セントシュタイン三丁目

DQ9の二次創作(主にイザ女主小説)の、全くの個人的趣味なブログです。攻略の役には立ちません。悪しからずご了承ください。

剣に封印された剣

2016年01月08日 23時59分46秒 | クエスト184以降
今週はギリギリ間に合いました~追加クエストもどき。不思議な剣を取りに氷の巨人と戦う話と思いきや・・・文中の剣のモデルはDQ3版ゆうわくのけんです。

 アイスバリー海岸にさとりそうの採取に向かったミミとイザヤールは、波打ち際に程近い場所で、人が倒れているのを見つけた。急いで駆け寄って助け起こしてみると、ギガントアーマーと分厚い毛皮で防御と防寒対策はしっかりされていたが、厳つい兜の下の顔はひどく蒼ざめていて、固く閉じられた睫毛は凍りついていた。装備が大男が使う物のように堅牢で最初は性別がわからなかったが、こうして顔を見るとどうやら若い女戦士のようだ。
 すぐに回復魔法をかけ、きつけそうの絞り汁を容器に入れて与えると、彼女はようやく目を開いて、何度かまばたきをしてから身を起こそうとしたので、ミミは慌てて止めた。
「無理をしないでください。私たち、怪しい者ではありませんから」
 ミミの言葉に、女戦士は小さく微笑み、それでもゆっくりと身を起こして言った。
「助けてくれたんだね、ありがとう。あんたたちが来てくれなきゃ、あたしは雪の中でそのまま冷たくなってるところだったよ。一人でもなんとかなると思ってたけど、このざまかあ・・・」
「いったい何があった?」
 この女戦士がなかなか腕の立つ者だと見てとったイザヤールは、そんな戦士が何故こんなことにと、尋ねた。
「あたしは、伝説のアマゾネスの剣を取りに、この辺りの宝の地図の洞窟に来たのさ。だが情けない、剣の封印を解くどころか、取る前に番人に負けちまって・・・」
「伝説のアマゾネスの剣?番人?伝説のアマゾネスの剣って、ヴァルキリーソードとは違うの?」
「全然違うよ、正真正銘特別な伝説の剣さ!伝説のアマゾネスの剣はね、氷の洞窟の奥深く、巨大な氷柱の中に眠っているのさ。その氷柱も、巨大な剣の形をしていて、それを番人である氷の巨人が装備している。剣を取るには、その巨人と戦って氷柱ごと奪わなければならない。あたしは巨人に勝てなくて、命からがら逃げ出して、洞窟を出たところで倒れたってわけさ」
「手強い番人だったのね。でも、ご無事でよかった・・・」
 ミミが呟くと、女戦士はよろよろと立ち上がった。
「それが、喜んでばかりもいられない。番人を一度起こしてしまえば、氷柱の部分、すなわちアマゾネスの剣を包む氷の剣部分がどんどん大きく分厚くなる。中の剣をますます取り出しにくくなるし、氷柱の剣を武器にする番人の力がますます増してしまう。なんとかしないと・・・」
 そう言いながら女戦士は歩き出そうとしたので、ミミは慌てて言った。
「傷は治っているとはいえ、無茶です!ちゃんと休んでからにしないと・・・」
「でも、こうしている間にも剣は・・・」
「それなら、私たちも同行させてください。伝説のアマゾネスの剣、見てみたいし」
「剣を覆う巨大な氷柱の剣と、氷の巨人もな。興味深い」
 ミミとイザヤールが口々に言うと、女戦士は嬉しそうにしながらもためらった。
「ほんとかい?そりゃ一緒に来てもらえれば助かるけど・・・。でも、ほんとにいいのかい?」
 もちろん、とミミとイザヤールは大きく頷いた。
「ありがとう!じゃあお願いするよ!」
 ミミたちはクエスト「剣に封印された剣」を引き受けた!

 さっそく女戦士は宝の地図を広げ、一同は件の氷の洞窟に入った。中に居る魔物は、通常の氷系の洞窟と変わらないようだ。ミミとイザヤールがなかなか手強い魔物たちを苦もなく倒すところを見て、女戦士は目を丸くした。
「やるね、あんたたち!特にお嬢ちゃん、あんたがその細腕でそんなに鮮やかに剣術がこなせるとは、思わなかったよ!あんたなら、伝説のアマゾネスの剣の封印を完全に解けるかもしれない・・・!」
「完全にって?」
「番人を倒して、氷柱の剣に入ったアマゾネスの剣を取り出すには、今度は炎の力を宿す魔物たちを次々に攻撃していく必要があるのさ。炎の魔物を斬り続けた氷柱の剣は、溶けて少しずつ小さくなる。氷柱の剣が完全に溶けたとき、伝説のアマゾネスの剣の封印も、完全に解けるというわけ。ちなみに、アマゾネスの剣は、どんなに怪力でも、男は絶対に装備できないよ。旅芸人の証を使ってもダメ」
「へえ、そうなんだ・・・」
「もちろん、アマゾネスの剣が入った氷柱の剣も、女しか装備できないよ。だけど、ばかでかい文字通り柱みたいな大きさの剣だから、持ち上げられるのは剣を極めた戦士か、バトルマスターに限られるけどね。お嬢ちゃん、あんたは剣を極めてそうだね。アマゾネスの剣入りの氷柱の剣も、ぶん回せそうだね」
「本当ですか?嬉しいな、私、見た目があんまり強そうじゃないみたいで、なかなかそうやって認めてもらえないから」
「でもねー、あたしみたいに如何にも戦士っていう見た目も考えもんだよー。彼氏募集しても、ヘタレかドMな野郎ばっかり寄ってくるからねー。あんたの彼氏さんみたいな骨のありそうなのは寄ってきやしない」
 乙女な戦士というのも、なかなか苦労があるようである。ミミは、こんな綺麗でカッコいい女戦士さんがイザヤール様に遠回しのアプローチ?!と、ちょっとやきもきしていたが、イザヤールは気付いていないらしく、骨がありそう、ではなく、そこそこあるつもりだ、と大真面目に答えていた。
 女戦士もなかなかの剣技で魔物を華麗に蹴散らすところを披露しつつ、そんなこんなのうちに、一同は目的のフロアにたどり着いた。そこは、常の宝の地図の洞窟のボスの居るフロアのようではなく、辺り一面が水晶のような氷の壁や柱に覆われ、どこまでも透き通ってキラキラと光っていた。あまりに綺麗で、うっとりと我を忘れそうだったが、鋭く痛いほど容赦なく冷酷な気配を感じて、全員が戦闘態勢に入り気持ちを引き締めた。
 間もなく、氷でできた壁の一部にヒビが入り、崩れて、中からまず巨大な氷でできた剣が表れ、次に巨大な氷の手、足と続く。
 ミミは、氷の巨人とは、氷のブロックでできたゴーレムのようなものだと、漠然と想像していた。しかし、現れたものは、想像を絶するものだった。確かに脚は氷でできたゴーレムのようだったが、胴体はどこかで見たような純白の美しい毛皮に覆われ、腕や手はひょうがまじんのもの、そして顔は、ゴードンヘッドが、氷になったかのようなものだった・・・!
 その大きな手で、氷の巨人は太い氷柱の剣を握り、ミミたちを一気になぎ払おうと振り回してきた!全員で間一髪のところをかわしたが、有無を言わさず敵の攻撃は始まった!剣を振り回すだけでなく、手からはこごえるふぶきを吹き付けてくる。さっきはこの吹雪にやられたと、女戦士は唇を噛んだ。
 何にせよ氷の魔物ならばと、ミミはファイアフォースを発動し、ミミたちは炎の力を身にまとった!間髪入れず、イザヤールは高くジャンプし、炎の力を帯びた愛用の剣で、氷の巨人に最近会得した火炎斬りを放った。女戦士もドラゴン斬りを使って巨人の腕にダメージを与える。腕は、これらの攻撃で切り落とされたかのように見えた。だが、滲み出すように湧いた氷が傷口を塞ぎ、また元通りにくっつけてしまった。
「斬っても無駄ということか?」
 眼光を鋭くしてイザヤールが呟く。
「それなら、衝撃はどう?」
 ミミは言って、ハンマー「プレートくだき」を装備し、器用に氷の段差を駆け登って巨人の頭に近い高さまで来ると、ゴードンヘッドにそっくりな顔に向かって、おもいきり振り下ろした!ものすごい衝撃音が発生し、フロア内を振動させた。斬られた傷と違い、衝撃によって与えられ広がる傷は修復が追いつかないらしく、ヒビがみるみる巨人の全身に広がっていく。そして、窓ガラスが割れるように、一気に砕けた!
 と、思いきや。巨人の表面の氷が落ちて、中から見覚えのある魔物たちが現れた。頭は本当にゴードンヘッド、腕はひょうがまじん、そして胴体はなんと顔を隠していたハヌマーン、そして脚は、それらを頑張って肩車していたゴーレムだった!既存の魔物たちの集合体だったようだ。
「どうりで見覚えが・・・」
「あるわけだな」
 ミミとイザヤールは、苦笑して呟いた。
 ハヌマーンは宝の地図の洞窟のボスの一体だが、落ち着いて戦えばさほど強敵ではない。ゴードンヘッドやひょうがまじん、ゴーレムもまた然りだ。ミミとイザヤール、それに依頼人兼ゲストの女戦士は、それらの魔物の群れに割りとあっさりと勝利し、伝説のアマゾネスの剣が入った巨大氷柱の剣を無事手に入れたのだった。

 氷柱の剣は、さすがに片手で扱うことは不可能なくらい大きくて、棍「だいこくばしら」を抱えているような感じだった。女戦士が言っていた通り、イザヤールがいくら持ち上げようとしてもどうしても動かなかったが、女戦士やミミが持つと、軽々とは言わない間でも振り回すこともできた。
「防具ならともかく、武器で性別に作用されるとは、不思議な武器だな。どんな力を使っているのだろう」
 イザヤールが感心したように呟く。いずれにせよこのままでは扱いにくいし、中の伝説のアマゾネスの剣が目的だから、この氷柱の剣は溶かさなくてはならない。一同はこの洞窟を出て、女戦士はまた別の宝の地図を広げ、今度は火山タイプの洞窟に向かった。
 ミミと女戦士と交代で、ようがんまじんやエビルフレイムなど、炎の化身の魔物と戦うこと数十回(イザヤールはその間他の属性の魔物をくい止めるのを引き受けていた)。氷柱の剣は遂にすっかり溶け、中から伝説のアマゾネスの剣がでてきた!
「これが・・・伝説のアマゾネスの剣・・・」
 ミミたちは、氷柱の中から出てきた剣を見つめた。濃いピンク色で、実用的というよりはどこか装飾的なデザインで、剣の直線的な鋭さというよりどこか艶かしい曲線で構成されている。刃から感じられる不思議な気配が、これが特別な剣であることを伝えていた。イザヤールが試しに装備しようとしてみたが、やはり装備はできなかった。
「この剣はね、道具として使うと、誘惑的な幻影を見せて、メダパニの効果があるんだよ。『ゆうわくの弓』に効果が似ているかもね」
 女戦士が言った。
「どうしてそんなに詳しいんですか?」
 ミミが不思議に思って尋ねると、彼女はちょっと決まり悪そうに答えた。
「実はさ、これ、あたしのご先祖が残した剣なんだ。魔物に取られて長いこと行方不明になってたんだけど・・・あんたたちのおかげで取り戻せたよ、ありがとう!」
 命の他に剣まで助けてくれてと、女戦士は宝の地図二枚とギガントアーマーをくれた!
 後日、伝説のアマゾネスの剣を手に入れた女戦士は、ますます戦士としての腕を上げたが、ますますヘタレ男たちのファンが増えて困ったとかいう噂を聞いたミミたちだった。〈了〉
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