何故か、入り口の扉の敷居のところに男の子が座り込んでいて、入れなかった。今は店員は留守のようで、この男の子しか居ないらしい。
「あの・・・お店に入りたいんだけど・・・」
 ミミが言うと、男の子は下を向いたまま首を振って答えた。
「ごめん、今それどころじゃなくてー。敷居の割れ目の中に、『ちからのたね』落としちゃって取れないんだ。見張ってないと、小動物か虫に持ってかれちゃう」
「でも、ずっと見張ってるわけにもいかないでしょう?」
「大工さん呼んできてくれれば、たぶん敷居を壊さずにすぐに取ってくれるかもしんないけど、今は父ちゃんも母ちゃんも留守でさ~。ここ離れるわけにもいかないんだあ」
「じゃあ私が大工さんを呼んでくるわね」
「ほんと?!頼むよ!」
 こうしてミミは大工の家に向かった。

 ミミが大工の家に着くと、大工は何故かぐったりしていて、テーブルに突っ伏していた。
「あの、どうしたんですか?毛糸屋さんのところで、大工さんに来てほしいって言ってるんですけれど」
 すると大工は、げっそりした顔で答えた。
「悪いな、女房のメシを食わないと力が出ないんだ」
「奥さんはどちらに?」
「友達の城の料理人とこにお喋りに行って、帰って来ないんだ」
「じゃあ私が呼んできますね」
 こうしてミミは、城に向かった。

 城の台所に着くと、料理人の女と大工の妻が、鍋で何やら煮込みながら困っていた。
「大工さんの奥さんですか?ご主人が、奥さんのお料理じゃないと力が出ないって、ぐったりしてますよ」
 ミミが言うと、大工の妻は困ったような顔で答えた。
「あらまあ、ほんとかい!でも悪いね、もうちょい待ってもらっておくれよ、あたしゃ友達に秘蔵のメニューを教えにきたんだけどね、仕上げに使うエラフィタ産キャベツがまだ届かないんだよ。特別な火の通し方をするからね、あたしが居ないと料理が仕上がらないのさ」
「じゃあ私が、エラフィタに行って取ってきますね」
「そりゃ助かるよ!ありがとね!」
 こうしてミミはルーラを唱えてエラフィタに向かった。

 ミミがエラフィタのキャベツ畑に着くと、畑の持ち主らしい男が、おろおろと困っていた。
「どうしたんですか?」
 ミミが尋ねると、男は答えた。
「いやあ、ちょっと目を離した隙に、かまっちのヤツが今日収穫分のキャベツをみんな刈り取って持ってっちまってなあ」
「じゃあ私が取り返してきますね」
「おおそりゃ助かるよ!頼むよ!」

 かまっちが逃げた方向を聞いてミミがそこへ向かうと、かまっちは刈り取ったキャベツの上にどっかりと座っていた。
「どうしてこんなことをするの?キャベツを返して!」
 ミミが(彼女にしては)目一杯厳しい表情をして言うと、かまっちはすねた声で答えた。
「ヤダよ。今日はデッドペッカーがブランコ遊びしてくんなくて、つまらないんだー。グレてやるー」
「関係ないキャベツに八つ当たりしても仕方ないでしょう」
 そう言ってミミが近付こうとすると、かまっちは叫んだ。
「近付くな!近寄ったらキャベツをみんな切っちゃうぞ!」
 人質ならぬキャベツ質にミミは躊躇した。すぐに帰れるつもりだったので、弓矢など遠距離攻撃の武器を持っていなかったのだ。それに、石つぶてなどでかまっちを倒すのは簡単だったが、モンスター界ではちびっこの面倒をよくみると評判のデッドペッカーが今日に限ってかまっちと遊んでやらないことがちょっと気になった。そこで物好きにもミミは、デッドペッカーのところに行くことにした。

 デッドペッカーのところに行ってみると、ブランコ遊びができるどころでなく気分が悪そうだった。巨大な鳥の頭だけが鳥の脚にのったようなこの魔物は、大きなくちばしを震わせてさえいた。
「どうしたの?」
 病気かと思ってミミが尋ねると、デッドペッカーは答えた。
「うう、昨日うっかり酔っぱらう木の実を食べ過ぎて、二日酔いなんだ~」
 なるほど、それでは確かにブランコ遊びどころではないだろう。聞くんじゃなかったとミミは思ったが、「超ばんのうぐすり」を取り出してあげようとすると、デッドペッカーは弱々しく言った。
「残念ながらそういうの効かないんだ。すごく効く薬が隠してあるけど・・・」
「けど?」
「隠し場の前に、でかくてすばやいネズミが待ち構えていて、隠し場の重石をどけたとたんに中に駆け込もうとしてるんだ~。普段ならすぐに追い払うけど、今は動くのもちょっと・・・うう~」
 それならネズミにどいてもらおうとミミがその隠し場のところに行くと、なるほど確かに大きめのちょっと獰猛そうなネズミが目を爛々とさせていた。ミミは脅かしてみたが、ネズミは逃げない。そこで、それこそ石つぶてで追い払おうとしてみたが、何故か逃げない。こうなったら可哀想だけどしっぽをつまんで放り投げようかと考えていると、そこへ偶然「ねこまどう」が通りかかった。
「お、ネズミに困っているにゃ?」ねこまどうは言った。
「まあね、そうなの」
 ミミが答えると、ねこまどうは顔を洗いながら言った。
「追い払ってやってもいいにゃ。ただし・・・」
「ただし?」
「ワシの自慢のツメを、更に可愛くしてくれる凄腕ネイリストを連れてきてくれたらにゃ~」
 おしゃれさんなねこまどうなんだなあとミミは妙なところで感心し、ちょうどいいからサンディにお客さんとして紹介してあげようと考えて、アギロホイッスルを吹いた。

 天の箱舟の中に入ると、アギロは居たがサンディは居なかった。
「アギロさん、こんにちは。サンディは?出かけちゃった?」
「あいつなら、自分の部屋に居ると思うぜ」
 そこでミミは三両目のサンディの部屋に行ってみると、中にサンディは居なかったので、旅の扉に飛び込んで、神の国に行ってみた。すると案の定、サンディは彼女の言うところの「おねーちゃん」の女神セレシアとお喋りをしていた。主に喋っているのはサンディで、セレシアは頷いていることが多かったが。
「あれっ、ミミじゃん!どしたの~?」
 サンディがミミに気付いて驚くと、ミミは彼女とセレシアに律義に挨拶してから、ここに来た目的を伝えた。
「え~、ネイルのお客さん?今チョータルいし~、それにモンスターのツメを可愛くデコるなんてぶっちゃけあり得ないんですケド!」
 すると、それまで黙って話を聞いていたセレシアが、優しくも諭すようにサンディに言った。
「サンディ、あなたはプロのネイリストになったのでしょう?今のはプロとして相応しい発言かしら?」
「・・・。わかったわよ~、じゃあさっさとその客のトコ行くわよ、ミミ!」

 こうしてミミがサンディをねこまどうのところに連れていくと、ねこまどうはさっそくネズミを追い払ってくれた。
 ネズミを追い払って隠し場の薬を飲めたことでデッドペッカーは元気になり、かまっちのところに行ってブランコ遊びをしてやれると言った。
 ふてくされていたかまっちは、ブランコ遊びができると聞いて喜んで、人質ならぬキャベツ質をみんな返してくれた。
 キャベツを無事取り返したことをキャベツ畑の主に知らせると、彼は喜んで届けるキャベツをくれて、せの他にもリッカの宿屋にも上等のキャベツをたくさん届けると約束してくれた。
 セントシュタイン城の台所にキャベツを届けると、大工の妻は喜んでさっそく料理の仕上げを終え、料理の一部を分けてもらい、ミミと一緒に自宅に帰ってきて、夫に食事を出した。
 大工はガツガツと食事を済ませるとたちまち元気を取り戻し、仕事道具を持ってはりきってミミと一緒に市場の毛糸屋に向かった。
 大工が毛糸屋の敷居を調べ、手を加えると、はまりこんでいたちからのたねは無事に取り出され、男の子はにこにこしながらミミに言った。
「ありがとう、お客さん。で、どんな毛糸が欲しいの?」
 ミミがやわらかウール製の青い毛糸が欲しいことを伝えると、男の子はしばらくごそごそ探していたが、やがて顔を曇らせて答えた。
「ごめんね、青いのは今、切らしてるみたい~」
 それを聞いてミミは、ちょっと残念そうな顔をした。普通の人ならへたへたと座り込んでいるところである。が、ミミはこの手の苦労には慣れっこだった。
「カルバドに行けば、手に入るかもだけど・・・仕入先だから」
 男の子は言って、お詫びにとさっきようやく取り出せた「ちからのたね」をくれた!

 なるほどカルバドならやわらかウール製毛糸がありそうと、ミミはルーラでカルバドに飛んだ。すると、青い毛糸は今ちょうど新しいのを作る前で、染料はあるがやわらかウールが季節柄売り切れていて、やわらかウールを羊から採取しようにもゲンキ草を食べ過ぎて羊が柵の中に帰らず、困っているところだった。
 そこでもミミはくじけず「オオカミアタック」のオオカミを使って羊たちを柵の中に追い込み、やわらかウールを採取し、毛糸に紡いでもらって、青い染料と一緒にもらった。錬金すれば、早く青い毛糸が仕上がるのだ。

 錬金釜カマエルに青い毛糸を作ってもらってようやくリッカに渡すと、リッカはとても喜んだ。
「ありがとう、ミミ、ずいぶん早く持ってきてくれて♪ミミが錬金で作ってくれた毛糸だから、よけいに嬉しいな」
 リッカにとても喜ばれて嬉しかったので、実は長~いおつかいだったことはおくびにも出さず、ミミはにっこり微笑んだ。

 リッカの宿屋の自室にミミが戻ると、今日は頼まれて城の図書室から借りた古文書の翻訳をしていたイザヤールが、ちょうど作業を終えたところだった。
「おかえり、ミミ」彼は書き物机から立ち上がり、ミミをきゅうと抱きしめて微笑んだ。「市場で、何か面白い物があったか?」
 リッカが喜んでくれて疲れなど無くなったうえに、こうして愛しい人にねぎらわれれば、HPもMPも完全回復状態になる。ミミは、楽しげな笑い声を小さくもらして答えた。
「はい、とっても☆」
 そして今日のおつかいの顛末を、ゆっくりと話し始めた。〈了〉
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