セントシュタイン三丁目

DQ9の二次創作(主にイザ女主小説)の、全くの個人的趣味なブログです。攻略の役には立ちません。悪しからずご了承ください。

正義のヒロインに憧れて

2017年08月27日 02時57分42秒 | クエスト184以降
またたいそう更新遅れてしまいました〜ごめんなさい〜の追加クエストもどき。今回ミミも仮面着用正義の味方にさせようかとも思いましたが、本人が恥ずかしがってやりそうもないのでまたの機会にすることにしまして、仮面作りメインと相成りました。DQ11の仮面武闘会ネタもいずれやってみたいです。そして文中、サンディがこっそりメタネタ言っています(笑)実際には将軍は別に乗馬しながら武器は振り回していない気もしますが、剣を片手に乗馬なイメージなんだよなあ。

 元守護天使、現在地上の守り人としての日々を送るミミとイザヤールは、今日も宝の地図の洞窟の魔王退治から落とし物のお届けまで、大小様々な人々の困りごとや願いを解決していた。世界の滅亡の危機クラスの出来事を解決などしょっちゅうだが、人間たちは誰もそんな危機があったことすら知らず、もちろん功労者のことを知る者もほとんど無く、日々の平和を享受している。
「人間たちものんきよね〜。アンタたちのおかげで世界は平和なのに、な〜んにも知らないんだから」
 帰路の天の箱舟の窓から地上を見ながら、サンディが呟いた。
「それでいいと思うの」箱舟の運転をしながら、ミミはにっこり笑って言った。「幸せっていうものは、当たり前のものじゃなくて、とっても大切なものだってわかっていてくれれば」
「アンタが言うと説得力があるわね〜」サンディは苦笑してから、ふと真面目な顔になって続けて言った。そんなときの表情は、やはり女神セレシアの面影があった。「・・・ミミ、アンタは今・・・すっごく幸せ?」
「うん」ミミは深く頷いた。「これ以上無いくらい」
「アンタはもっともっと幸せになっていいんだからね」サンディは真剣な声で言ってから、急に照れたようにおどけた。「世界を救った勇者サマ!そんな感じでもっと称えられてちやほやされてもいーのにね!そしたらアタシも、プール付き豪邸のアンタとイザヤールさんのお屋敷に堂々と居候できるのに〜」
「リッカの宿屋が今の私たちの家のようなものだし。プール付きでしょ?」
「まあ確かに天使の泉はプールっちゃプールだし、ロイヤルルームもゴージャスだけどさ〜。でもアンタたちってホント欲が無いよね〜。元天使だからとか?」
「あんまりちやほやされちゃうとかえって困っちゃうから、今くらいの人助けペースがちょうどいいなあ」
 ミミの言葉に、サンディはニヤリと笑って言った。
「そっかー、あんまりに有名人になりすぎると、イザヤールさんとゆっくりおデートもできなくなるもんね〜」
「さ、サンディ・・・」
「いっそ仮面でもかぶって人助けした方がいーんじゃない?美少女天使仮面ミミ参上!とかって」
「それ、すごく恥ずかしいような気がするんだけど・・・」
 そこへ、機関部の手入れをアギロと一緒にしていたイザヤールが戻ってきて、その話題はうやむやになったが、しかし、間もなくそんな話題と関係したクエストを頼まれるとは、そのときの三人はゆめにも思わなかったのだった。

 翌朝ミミとイザヤールは、朝食を済ませた後パラディン装備でロビーに降りてきた。この頃二人は、馬に乗りながら武器を扱う修行に更に凝っていたのである。暑いと馬が可哀想なので、夏はステップ気候により比較的快適なカルバドに移動する予定だった。
「昨日あんなに働いて今日は乗馬訓練?どれだけ修行バカなのよアンタら〜」
 サンディは呆れ顔をしながら今日は出張ネイルに出かけたが、カルバドの乗馬の達人たちとの実戦訓練は、なかなか有意義なのだ。それに、訓練後は二人で草原を馬で駆ける楽しみもある。それを言うと「やっぱりおデートじゃん!」とからかわれそうだったので言わなかったが。
 イザヤールが馬に与える特別な人参を厨房にもらいに行っている間、ついでにカルバドの前族長ラボルチュに頼まれている特やくそうを作っていこうと、ミミはカマエルのところに行って何個か錬金をした。すると、そこへ「フェンサードレス」を着こなした派手な化粧の若い女性が駆け寄ってきた。彼女は、錬金釜を使いこなすミミをまじまじと見つめてから言った。
「不器用で有名なパラディンなのに錬金ができるなんて!あなた、かなりの錬金術師ね?」
 それはひどい偏見だなとミミは思ったが、返事をする間もなく女性は続けて言った。
「そんなあなたにお願いがあるの!あたし、強くて美しい正義のヒロインにすっごく憧れているんだ!しかも、自分の手柄を誇ることなく、人助けしたら颯爽と去っていくヒロインに!で、正体不明だったら更にカッコいいじゃない?そんなヒロインになるには『ファントムマスク』を装備すればぴったりだと思うんだ!ねえお願い、その錬金の腕を活かしてファントムマスクを作ってくれない?」
 どうやらこの女性は形から入るタイプらしい。魔法戦士職に就いたのも、おそらく「見た目が一番正義のヒロインっぽいから」という理由なのだろう。
 理由はどうであれ、人助けをする人が地上に増えるのは大歓迎なので、ミミはファントムマスクを作ることを承諾した。ファントムマスクを作るにはかなりの材料集めが必要なので、ミミは何日か後に取りに来るように頼んでから、クエスト「正義のヒロインに憧れて」を引き受けた!

 ファントムマスクを作るには、様々な材料が必要だが、殊に「あやかしそう」や「みかわしそう」がたくさん必要だ。とりあえずあやかしそうの方は、今日行くカルバドから少し足を伸ばしてヤハーン湿地で手に入れようとミミが考えているところへ、イザヤールが厨房から出てきた。何故か何か楽しいことがあったような顔をしている。
「ミミ、リッカが今朝仕入れたアシュバル産人参の葉っぱの中に、たくさん『みかわしそう』が混じっていたらしいぞ。オマケなのか純粋に間違いなのかどっちなんだろうな。道具袋の中のみかわしそうがちょうど少なくなってきていたから、リッカに頼んでもらってきた」
 そう言ってみかわしそうを差し出すイザヤールを、ミミは信じられない神々しいものを眺めるように見つめてから、思わず彼にきゅうと抱きついて叫んだ。
「ありがとうイザヤール様!ありがとうリッカ!もう二人とも大好きすぎるくらい大好き!」
 みかわしそうくらいでそこまで大感激されたことに戸惑いながらも、ミミの思いがけない大胆な愛情表現に喜んだイザヤールは、依頼されたクエスト内容を聞いて納得した。
「なるほど、ちょうどみかわしそうが必要だったのだな。それにしてもものすごい偶然だな、まるで妖精のいたずらか何かみたいだ」
 その頃、アシュバル地方在住の妖精たちが、くしゃみをしたとかしなかったとか。
 それはともかく、予定通り二人はカルバドの集落に出かけた。ナムジンをはじめとする乗馬の達人の指導を受けながら、今日はイザヤールは馬に乗りながら柄の長い斧を使う練習を、ミミは槍を使う練習をした。カルバドの馬は魔物も蹴散らせるほど勇敢なので、怯えて言うことを聞かないということもなく、訓練は順調に行われた。
「そういえば、サンディが、『馬に乗って武器を振り回したら、まるでデルカダールの将軍じゃん』って言ってたけど、なんのことでしょうね?」
「よくわからんが、あまり深く追及しない方がいい話題な気がする・・・」
 訓練を終えた後、二人は馬で平原を駆け抜け、ヤハーン湿地にあやかしそうを取りに向かった。湿地の瘴気は馬に良くないので、草原が終わる手前で馬を放してやった。馬はよく訓練されているので、こうすれば自分で集落に戻ってくれるのだ。
 無事にあやかしそうを手に入れ、ミミとイザヤールはカルバドの集落にルーラで戻り、ナムジンの家で馬乳酒とチーズをご馳走になってひと休みしてから、またルーラでサンマロウに飛んでサークレットを買い、夜の涼しくなる頃を見計らってグビアナに飛んでバザールでビロードのマントとやみのターバンを買い、その夜はグビアナの宿屋に泊まることにして、オアシスの傍らで星空を眺めながら忙しい一日を終えた。

 翌日はみかわしそうとあやかしそうとちょうのはね集めに費やしてから、リッカの宿屋カウンターカマエルの前に戻ってきて、いよいよファントムマスクの作成を始めた。
 まずはサークレットとちょうのはねとみかわしそうを使ってバタフライマスクを作り、装備袋にあったどくがのナイフをセントシュタイン入口に落ちているどくがのこななどを使ってバタフライダガーにし、バタフライダガーにやみのターバンとちょうのはねを加えてよるのパピヨンにした。そしてバタフライマスクによるのパピヨンとあやかしそうを加えてパピヨンマスクにした。
 一方ビロードのマントによるのとばりとみかわしそうを加えてやみのころもにし、パピヨンマスクとみかわしそうを合わせて、ようやくファントムマスクが完成した!
「改めて一から作ってみると、なかなかの手間だな。性能が優れているだけのことはある」イザヤールが完成したファントムマスクを眺めながら言った。
「たいへんだったけれど、けっこう楽しかったの♪お付き合いありがとう、イザヤール様」
「おや、今日は大好きと言ってくれないのか?」
「き、昨日は人前なのを忘れてつい・・・」ミミはうろたえ赤くなったが、もじもじしながら小さな声で呟いた。「でも・・・イザヤール様、大好き・・・」
 冗談で言ったことを律義に愛らしく返されて、イザヤールは動揺し照れつつも嬉しそうに微笑み、こうしてリッカの宿屋のカウンター前は甘々な空気に包まれたが、そこへまるでツッコミのように依頼人が現れた。
「ちょっと早いけど、待ちきれなくて来ちゃったわー!ファントムマスクできた?」
 ミミが完成したばかりのファントムマスクを渡すと、依頼人はさっそく着用し、ほれぼれと鏡を見つめた。
「ん〜っ、いいわ〜、すっごくいい!あたし、このファントムマスクで正体隠して、謎の正義の美少女ヒロインとして、頑張るわ!本当にありがとう、これはお礼よ!」
 ミミは「はやぶさの剣改」をもらった!
 ファントムマスクで正体を隠せるかはともかく、彼女が正義のヒロインとしてたくさん人助けをしてくれるようにと、ミミは心から願った。
 ところが数日後。依頼人の女性は、今度は魔法戦士装備ではなく、「おどりこの服」にファントムマスクで再びリッカの宿屋を訪れた。ミミが転職したのかと尋ねると、彼女は意気揚々と頷いた。
「そう!時代の正義のヒロインは、今や旅芸人よ!あのね、あたしはまだ本人に会ったことないけど、この宿屋にもよく出入りしている、ミミっていうすごい美人でグラマーで強い踊り子がいて、彼女は次々と困っている人を助けているんだって!まさに正義のスーパーヒロインよね!憧れちゃうわ〜。ま、あたしの方が美貌では間違いなく勝っていると思うけどね!」
 リッカの宿屋に頻繁に出入りしているミミという踊り子は一人しか居ない。ミミは自分のイメージのハードルが勝手に上がっていることに困り、自分がミミだと告げたらがっかりさせるのは確実だが、イメージを修正してもらうには名乗る方がいいのかと悩んでいる間に、依頼人ははりきってまた出かけてしまった。
 その後、ファントムマスク着用の踊り子が各地で人助けをしているとの話があちこちから入ってきたが、彼女は結局、助けた相手が好みのタイプだと名前を教えてしまっていて、正体不明の正義のヒロインにはなりきれていないようだった。そして、ファントムマスク姿よりすっぴんで人助けした方が全く正体がバレず、どういう意味よ!と大いに立腹したという。〈了〉
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2 コメント

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オーラはどこへ (津久井大海)
2017-08-29 11:30:57
神々麗夜様

いらっしゃいませこんにちは☆目立つのに目立たない、それがドラクエシリーズの主人公の宿命・・・?たとえ本人を目の前にしても。
正義のヒロインの名前ってそういえば自称なのかマスコットみたいなキャラがつけるのかをあまり認識してないことに今さらながら気付く。自分で「美少女○○」と名乗るの勇気要りますような。

確かにロトシリーズや天空シリーズはけっこう褒められるのに、8〜は割とあっさりですよね(笑)7の世界を救った勇者と認識されてのあのあっさり加減も少々気になりますが(爆)

ラブラブモードから外されている彼氏さん、もっと・・・もっと頑張ってくださいまし(涙)
そしてヒロイン?が一番助けを必要としてたからって早くも打ち切りですか師匠(笑)助けてくれる仲間は現れ・・・ないんだろうなあ・・・。
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本人目の前にいますw (神々麗夜)
2017-08-28 23:38:52
あ〜正体不明の謎のヒロインなら本名を名乗っちゃダメでしょ!
もしくはヒロイン名考えておこう!
まぁ依頼主の性格からして直ぐバラしそうですが

そういえば8、9、10(の1stパッケージ)ってその世界でのラスボスの知名度が低い事もあって主人公が世界を救った勇者として認識されないんですよね、9に至ってはラスボスが世界に影響を与える前に防いでいますし


リリン「あたくし達、もう少し世界を救った勇者って賞賛されても良いのに…皆からチヤホヤされて何不自由ない生活して…」
ククール「俺も暗黒神の時似たこと考えたなぁ」
リリ「…まぁ欲しい物が簡単に手に入っても面白くないわよね、刺激がないのも退屈ですし」
クク「ったく欲があるのかないのか…まぁリリンはそれで良いと思うよ、俺もリリンのそういう所好きだし」
リリ「ククール…///」
シェルル「何サラッと好きって言ってんの」
クク「シェルルいたのか、デートの邪魔するなよ」
シェ「いたよ⁉︎つかデートって何⁉︎」
その頃…
イザやん「困っている人をキュピッ!とお助け!ミラクル☆イザやん!」
リッカ「イザやん何遊んでいるの!掃除終わってないじゃない!」
イザやん「困っているのって私だった!助けて〜」

お詫び『ミラクル☆イザやん』は本日を持って打ち切りとさせていただきます。
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