セントシュタイン三丁目

DQ9の二次創作(主にイザ女主小説)の、全くの個人的趣味なブログです。攻略の役には立ちません。悪しからずご了承ください。

氷炎の薪

2018年01月26日 23時59分40秒 | クエスト184以降
久々にギリギリ金曜日更新間に合いました〜!の追加クエストもどき。あんまりに寒いので、氷の中に火があったら綺麗かな〜なんて思いこんな話になりました☆

 季節は真冬、ふゆしょうぐんが我が物顔で闊歩しているせいか、比較的穏やかな気候のセントシュタインでも、このところ厳しい寒さが続いていた。ふゆしょうぐんはミミとイザヤールに怯えて一旦退却したのだが、誤解が解けてまた戻ってきてしまったのだ。
 大自然の掟は仕方ないので、人々は寒さをしのぐ為にそれぞれ工夫を凝らしていた。リッカも、宿屋の中をより暖かく居心地良く過ごせるようあれこれ気を配っていて、より暖かく感じるよう、明るい色合いの花を客室それぞれに飾ろうと考えた。
「サンマロウから花をお取り寄せしちゃおう♪ロクサーヌさん、お願いできる?」
 するとロクサーヌは、彼女には珍しく、少し困った顔でリッカに答えた。
「それが、サンマロウでもこのところ珍しく大雪で、花畑が雪に埋まってお花の確保が難しいそうなんですのよ。他の土地からなんとか集めますわ」
「そっか、どこもたいへんなんだね」
 ミミはカウンターでイザヤールと一緒に錬金をしていたところだったが、その会話を聞いて呟いた。
「サンマロウで大雪なんて本当に珍しいの」
「気になるな。・・・ちょっと様子を見に行ってみるか」
「イザヤールは、ミミとサンマロウでの花畑デートができなくなると困るから気になるんだろう」
 ここで、ラヴィエルがにやにやしながら口を挟んだ。
「別に困らない。他の場所に行けば済むことだ」イザヤールは閉口している表情で答えた。「ただ、錬金の材料の確保に困ると思っただけだ」
「ごまかさなくていいぞ、このツンデレめ」
「やめろ、頭を指先で小突くなっ」
「デートは否定してないからツンデレとは違うんじゃないかな・・・」ミミはラヴィエルの言葉に首を傾げながらも、花が開くような笑顔で言った。「でも、ありがとう、イザヤール様」
 その笑顔にイザヤールは表情を和らげ微笑み、ラヴィエルはすかさず再びからかった。
「おお、見事にでれでれ顔になったな」
「うるさい」
 それはともかく、サンマロウに出かけることにして、二人はノーブルなマントと王者のマントにそれぞれ身を包んで出発した。

 ルーラであっという間にサンマロウに到着すると、話に聞いていた通り普段花で覆われている平原は雪に埋もれていた。ピンクモーモンたちが震えながら何匹も身を寄せ合い、ピンクの団子の盛り合わせのようになっている。タイガーランスは、ホワイトランサーにはりあっているのか空元気を出していたが、派手にくしゃみしていた。
 町の中の方も、建物の屋根や地面が真っ白で、別の町のようだ。さすがに橋や階段の雪は退けられていたが、町の人々も慣れない雪に戸惑っているようだった。花売りワゴンは当然休業状態だ。
「わあ、本当に銀世界・・・綺麗だけどたいへんそう・・・」
 ミミが呟くと、雪だるまを作っていた少女が、楽しそうに答えた。
「えへへ〜、でもクリスマスみたいで楽しいよ♪でも大人はちょっとたいへんみたいー。灯台の火が消えちゃって、なかなか点かないんだってー。だから船が出せないんだってー」
 それはちょっとどころかなかなかたいへんな事態である。雪は降る方は止んでいるとはいえ、まだ視界はあまり良くなく、灯台の火も消えているので、自分たちも船は使わない方が良さそうだ。灯台の方向はわかっているとはいえ、他の船と衝突する危険がある。ミミはすかさずアギロホイッスルを吹いて天の箱舟を呼んだ。
 箱舟内に入ると、サンディが運転席の前でマニキュアを塗っていた。
「あれっ、ミミ、今日はセントシュタインに居るつもりだったんじゃ?・・・って、もう降りるんかーい!」
 天の箱舟ならサンマロウの灯台のある小島まであっという間なのである。まだマニキュアが乾かないのでパスとサンディは箱舟に残り、ミミとイザヤールは二人で灯台に入った。
 灯台の最上階まで行くと、船乗りたちや灯台守りの老人が火を灯す台座を囲んで、困ったように話し合っていた。老人がミミとイザヤールに気付いて言った。
「おお、おまえさんたちか、いいところに来てくれたのう。ご覧の通り、灯りがなかなか点かなくてな。掃除もきちんとしたし、雪も止んだから点いてもいい筈なんじゃが、火を灯そうとすると何故か種火を吹き消されるんじゃ。何者かの悪意を感じるが、その何者かを捜すよりうまい方法を思い付いたところなんじゃよ」
 老人は、ミミに一枚の地図を見せた。
「この地図に載っている洞窟のボスであるイデアラゴンを、奴の火と氷の呪文を跳ね返すことだけで倒して、最後にこの特別な種火を投げ付けるとな、雨どころか吹雪にも負けない不思議な火を落とすんじゃよ。今、誰にそれを取りに行ってもらおうか相談しておったところなんじゃ。おまえさんたちに頼めば確実じゃ。頼まれてくれるか?」
 イデアラゴンの落とす不思議な火を見てみたかったので、ミミとイザヤールは喜んで承知した。ミミとイザヤールはクエスト「氷炎の薪」を引き受けた!

 地図の洞窟は、灯台のすぐ近くにあったので、移動に苦は無かった。中は自然タイプの洞窟で、最下層までに現れるモンスターたちも二人の敵では無く、よくあるイデアラゴンの居る洞窟との違いは感じられなかった。
 途中「ひらめきのジュエル」や「ほしのカケラ」を手に入れつつ難なくイデアラゴンの元にたどり着くと、二人は改めて盾を装備し直し、呪文を跳ね返すことができる盾スキルのミラーシールドを使えるようにした。
「リフレクトアーマーはどうする?」イザヤールが尋ねた。
「王者のマントの方が守備力高いから、イザヤール様はそのままで、私だけ替えますね」
 ミミは言って、ノーブルなマントから呪文をたまに跳ね返す効果のあるリフレクトアーマーに装備を変えた。これでミラーシールドの効果が切れても、かけ直す間も運が良ければ呪文を跳ね返すことができる可能性がある。イザヤールの方のミラーシールドの効果が切れたら、自分が「かばう」をすればいいとミミははりきっていた。
 イザヤールはミミが痛い思いをする可能性があることに不満そうだったが、ミラーシールドをきっちりかければ大丈夫だと説得されてしぶしぶ折れた。
 イデアラゴンとの戦闘に入ると、二人はすぐにミラーシールドを発動して、呪文の攻撃に備えた。イデアラゴンは氷系呪文のマヒャドを唱えてきたが、ミミとイザヤールの光のカベに跳ね返されて自分にダメージを受けた。次のターンからは二人は防御に専念して、イデアラゴンの自滅を待った。
 イデアラゴンは「ためる」を使った後に本で殴りかかってきたり、爆発系呪文のイオナズンを使ってきて、なかなか炎系呪文のメラゾーマを使わず、ミミたちをやきもきさせた。しばらくしてイザヤールのミラーシールドの効果が切れたので、ミミは彼がミラーシールドをかけ直す間かばうをしようと、意気揚々と前に出た。だが、そのとき、ミミのミラーシールドも効果が切れた。そこへイデアラゴンが、メラゾーマをミミに向かって放った!
「ミミ!」
 イザヤールは叫んで、ついいつもの癖でミミをかばおうとしたが、ミミはイザヤールに抱きつくようにして前に出てそれを許さなかった。巨大な炎がミミを襲う!
 しかし、今日のミミはついていた。ミミの着ていたリフレクトアーマーがメラゾーマを跳ね返し、イデアラゴンに炸裂した。作戦通りの展開である。イザヤールは安堵の息を吐き、ミミはにっこり笑って彼にウインクして、二人は共にミラーシールドをかけ直した。
 それでも懲りずにイデアラゴンはマヒャドとメラゾーマを撃ってきて、そしてついに自滅した。倒れたところで、ミミがすかさず預かった特別な種火を投げると、不思議なことが起こった。辺りが蒸気のような煙に包まれ、それが収まると、次の地図とイデアラゴンの落とす宝箱の他に、何やらキラキラ光るものが落ちていたのである。
 二人が近付いてそれが何か確かめると、それは氷でできた透明な薪のような形をしていたが、芯の部分は、奇妙なことに炎のような色合いをしていた。ミミが手袋をした手でおそるおそる拾い上げてみると、それはやはり氷のように冷たかったが、いっこうに溶ける様子はなかった。
 炎が氷に閉じ込められているといったその奇妙ながら美しい様は、ミミを喜ばせた。芯の炎のようなものは、燃えているようにゆらゆらと揺れたり踊ったりしていたが、それでもそれを包む氷は、決して溶けないで冷たいままなのだった。
「氷の中で炎が燃えているなんて・・・。不思議だけど、とっても綺麗・・・」
 ミミはうっとりとこの不思議な氷の薪を眺めた。ガラスの中で炎が揺らめくのともまた微妙に違うように感じられるのだ。
「これが灯台の種火になるわけか。しかし、この氷がこうしてずっと溶けないとすると、どうやって種火になるのだろうな?」イザヤールが首を傾げる。
「それも気になるから、早く戻りましょう」
「もう少し、見ていなくていいのか?」
「うん・・・ちょっと名残惜しいけれど、サンマロウの人たちも待っているし」
 いい子だとイザヤールはミミの頭をなで、そのうちこんな炎を宿したような輝きと氷のような冷たいくらいの透明さを持つ宝石を見つけてやろうと密かに決意していた。
 それから二人はすぐに洞窟を出て、灯台を駆け上った。ミミの手に炎を宿した氷の薪があるのを見て、灯台守りや漁師たちは歓声を上げた。
「よしよし!後は、海の神への祈りの呪文を唱えながら、これを台座に投げ込めば・・・」
 灯台守りがミミから不思議な氷と炎の薪を受け取り、海の神への祈りを唱えようとすると、何者かの声が響き渡った。
「させるか〜!灯台の復活など、許さん〜!せっかくふゆしょうぐんを特上しゃぶしゃぶで買収して雪まで降らせたのに〜!」
 なんと「ひとつめピエロ」が現れた!
「あなたが灯台の火を点けるのを邪魔していたのね?」
「雪のどさくさに、灯台の機能を停止させて困らせようというわけか!」
 ミミとイザヤールが剣を構えて詰め寄ると、ひとつめピエロは焦りながらも、杖を振りかざし叫んだ。
「え〜い、こうなったら、これでもくらえー!」
 ひとつめピエロはイオを唱えた!ミミは灯台守りたちをかばおうと、とっさに「におうだち」をした!イオの爆発が全てミミを襲う!
 しかし。リフレクトアーマーが、呪文を跳ね返した!
 ひとつめピエロは、跳ね返された呪文で真っ黒焦げとなり、よろめきながら逃げていった。
 灯台守りは改めて祈りを唱えながら不思議な氷と火の薪を投げ入れ、灯台の灯りは戻った。
「いやあ、ありがとう、これでまた船が出せるようになる!雪もすぐに溶けるじゃろうしな!」
 ミミとイザヤールはお礼に「ヘパイトスのひだね」を五つと、「フェンリルのキバ」をもらった!
 そして、ぜひサンマロウで宴会に参加してくれるようにと二人は漁師たちに囲まれて灯台を降りていった。降りる際、窓からちらりと、サンマロウ地方からふゆしょうぐんが逃げて行くのが、ミミとイザヤールにだけ見えた。〈了〉
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