ギリギリで短めですがバレンタイン話。
ロクサーヌの店で売られている「ごうかなチョコ」は、大きなハート型の可愛らしいチョコレートで、バレンタイン時期の人気商品だ。バレンタイン当日になると、手作りに失敗した悩める乙女たちが殺到するのを見越して仕入れているところが流石だった。
ミミも販売を手伝いながら、見た目からして想いが伝わりそうなハート型のチョコレートの山を見て、ふと思った。
(そういえば、小さなハート型のチョコレートはあるけど、イザヤール様に大きなハートのチョコレートをあげたことはないなあ・・・)
それは、イザヤールが甘い菓子をさほど口にしないからで、彼の口に合うものを作ることを最優先に考えると、大きなチョコレートが候補から一番遠くなるのは当然と言えた。自然ミミがイザヤールに渡すものは、味も見た目も大人の男に相応しいシックなものになったが、それが想いを一目で伝えるには素っ気ない感じがしてしまうのはミミの小さな悩みだった。
(作って、渡したいな、大きな大きなハート・・・)
だが、だからといってイザヤールに大きなハート型のチョコレートを渡すことは、ミミの気持ち的にはどうしてもできなかった。イザヤールは、ミミの作った物なら、甘い大きなチョコレートであろうと、おそらく喜んで食べてはくれるだろう。しかし、自己満足の為にイザヤールに我慢を強いるような行動は絶対にしたくなかった。それなら、できることは。
夕食の支度の時間、ミミはフライパンで何かを焼いていた。食欲をそそる匂いが辺りに漂う。
「うわあ、匂いだけでおいしそう♪イザヤールさんへのバレンタインだね?」
通りかかったリッカがにこにこしながら覗き込み、頷いた。
「うん、喜んでもらえるかなあ・・・」
「絶対大丈夫!」
保証するリッカにミミはにっこり笑い、ソースパンの方にはカカオの粉末を隠し味にしてデミグラスソースを更にコクのある味に仕上げた。
フライパンの蓋を開ければそこには、大きなハート型のハンバーグ。デミグラスソースの上にチーズ、チーズの上に更にトマトソースでハートを描く。ちょっと照れくさいけどとミミは頬を染めて、盛り付けを終えた皿を眺めた。〈了〉
ロクサーヌの店で売られている「ごうかなチョコ」は、大きなハート型の可愛らしいチョコレートで、バレンタイン時期の人気商品だ。バレンタイン当日になると、手作りに失敗した悩める乙女たちが殺到するのを見越して仕入れているところが流石だった。
ミミも販売を手伝いながら、見た目からして想いが伝わりそうなハート型のチョコレートの山を見て、ふと思った。
(そういえば、小さなハート型のチョコレートはあるけど、イザヤール様に大きなハートのチョコレートをあげたことはないなあ・・・)
それは、イザヤールが甘い菓子をさほど口にしないからで、彼の口に合うものを作ることを最優先に考えると、大きなチョコレートが候補から一番遠くなるのは当然と言えた。自然ミミがイザヤールに渡すものは、味も見た目も大人の男に相応しいシックなものになったが、それが想いを一目で伝えるには素っ気ない感じがしてしまうのはミミの小さな悩みだった。
(作って、渡したいな、大きな大きなハート・・・)
だが、だからといってイザヤールに大きなハート型のチョコレートを渡すことは、ミミの気持ち的にはどうしてもできなかった。イザヤールは、ミミの作った物なら、甘い大きなチョコレートであろうと、おそらく喜んで食べてはくれるだろう。しかし、自己満足の為にイザヤールに我慢を強いるような行動は絶対にしたくなかった。それなら、できることは。
夕食の支度の時間、ミミはフライパンで何かを焼いていた。食欲をそそる匂いが辺りに漂う。
「うわあ、匂いだけでおいしそう♪イザヤールさんへのバレンタインだね?」
通りかかったリッカがにこにこしながら覗き込み、頷いた。
「うん、喜んでもらえるかなあ・・・」
「絶対大丈夫!」
保証するリッカにミミはにっこり笑い、ソースパンの方にはカカオの粉末を隠し味にしてデミグラスソースを更にコクのある味に仕上げた。
フライパンの蓋を開ければそこには、大きなハート型のハンバーグ。デミグラスソースの上にチーズ、チーズの上に更にトマトソースでハートを描く。ちょっと照れくさいけどとミミは頬を染めて、盛り付けを終えた皿を眺めた。〈了〉
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