セントシュタイン三丁目

DQ9の二次創作(主にイザ女主小説)の、全くの個人的趣味なブログです。攻略の役には立ちません。悪しからずご了承ください。

峠の雪かき

2015年01月31日 04時25分29秒 | クエスト184以降
携帯握ったまま居眠りして明け方になっちゃったよ!の追加クエストもどき。睡魔マジ最強。それはさておき、津久井在住南関東でも珍しく雪が降ったということで、雪関連クエストにしてみました。雪かきという生活感あふれるものとはいえ、ただの雪かきで済む訳が無いのが当サイトのお約束(笑)セントシュタイン兵は、黒騎士事件やいにしえの魔神事件やルディアノのことなどの各種クエストで、主人公たちとすっかり仲良しなイメージ。イザヤール様なんかかなり尊敬されていそうです。

 エルマニオン地方が豪雪なのは通年だが、穏やかな気候のセントシュタインにも、珍しく大雪が降った。子供たちは大喜びだが、大人たちは雪かきやボイラーの点検やらに追われて大忙しだった。
 ミミとイザヤールも、リッカの宿屋の周辺や、近くの通りの雪かきをした。街中なので、さすがにメラミで一掃、という訳にはいかない。地道に片付けるしかないのだ。とはいえ、そこはこの二人である。武器がスコップに変わろうと、そして相手が雪であろうと、コンビネーションと一掃っぷりが相変わらず最強クラスだった。ちなみにリッカの宿屋のスコップは、いたずらもぐら特製品であるという噂もあるが、真偽のほどは定かではない。
 その後二人が、どけて積んだ雪を近所の子供たちの為に雪だるまにしてやっているところへ、セントシュタイン城の兵士たちが通りかかった。彼らは慌ただしく通り過ぎようとして、ミミとイザヤールに気付いた途端引き返してきた。
「ミミ殿、イザヤール殿!いいところにいらしてくださいました!よろしかったら、今から我々と一緒に来てもらえませんか!」
「何かあったんですか?」
 ミミは首を傾げて尋ねた。心配そうに僅かに眉をひそめる様が可憐で、うさぎのしっぽとやわらかウールで作った可愛らしい耳当てまでしている彼女は、こんなふうに城の兵士たちにも頼りにされている凄腕冒険者には到底見えない。そんなミミの見た目と強さのギャップに馴れている筈の兵士も、一瞬ぽっと顔を赤らめてから答えた。
「セントシュタインとウォルロ地方を結ぶ峠の道も雪で埋まってしまったんですよ!長いこと通行止めではいけませんから、我々が出動という訳です。人手が多いほど助かるんですが。手伝いお願いできませんか?」
 それは放っておけない。ミミとイザヤールは快諾した。ちょうど雪だるまも作り終わったところであることだし。ミミたちはクエスト「峠の雪かき」を引き受けた!

 二人は、セントシュタインの兵士たちと一緒に峠の道の雪かきに向かった。キサゴナ遺跡を使った通行ルートは、一般人はまだ規制されているとはいえ、城の兵士たちや熟練冒険者であるミミたちは問題無く通れたので、隊を二つに分けて、セントシュタイン側とウォルロ側両方から掘っていくことになった。
「では、イザヤール殿はこちらの隊と一緒に、ウォルロ側からの作業をお願いします」今回の任務の責任者の兵士が言った。「ミミ殿と両側から雪を掘ってもらえば、きっと作業効率が更に上がると思うので。ミミ殿、我々ウォルロ側の隊は、そちらの隊が移動の間、先に掘り進めていましょう」
 ミミとイザヤールは承知して、イザヤールは他の兵士たちと一緒に、キサゴナの丘の方に向かうことになった。
「しばしのお別れだな」
 イザヤールが冗談めかして囁いた。
「早く雪をどければそれだけ早くイザヤール様に会えるんですよね。私、頑張るっ」
 そう言ってミミがぎゅっと拳を握りしめた様が大真面目で可愛らしかったので、イザヤールは笑って彼女の頭にぽむ、と手を載せて、優しくなでた。その様を見て、兵士たちが口々に呟く。
「ミミ殿が向こう側で待ってると思えば、拙者だって頑張れる!」
「いいなあ。オレだって、女房が向こうで待ってたら頑張れるのに~」
「ホントに待っててもらったらどうだ?」
「・・・寒いから外に出るのもヤダって、朝もベッドにもぐったままでいってらっしゃいって手ぇ振られたから、まず見込みないよ・・・」
「そ、そりゃ悲しいなあ・・・」
「ぼ、ボクは部隊長が向こうで待ってると思えば頑張れるっすvvv」
「?!」
 若干不思議なぼやきもあったが、聞かなかったことにされて、一同は二手に別れた。
「気を付けてな」
「イザヤール様も、皆さんも」
 ミミはキサゴナの丘に上りながら手を振るイザヤールに名残惜しげに手を振り、雪をさくさく踏み分けながら峠の道へ向かった。

 ミミたちがセントシュタイン側の峠の道の入り口に到着すると、切通状の道はすっかり雪が詰まっていた。どうやら、狭い山あいの道を吹雪が通ったことで、ちょうど吹きだまりになってしまったらしい。ここまでの街道は、槍をスコップに持ち変えた兵士たちが横一列に並んで進軍のように進んだことで、人がちゃんと通れるくらいの道となったが、ここではその方法は効きそうもない。
「ウォルロ側まで雪が詰まっているんですか?」ミミは尋ねた。
「ええ。ウォルロからセントシュタインに抜けて来ようとした旅人が、通れなくて仕方なくキメラの翼を使って来たということなので、間違いないと思います。凍って硬くなると更に厄介ですね」
 兵士の一人が答えると、ミミは濃い紫の瞳をきらりと光らせて言った。
「では、少なくとも道の途中までは、誰も居ないってことですよね?」
「?ええ」
「それなら、私が先頭に立って少しずつメラミを撃っていきます。先に誰も居なければ街中と違って危なくないですよね。そうやって雪を溶かせば、作業は楽になりませんか?」
「ええ、それはもう。ではミミ殿、お願いします」
 ミミは魔法使いに転職し、注意深くメラミを唱えて放った。より威力が強力なメラゾーマやメラガイアーを使わないのは、いっぺんに雪を溶かすと、雪崩を起こしてかえって危険だからだ。ミミのメラミで真ん中が溶けて崩れ落ちた雪を兵士たちが道の両脇に避けていき、少しずつではあるが、作業は順調に進んでいくと思われた。
 だが、しばらくすると、何故かメラミを放っても、雪が溶けなくなった。道を塞ぐ雪をよくよく見ると、凍りついて氷壁のようになっている。そして、漂ってくる強烈な冷気を、その場に居る全員が感じた。吹雪自体はもうとっくに止んでいる筈なのだから、雪が降ることによる冷気ではない。この奥に、何かの気配を感じる・・・!
 ミミは進むのを止めて、兵士たちに身振りで立ち止まるよう促した。彼らもミミの気付いた気配を感じたのだろう、全員無言で立ち止まり、スコップを槍に変えて身構える。
 キサゴナ遺跡から回り込んだ別動隊にしては、明らかに早すぎる。それどころか、禍々しさまで感じさせる、この気配は・・・。
 溶かす目的ではなく、挑発の為にミミがもう一度メラミで火の玉を放つと、氷壁に細かいヒビが入っていき、割れて砕けたその向こうから、氷河から生まれた氷の魔物、「ひょうがまじん」が現れた!常ならばこの辺りに居る筈もなく、ましてや聖なる加護があるらしいこの道に現れる筈もないが、とにかく今は現れてしまっている。大雪に伴って現れたのか、それともこの魔物が出没した為に常ならぬ大雪が降ったのか。いずれにせよ異常事態の為にミミは思わず唇を噛みしめた。
 炎の攻撃に弱いひょうがまじんは、ミミのメラミでだいぶダメージを受けていたようだったが、それでもまだ倒れずこごえるふぶきを吐いてきた!ただでさえ狭い道なところへ両脇も雪なので、ミミはほとんど一人でその打撃を受けることとなった。
「ミミ殿!」
 彼女のすぐ後ろに居た兵士が叫んで、しっぷうづきでひょうがまじんにとどめを差した。
「ありがとう、大丈夫です」
 ミミが氷のかけらを振り払い答えると、別の兵士がベホイミをかけてくれた。だが、一息つく間もなく、巨大な氷の腕が、新たに雪の奥に見えた!ひょうがまじんは一匹ではなかったらしい。もはや雪崩の危険と言っていられず、ミミはメラゾーマを唱えた。魔力の高い彼女のメラゾーマは、炎に弱い氷の魔物を、一瞬で消滅させる。
 メラゾーマなら、かなりの回数唱える余裕がある。そして、仕留めそこねたものはセントシュタイン兵たちが、得意の槍の攻撃でフォローしてくれる。落ち着いていれば大丈夫、と、ミミは己に言い聞かせ、濃い紫の瞳の陰影を深くした。

 一方その頃、キサゴナ遺跡を抜けたイザヤールたちは、標高が高い分より雪が深いウォルロ地方を進むのに少々苦戦していた。普段なら森を横断して近道もできるが、木の周りに吹きだまりを作っていて下手をすると膝まで埋まる雪道では、なかなかそうもできない。翼があった頃はつくづく楽をしていたのだなと、イザヤールは改めて思った。
 それでもようやく街道の方に出ると、何故かズッキーニャたちがせっせと雪かきをしていて、その辺りからは容易に進めるようになった。こうしてウォルロ側の峠の道の入り口に到着すると、一同は武器をスコップに持ち変えて、猛然と雪かきを始めた。イザヤールだけでなくこちらの班は全員パワー系だったのか、迂回の分の遅れを取り戻す勢いで、塞いでいた雪はみるみるどけられていく。
 しばらくして、彼らもまた、氷の壁に行く手を遮られた。反対側の更に奥では、ミミたちがひょうがまじんと戦っているのだが、それを知る由もない。スコップで少しずつ突き崩してはみたものの、これでは埒があかないと、イザヤールは「ハイパードリル」を装備した!
「イザヤール殿、用意がいいですね。何故そんなものを?」
 兵士の一人が尋ねる。
「雪が既に凍りついて硬くなっていた場合に備えて、持ってきておいた」
 イザヤールは事もなさげに答えて、ハイパードリルを使って特技タイガークロウにネイルスクラッチを放った!連続攻撃の技で何度も削られた氷の壁は、分厚さもむなしく瞬く間に砕け散った。
 だが、歓声を上げる間もなく、氷壁の向こうではミミたち別動隊が、この辺りには居ない筈の魔物ひょうがまじんと戦っているのを見て、こちらの兵士たちもスコップを槍に持ち変えて援護にかかった。イザヤールはファイアフォースを発動して、全員に炎の力をまとわせ、自らはひょうがまじんが物質系の魔物なのを幸いに、装備をハイパードリルのまま攻撃にかかった。挟み撃ちの形にされひょうがまじんたちは怯み、やがて遂に最後の一匹まで倒れた。
「大丈夫か、ミミ!いったい何があった?!」
 イザヤールがミミに駆け寄り、抱きしめるようにしてから尋ねると、MPをかなり消耗して疲れた様子の彼女は、愛しい者の腕の中で安堵の色を浮かべながら、氷壁の向こうから何故かひょうがまじんが次々現れたことを話した。
「いずれにせよ、お互いご無事で何より。峠の道の雪も取り除くことができましたし、ひとまずセントシュタインに戻りましょう」
 今回の責任者の兵士が言い、キメラの翼を投げて、一同はセントシュタインに戻った。

 帰ってから、城で兵士長をはじめ王やフィオーネ姫にもねぎらわれ、今回の担当の兵士からはお礼にとちからのたねももらい、その後宴会に突入して、ミミとイザヤールがリッカの宿屋の自室に戻ったのは、夜もだいぶ更けてからだった。部屋にはサンディが遊びに来ていて、開口一番お礼を言われた。
「今日はありがとね~☆アタシのダチたちが助かっちゃったって言ってたワヨ☆」
「え?何のこと?」
 聞くと、峠の道にひょうがまじんが出没した理由は、「ふゆしょうぐん」が冬を長引かそうと、ひょうがまじんを大量に封印したツボを持って移動していて、峠の道の上の山を通りかかった時に、うっかり落としてしまったことが原因だったという。それでウォルロ地方の妖精たちが困っていたのだそうだ。
「これで順調に春が来るってさ~。そうそう、これ妖精たちからのお礼だって。うふふいや~んな雰囲気になれる薬らしーんですケド」
「いらないもん・・・」
「いるかっ!返しておいてくれ!」
 妖精たちのお礼はともかく、おかげで今年は順調に春がやってくるらしい。そのときが来るまでは、まだ何度か雪は降るであろうけれど。〈了〉
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