おも〜か〜じ(面舵)‼︎

消したい過去1-①(整理屋に騙された編)

無い袖は振れん。

今から25年位前は、パチンコ業界は30兆円産業と迄云われていたが、現在は閉店するホール等が増えて、17兆円に迄下がった。

射幸性が強い機種が出る度にお上が規制し、業界団体に改善を求めて来た。

当時、未だ青二才だった吾はパチンコ攻略詐欺に引っ掛かった事が在る。

出来れば、数多在る消したい過去の一つである。

昔も今も稼働が好評な「海物語」シリーズ。

此の海物語のセット打法が購入出来るとの謳い文句で、パチンコ雑誌に掲載されていた。

打ち始める際に、或る手順を行えば、必ず確変で当たると云うものだった。

価格は20万円。

当時、色んな業者がオリジナルの手順(プロセス)を謳っていた。

今思えば、手順が複数存在する事自体おかしいのである。

だが、当時基板等の電子回路の構成が全く解らなかった吾には、全く疑う余地は無かった。

吾が騙された業者が嘘のレビューを雑誌に掲載して、其れを鵜呑みにした吾はアイフルでカネを借り嘘の攻略を買ってしまった。

「20万円位、此の海物語のセット打法で何とかなる」

と、本気で信じていた。

以下に、嘘だったセット手順を書いてみたい。

■注意:此のセット手順は出鱈目なので当たりません。冗談の積りでホールで行うとゴト扱いされ事務所に連れて行かれ、警察へ通報されます。その際当方は、何等責任を負いませんのでご了承下さい。

 

CR海物語 確変直撃打法

手順① 保留が4つ点灯迄打ち、溜まったら打ち出しを止める。(若し此の時、5個目が入ってしまったら失敗なので、デモ画面迄待ち、もう一度行う)

手順② 保留が消化(変動が終わった)したのを確認してから打ち出し保留を3つ点灯させる。此の保留の図柄が変動している間に入賞口(スタートチャッカー)に1個入れる。

手順③ 手順②の保留を消化したのを確認してから打ち出し保留を2つ点灯させる。此の保留の図柄が変動している間に入賞口(スタートチャッカー)に1個入れる。

手順④ 保留が消化したのを確認してから打ち出し保留を1つ点灯させる。此の保留の図柄が変動している間に入賞口(スタートチャッカー)に1個入れる。此の時の保留を凡て消化しデモ画面に戻したらセット終了。

※此のセット手順が確実に行えたら、次の変動で確変大当たりとなる。確変とならなければ、手順の何処かでミスが在ったと思われるので、当たりを引けなかった場合は再度此の手順を行う。

 

此れは当時に騙されて買った攻略手順である。当時のものを後生大事に持っていたので、書き起こしてみた。

此の出鱈目セット手順を信じていた吾は中々当たりが来なかったので、何処かでミスをしているのだと思い何度も試してみた。

セット手順を試みる事、回転数(ゲーム数)はボーダーに迫る200回転を超えていた。

スペックは現行機種の1/319に近い、1/321.5。

何時迄経っても当たりが引けずイライラしていた吾は、購入先の攻略会社に電話して担当を呼び出して貰った。

担当名は今でも覚えている、杉内と云う名前だった。

中々当たらない旨を話したら…

「○○さん。手順を正確に行って頂きましたか?確変を直撃させる程のセット手順ですので、確実に手順を踏んで頂く必要が在ります。此の手順が確実にセットされますと、以降の当たりは確変となります。最低でも10連は保証されますので、その後通常当たりで確変が終わったら再度セット手順を行って下さい。其れだけ精度の高い手順ですので、何処かで一つでもミスが在れば発動しません。頑張って下さい!」

席に戻った吾は手順を何度も行った。

何度目のセット手順を終えたか解らなくなっていた時、手順終了後数回転後にリーチが掛り1(タコ)と9(カニ)のクロスリーチが掛った。

此れは熱い。

魚群が走りマリンちゃんが降臨。

「おっ!此れは当たったな」

見事確変大当たり。

此の当たりが何と20連したのである。

偶然当たったのだが、当時は此のセット打法で直撃したと信じてしまった。

此のセット打法を買った購入者が全く当たらず、若し苦情の電話を入れたとしても、吾に云った様な説明を繰り返し、手順が正確に行われなかったからだと云い通す様にマニュアル化されていたのだろう。

20連の継続が終わり、再度セットしようと試みたが駄目だった。

疲れ切った吾は換金し帰宅した。

吾は心此処に在らずと云った状態だった。

セットが完了する迄相当時間が掛ったが、初当たりが確変だった事から、矢張り此のセット打法は本物だと信じてしまった。

セット手順を忘れぬ様に、何度も復唱し頭に叩き込んだ。

翌日もホールに向かい開店時間前に並んだ。

当時は海物語は大人気で、直ぐに席が埋まってしまう。

10分前に入場が始まり小走りで海が在る島に向かった。

何とかギリギリで席が確保出来た。

手順はバッチリ頭に入っている。

逸る気持ちを抑えて、手順をミスせぬ様に手順をセットした。

「よし、此れでOK」

後は確変当たりを待つだけだ。

此の変動で当たる筈だがリーチすら掛からない。

「此の次かな?」

「おかしいなぁ…」

リーチは掛かるが当たらない。

再度手順をセット。

当たらない…。

1/312のボーダー付近に来ても当たる気配が無い。

とうとうボーダーの300回転も遥かに超えてしまった。

最近のパチンコ機種は、規制変更で遊タイムが搭載されて、各機種毎に設定された回転数に到達すると時短やラッシュが発動する様になっている。

当然ながら当時はそんな天井機能等は無い。

延々とハマり続ける。

當に無限地獄。

併し、台の調子によっては爆連したりもする。

まぁ、今も昔も其の辺は変わらない。

さて、ハマり続ける間に、何度も手順をセットした。

数十回の手順セット後に、リーチ。

図柄は通常図柄。

「ん?通常図柄。再始動して確変に成り上がるだろう」

そう信じてリーチの行方を見守っていた。

4のサメ図柄。

此の後だ、再始動。

「え?」

通常当たり…。

当時はラウンド中の昇格も無かったので、通常時短100回転へ…。

時短中と云っても、確率は1/312.5である。

100回転中に1/312.5を引き戻したい処ではあったが、時短中は大したリーチも来ず駆け抜けて終了。

此の期に及んでも、未だ出鱈目なセット打法を信じて疑わなかった吾は、手順のセットにミスが在ったと思っていたのである。

其の後も手順のセットを試すも当たりは来なかった。

セットの途中で確変で当たってみたり、通常当たりが来たりした。

次の日も、仕事帰りにホールに向かって手順セットするも当たらず、何もせず普通に打っていて当たったり…。

或る時、担当の杉内に電話するも、返って来る答えは以前と変わらず…

「手順の何処かにミスが在るから」

の一点張りである。

此の出鱈目セット打法を購入してから半年以上立つも、手順をセットして確変で当たったのは、上記の偶然の確変当たりが最初で最後だった。

もう此の辺で怪しまなければならないのだが、何と脳を焼かれていた吾は、其れ以降も手順を行い続けた。

購入してから約1年後。

流石に此れはおかしいと思い、担当の杉内に電話すると…

「現在、此の番号は使われておりません。もう一度お確かめになって……」

お決まりのガイダンスが流れるばかりである。

「ふぅ…そうかぁ。ヤラれたな」

漸く嘘に気付いた吾は、此の手順書破り棄てようかと思ったが、騙された記念に取って置こうと思い、机の引き出しに入れた。

数年が経ち、巷で流行った凡てのセット打法が嘘だったと知った。

パチンコ雑誌の裏表紙辺りに掲載されていた攻略会社の宣伝が消えた。

更に、パチンコ雑誌が嘘の攻略打法に気を付ける様に促し始めたのである。

余談だが、セット打法は実在していた。

だが其れは、台の基板やハーネスに細工をして信号を変える。

新台等でホールに設置する際に基板を変えたりして細工をする。

其れを行うのはホール側であったり、設置業者が入れ替えたりしていた。

ホール側が其れをするメリットは感じられないと思うが、ホールの店長が裏と結託してリベートを貰ったりしていたので、其れがメリットと云えばメリットになる。

店長と云えども所詮は雇われの身が殆ど。

毎月の給料プラス外部からのリベート。

こう云う裏基板に信号を送る為のセット手順が実際に在ったので、攻略会社は此れを表基板にも通用するとして、適当ではあるが其れらしい手順を作ったのである。

まんまと引っ掛かったヘタれの吾だが、此れに懲りてパチンコを辞めれば良かったのだが、一度大勝ちをしていて、其の記憶が脳みそに焼き付けられているので、そう簡単には抜け出せなかった。

時期を同じくして、2003年10月に初代パチスロ北斗の拳が登場し此れが大ヒットとなった。

バトルボーナスの斬新なゲーム性に脳が焼かれてしまった。

吾は此れに完全に取り込まれてしまったのである。

昼の休憩時間に打ちに行く事も在った。

休日は勿論、平日の仕事終わりにはホールに立ち寄り北斗の拳を打っていた。

当時は今の様にイベントの告知、イベント自体が禁止ではなかったので、メールで熱いイベントの実施の告知が在った。

全台⑥イベントが在った。

当時は4号機の終焉前であったが、北斗の拳以外にも他メーカーの熱い機種が豊富だった。

全⓺イベントの告知が数日前に在ったので、其の日に有給休暇を取り早朝から並んだ。

当日は当然大勢の客が来ていた。

入場抽選が在ったので、幾ら早く来ても必ず台を確保出来る訳では無い。

運よく台が確保出来ても、高設定だからと云って其の挙動をする訳では無い。

其れと中には、全⓺イベントと銘打って客を煽るが、実際は④,⑤、⑥を混ぜているし、①も在る。

ガセのイベントも多々在った。

此の時期は、パチンコにどっぷり浸かっていたので出費も半端では無い。

時には勝つ事も在った。

一度、9800枚程出た事も在った。

負けても半端では無く、10万負けも経験している。

ヒリ付く毎日の日々。

依存症でもあった。

パチンコ依存症の症状の一つに、

・パチンコをしたくて周りに嘘を吐いてしまう。(仕事を休んだり、他の約束を反故にする等)

が在るが、此れをやってしまっていた。

当時の吾は歯止めが効かず、サラ金に手を出してしまった。

当時既に持っていたアイフルの限度額を使い切り、使えないとなればアコムの無人契約機で契約して金を借りる…。

時々に勝った時に返済し、又借りては返済して…。

此れを繰り返している内に、勝てない事の方が多く毎月の給料では返済が難しくなって来た。

カネを借りようと銀行に行くも審査で落とされてしまった。

銀行も数社ある中で、信用金庫で審査が通り限度額借りた。

使用目的は家の修繕でカネが要るで審査が通った。

当然、其のカネを持ってパチンコホールへ向かう。

もう、こんな事を繰り返していたら収入と支出のバランスが成り立たなくなっていて返済の目途が立たなくなっていた。

パチンコ雑誌には色んな街金が広告を出しており、

「当社独自審査でブラックの方も大歓迎」

「他社で断られた方是非お問い合わせください」

「数社で借り入れの在る方、一本化で楽々返済」

「即日融資」

「初めての方、50万円迄即日融資致します」

等の誘い文句が飛び交っていた。

返済の一本化に目が止まった。

此の経験は吾の人生途上で非常にインパクトが在った出来事であり、街金に借り入れの電話をし更なる借り入れをさせられた実体験である。

此の事は忘れたくとも忘れる事の出来ぬ一件であった。

 

■※※ローン

「はい、※※ローンです」

■吾

「もしもし、借り入れの件でお電話したんですけど」

■※※ローン

「幾らのご入用ですか?」

■吾

「50程借り入れしたいんですが」

■※※ローン

「分かりました。では、お名前、ご住所、電話番号、生年月日……云々」

 

個人情報を伝えた吾は一度電話を切り、審査の結果を待った。

一時間程して※※ローンから折り返しの電話が在った。

 

■※※ローン

「〇〇様、非常に申し上げにくいのですが、此の度は当社からの借り入れはお断りさせて頂きます。其れでですね〇〇様、今どうしてもお困りで借り入れが必要であれば唯一方法が在りますがどうされますか?直ぐに返事を頂かなくても結構です。若し、どうしても借り入れが必要で在りましたら能くお考えいただいてお電話頂ければと思います」

■吾

「分かりました。暫く考えてみます」

 

吾は返済に追い込まれていた為、事の善悪や物事の真偽を判断する精神状態では無かった。

併し、こう云う業者のやり口は巧妙である。

一気に捲し立てる事無く、電話をして来た客がどう云う言動かを見定める。

吾が電話した業者からしてみれば、電話して来る時点で相当追い込まれている者が殆どで、余り高圧的に出ると却って逃げると解っている。

電話口の話し振りと息遣い、話す言葉の種類から相手の精神状態を判断して投げ掛ける言葉を選んでいる。

當に其れは臨床心理士の如くである。

吾は、電話口の担当者の柔らかい口振りと、話す言葉の速度がゆっくりで安心感を覚えてしまった。

すっかり取り込まれてしまった吾は、借り入れの事情を話してみようと思い、其の翌日に再度電話を掛けた。

 

■吾

「もしもし、昨日お電話させて貰った〇〇です。考えまして、借り入れをお願いしたいと思い連絡しました」

■※※ローン

「そうですか、承知致しました。処で〇〇様、此の度のお借入れの理由をお聞かせ願えますか?何かお困りの事がおありなんですか?差し支えなければご相談に乗りますよ」

■吾

「はい、実は数社からの借り入れをしてまして、其れを一本化して月の返済額を減らしたいと思いまして…。」

■※※ローン

「なるほど。確かに其の方が毎月が楽になりますからね。ですが、審査の結果当社でのご融資は出来ません。出来ませんが、実は先日お電話頂いた後に、当社の社長に私が相談しまして、何とか出来ないかと頼んでみたんです。当社の社長は信用保証協会の理事を兼任しておりまして、審査が通る様に手配をして下さったんです。其処で早速なんですが、明日は一日お時間が在りますか?」

 

今回の担当者の口振りが先日とは違い、有無を云わさぬとばかりに口早に捲し立てて来た。

 

■吾

「あ、はい。ですが、仕事が在るものですから、明日はちょっと無理です」

■※※ローン

「そうですか。いつならお時間とれますか?」

■吾

「あの~色々と考えたんですが、此処迄ご相談して云い難いんですが、此の度の借り入れはやっぱりやめておこうかと思ってまして…」

 

雑誌には※※ローンは東京都内の住所だったが、此れも怪しい。

 

■※※ローン

「〇〇様、其れは出来ません。先程も申しました様に、信用保証協会にも話が通してありますし、色んな方が〇〇様の為に動いてくれていますので、其れは出来ません。若し此れを反故にすると云うのであれば,其れなりの法的手段を取らなければなりません。どうされますか?」

 

まぁ抑々、信用保証協会が個人の借り入れ情報を操作して、借り入れが可能にする事が出来る筈が無い。

法的手段と云う言葉に、其れ以上何も云えなかった。

この後、吾は転落寸前の所迄追い詰められる事になる。

 

続く…

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