書き上げたところで寝オチしたので、今のアップとなりました単にイチャなハロウィンイザ女主話。今週の追加クエストもどきの少し前の時間の出来事ですが、ストーリーは直接の関係はありませんのでそれぞれ独立した話として読めます。イザヤール様がウィッグ着用ですので、髪の毛ありイザヤール様NGの方ご注意。ステキなハロウィンをお過ごしくださいませ☆
今宵は、死者の魂たちが帰って来る日。善なる者だけでなく、悪霊も・・・。だから、子供たちに魔物や死霊の扮装をさせて、仲間だと思わせて死霊たちが害を為すのを防ぐのが、ハロウィンの仮装の由来だという。
(子供たちだけでなく、連れて行かれやすい者も、そうやって守ってやらねばな・・・)
そう内心呟いたのは、わざと汚し裾を裂いた海賊装備一式に、乱れた長い銀髪を垂れた、精悍な顔立ちの男。さ迷える海賊船の幽霊船長の仮装をさせられた、イザヤールだ。ククールヘアをほどき、乱れた長髪にしたウィッグをかぶせられていることで、まるで雰囲気が違って見える。
彼の視線の先には、大判の布をかぶって「ゆうれい」に扮装しようと悪戦苦闘中のミミが居る。あの淡い薔薇色の頬も。もっと濃い薔薇色の唇も。生き生きと煌めく濃い紫の瞳も。全て死者たちが羨む生命の証。だから、慎重に隠さなくては。愛しい彼女を、連れて行かせない為に。
イザヤールがミミのゆうれい衣装の着用を手伝うと、彼女は深くかぶったフードの下から目を覗かせて、はにかみながらお礼を言った。それから、彼を不思議そうに見上げた。
「どうした?」
「イザヤール様・・・どうして私を心配そうに見ているの?・・・裾を踏んで転びそうだから?」
それを聞いて、イザヤールは思わず吹き出した。
「いいや、違う。・・・だが、そんなに心配そうな顔をしていたか?」
ミミは、自惚れや勘違いではないかと案じ恥じらいながら、頷いた。それでイザヤールは、微笑んで答えた。
「大切なものは、ちゃんとしまっておかねばな、と思ってな。海賊のお宝みたいに」
「・・・?」
よくわからないと首を傾げながらも、ミミは手をそっと彼のあたたかい手に滑り込ませた。
この手を放さなければ、大丈夫だと。必ず守ると。やわらかな手の感触に、イザヤールは安堵と愛しさを覚える。それから二人は、扮装用メイク前の互いの素顔を、名残惜しそうに眺めた。これから、元の顔がわからないくらいの凄絶オバケメイクを、互いの顔に施さないとならないからだ。
「なあ・・・それにしても、なんでおまえは『ゆうれい』の仮装なんだ?」
「だって、幽霊船長のお供なら、『ゆうれい』じゃないかな・・・って思って」
それを聞いて、イザヤールはまた思わず吹き出した。それから彼は、いきなり彼女を抱き上げ、可愛いお供の唇に、優しくキスをした。
「メイクは無しでいい、出かけよう」
死霊や魔物がミミに寄ってきたら、ギガスラッシュやグランドクロスで撃退してやる。可愛い顔に釣られた男たちなら、ひと睨みで撃退だ。
ミミの頬は薔薇色に染まっている。食まれた唇は、紅くなって光っていた。彼女は、彼の胸板に頬をすり寄せ、グラデーションを描いた濃い紫の瞳を更に潤ませた。彼の鼓動を聞きながら、ミミは思う。この鼓動を。ぬくもりを。もう二度と、連れて行かせない。それと・・・
「扮装メイク無しだと、イザヤール様、たくさんの女の子に囲まれちゃいそう・・・でも、お供の私が、ちゃんとお守りするから」
うっとりと見上げながら囁くミミに、今度はイザヤールの方が不思議そうな顔をする。
「そんなことは無いと思うが?」
いくら扮装特殊メイク無しでも、こんなぼさぼさの長髪ウィッグに、ぼろぼろの海賊衣装では、怖がられるだけの筈だが。と、彼はきょとんとする。
そんなイザヤールにミミはかすかに苦笑を混ぜて笑いかけ、彼の頬に自分の頬をすり寄せた。イザヤール様、自分のことわかってないの。
しばらくして二人は、腕を組んで寄り添い部屋を出た。城下町は、ますます盛り上がりを迎える頃だろう。〈了〉
今宵は、死者の魂たちが帰って来る日。善なる者だけでなく、悪霊も・・・。だから、子供たちに魔物や死霊の扮装をさせて、仲間だと思わせて死霊たちが害を為すのを防ぐのが、ハロウィンの仮装の由来だという。
(子供たちだけでなく、連れて行かれやすい者も、そうやって守ってやらねばな・・・)
そう内心呟いたのは、わざと汚し裾を裂いた海賊装備一式に、乱れた長い銀髪を垂れた、精悍な顔立ちの男。さ迷える海賊船の幽霊船長の仮装をさせられた、イザヤールだ。ククールヘアをほどき、乱れた長髪にしたウィッグをかぶせられていることで、まるで雰囲気が違って見える。
彼の視線の先には、大判の布をかぶって「ゆうれい」に扮装しようと悪戦苦闘中のミミが居る。あの淡い薔薇色の頬も。もっと濃い薔薇色の唇も。生き生きと煌めく濃い紫の瞳も。全て死者たちが羨む生命の証。だから、慎重に隠さなくては。愛しい彼女を、連れて行かせない為に。
イザヤールがミミのゆうれい衣装の着用を手伝うと、彼女は深くかぶったフードの下から目を覗かせて、はにかみながらお礼を言った。それから、彼を不思議そうに見上げた。
「どうした?」
「イザヤール様・・・どうして私を心配そうに見ているの?・・・裾を踏んで転びそうだから?」
それを聞いて、イザヤールは思わず吹き出した。
「いいや、違う。・・・だが、そんなに心配そうな顔をしていたか?」
ミミは、自惚れや勘違いではないかと案じ恥じらいながら、頷いた。それでイザヤールは、微笑んで答えた。
「大切なものは、ちゃんとしまっておかねばな、と思ってな。海賊のお宝みたいに」
「・・・?」
よくわからないと首を傾げながらも、ミミは手をそっと彼のあたたかい手に滑り込ませた。
この手を放さなければ、大丈夫だと。必ず守ると。やわらかな手の感触に、イザヤールは安堵と愛しさを覚える。それから二人は、扮装用メイク前の互いの素顔を、名残惜しそうに眺めた。これから、元の顔がわからないくらいの凄絶オバケメイクを、互いの顔に施さないとならないからだ。
「なあ・・・それにしても、なんでおまえは『ゆうれい』の仮装なんだ?」
「だって、幽霊船長のお供なら、『ゆうれい』じゃないかな・・・って思って」
それを聞いて、イザヤールはまた思わず吹き出した。それから彼は、いきなり彼女を抱き上げ、可愛いお供の唇に、優しくキスをした。
「メイクは無しでいい、出かけよう」
死霊や魔物がミミに寄ってきたら、ギガスラッシュやグランドクロスで撃退してやる。可愛い顔に釣られた男たちなら、ひと睨みで撃退だ。
ミミの頬は薔薇色に染まっている。食まれた唇は、紅くなって光っていた。彼女は、彼の胸板に頬をすり寄せ、グラデーションを描いた濃い紫の瞳を更に潤ませた。彼の鼓動を聞きながら、ミミは思う。この鼓動を。ぬくもりを。もう二度と、連れて行かせない。それと・・・
「扮装メイク無しだと、イザヤール様、たくさんの女の子に囲まれちゃいそう・・・でも、お供の私が、ちゃんとお守りするから」
うっとりと見上げながら囁くミミに、今度はイザヤールの方が不思議そうな顔をする。
「そんなことは無いと思うが?」
いくら扮装特殊メイク無しでも、こんなぼさぼさの長髪ウィッグに、ぼろぼろの海賊衣装では、怖がられるだけの筈だが。と、彼はきょとんとする。
そんなイザヤールにミミはかすかに苦笑を混ぜて笑いかけ、彼の頬に自分の頬をすり寄せた。イザヤール様、自分のことわかってないの。
しばらくして二人は、腕を組んで寄り添い部屋を出た。城下町は、ますます盛り上がりを迎える頃だろう。〈了〉
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